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第八十一話 奇跡の力

「はあああ!!!」


 激しくぶつかり合う剣と翼。剣から伝わるあまりの衝撃に、剣を落としてしまいそうになる。


「左腕がないと大変そうだねー。僕も右腕を失ったけど、戦闘にそれほど支障はないから、あまり君の辛さをわかってあげられないんだ。」

「なにが言いたいんだ…!」

「要するに…。」


 俺の攻撃を後ろに一歩引いてかわすと、翼を大きく広げる。


「手加減してあげられないってことさ!」


 6本の翼全てが俺の腹をめがけて襲いかかる。咄嗟に防御の姿勢を取るも、威力に耐えきれず吹き飛ばされてしまう。


「ぐはっ…!!」


 骨の折れる音がした。呼吸するのが苦しい。


「もう終わりなの?」

「…まさか。まだまだ…だ。」


 体全体が悲鳴をあげている。こうして立っているだけでも苦しい。できることならこれ以上戦いたくない。


「そうこなくっちゃ!もう一回行くよ!」


 でも戦わなければならない理由が俺にはある。辛くても立たなきゃいけないんだ。


『ブレイブソード!!!』

「遅いよ。」


 あっさり躱されたあげく、容赦のない攻撃にもう一度吹き飛ばされてしまった。


「うっ…。まだ…。」


 立ち上がろうとしたが、足に力が入らずそのまま前に倒れ込んでしまった。


(やばい…。意識が遠のいていく…。)



 …起きて春人君。まだ君は負けてない。



(声が聞こえてくる。俺を呼ぶのは誰…?)



 …お前が死ぬにはまだ早え。あいつに勝つんだろ?


 …だから私たちの力も全部春人お兄ちゃんに託すね。


 …任せてばっかりで悪いとは思ってるけど。


 …魔王を倒せるのは君しかいないから。



(みんなの声が直接頭に流れ込んでくる。それだけじゃない。コラドの街で出会ったあの子の思いや廃墟で出会った少年たちの思い、今まで出会った人達のいろいろな思いが聞こえてくる。俺に頑張れって応援してくれている。)


「なんだ…!?彼の体からとてつもないエネルギーを感じる。これは一体どういうこと…?」


(すごい力が俺に集まってくる。温かくて優しい力。)



 …今こそ立ち上がる時ですよ。春人さん。



(ああ。わかってる。)


「…起きて……。春人くん…。」


(大丈夫。聞こえてるから。)


 みんなが俺の背中を押してくれる。そのおかげで俺はまだ戦える。


「…ありがとう。絶対勝つから。」


 出血は止まっており、体の痛みは完全に消えている。疲労感も全くない。


 これだけの思いを背負わされたら、負けるわけにはいかないよな。


「驚いたな…。こればかりは本当に予想できなかったよ。まさかまだ立てるなんて。」

「俺も驚いているよ。これはみんなの諦めない気持ちが俺に授けてくれた奇跡の力だ。」


 俺は大きく深呼吸し、気合を入れる。


「行くぞ!魔王!」


 すべての思いを剣にのせ、前だけを見て走り出す。


「…勝つのは僕だよ。『ブラックボム』」


 再び無数の黒い球が放たれる。


「こんなもんで…」


 俺は構わず剣を振るう。


 すると案の定黒い球は爆発し、その爆発に誘発され次々に黒い球は爆発していく。


「…春人…君…。」


 あたり一面が爆発の煙に包まれていく。


 しかし、煙の中を一筋の光が駆け抜けていく。


「俺は止まらない!!」

「な…!?どうやってあの爆発の中から!?」


 そんなことは簡単だ。爆発するよりも先に前へ走ってしまえばいい。ただひたすらに前へ走り続ければいいんだ。


「ならこの技はどうだ!」


 魔王は翼をはばたかせる。やがて大きな気流を生み、台風となって目の前に立ちふさがる。


「く…そ…。あんなのどうやって…。」

「負けないで…春人お兄ちゃん…。」


「終わりだよ!!」


 …終わらせてたまるか。立ち向かうんだ。怯えている暇はないぞ。


「…スキル発動『ラスト・メモリー』」


 俺のすべてを込めた一撃を台風にぶつける。


「僕の最強の技と君の最強の技、どちらが強いか勝負だ!」


 魔王の攻撃は更に力を増し、どんどん押されていく。


「くっ…!!」

「どうやら僕のほうが君よりも強いみたいだね。」

「…それは違う。」


 俺は一人で戦っているわけではない。みんなと一緒に今も戦っている。そして俺はみんなの力を信じている。


「本当の本当にこれで最後だよ!!」


 威力を増していく台風に、俺は追いやられていく。


「頑張れええええ!!!!!!!」

「…!?」


 真白が応援している。もうとっくに限界のはずなのに。


「…はあああああああああ!!!!!!!!」

「馬鹿な…!?僕の台風が斬られた!?」


 手を伸ばせ。足を前に出せ。すべてをこの一撃で終わらせるんだ!


「トドメだぁぁぁぁぁ!!!」


 俺の剣が魔王の心臓を突き刺す。


「…グハッ……。」


 魔王は血を吐きながらひ膝をつく。


「…まさか僕が…本当に負けるなんてね…。」


 ゆっくりとフィールドが消滅していく。


「効いたよ…。君の剣、いや…君たちの剣。これが思いの…強さ…か。」

「ああ。」

「…何年も待ち続けた甲斐があったよ…。ありがとう。」


 そういって魔王は息を引き取った。


 フィールドも完全に消滅し、空に浮いた魔王城は地上へゆっくりと落ちていく。

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