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第六十七話 魔王城入口

「戻ってきたな。」


 俺たちは再び最後の大陸へと戻ってきた。


「これからどうするつもりだ?このまま魔王城に向かうか?」

「そうだな…。もう最終目的地は見えているからな。」


 今までのように幹部を探す必要がない。


「問題は私たちのレベルだね…。」

「ああ。このまま魔王城に向かっても勝てないんじゃ意味がないからな。もう少しレベル上げをしたいところではあるな。」


 それにまだこの大陸に来て魔物と戦っていないので、基準となる敵の強さがわからない。普通の魔物に苦戦しているようでは幹部はもちろん魔王になど到底勝てるはずがない。


「最悪の場合を考えて少なくとも一人10くらいは上げておきたい。」

「10か…。相当大変だぞ。」

「でもやるしかない。もしこのまま魔王城に行ったとして、幹部と魔王との連戦だったらどうする。勝ち目はほぼゼロだぞ。」


 そう…。俺が今一番気になっているのはどのようにして魔王と戦うことになるのかだ。魔王城の構造は外からではわからないし、そもそも魔王が何者なのかも知らない。俺たちには知らないことが多すぎるんだ。


「そういえば黒谷のおじさんたちはどこに行ったんだろ。魔王城に行ったのかな。」

「…聞いてみるか。」


 この先俺たちが動くには黒谷たちの動きも把握しておく必要がある。


 魔王城に行ったのなら情報は共有しておきたいし、行っていないのなら合流して協力してレベル上げをする。






 春人たちが新大陸に行く少し前のこと。


「こりゃひどいな。まるで地獄だな…。」

「そうだな。こんなの初めてだ。」


 黒谷たちは一足先に新大陸へと足を踏み入れていた。


「ん、あれが魔王城じゃね?」

「あれが…すげぇ。」


 魔王城をみてみんな興奮気味の様子。


「そんなこと言ってる場合か!」

「さっさと行くぞ。」






「うわっ…目の前で見ると一段とでかいな。それに不気味さも遠くで見た時の比じゃない。」


 入り口は禍々しい雰囲気に包まれ、コウモリが飛び交っている。


 空は真っ黒な雲に覆われ、雷が降り注ぐ。


「さて、それでは中に…。」

「ちょっと待ってくれ!」


 優樹に一通のメッセージが届く。


「春人くんたちからだ。」

「ちっ…。またあいつか。」


 仲間の1人がそう呟く。何故か黒谷と優樹以外の4人は春人を毛嫌いしている。


「えーと、『今どこにいる?』か。そっか…春人くんたちも来たんだな。」

「ならば魔王城も目視したはず。合流を図っているのか。」

「じゃあ、普通に返事するぞ。」






「お、来た。『魔王城の前に来てる。』だって。」

「魔王城に入ったわけではないのね。それなら私たちも魔王城に向かったほうがいいかも。」

「そうだな。」


 真白の言う通り直接話し合った方がいいかもしれない。


 俺たちは『そっちに行く』と優樹に連絡を入れ、早速魔王城へと向かった。


 しかし、そこに黒谷たちの姿はなかった。


「な…どういうことだ!?なんでいないんだ!?」

「まさかもう中に…?」


 魔王城の扉の方を見る。自ら入ったのか、あるいは入らざるを得ない状況だったのか。なんにせよこれでは動くことができない。


「ゴロゴロドーン!!!」

「きゃあああ!!」


 近くに雷が落ちる。あまりの音に真白が反射的に俺に抱きついてきた。


「あの…真白さん。その…当たってるんですが。」

「へ?あ、ごめん!」


 どうやら真白は雷も苦手ならしい。また一つ彼女のことを知れた気がする。


 それにしても最近刺激の強いイベントが多い気がするのだが。


「マイちゃんは大丈夫だった?」

「うん。私は全然。」


 逆にこういうのが苦手そうなマイは平気らしい。


「…!?ねえ、ちょっとあれ!」


 早乙女が慌てだす。


「扉が開き始めてるんだけど!」

「まさか!?」


 扉はまるで俺たちを誘うようにゴゴゴと音をたてながら開いていく。


「これは俺たちに来いって言ってるのか?」

「これってほぼ罠だよね…。」


 このタイミングで開くのは罠としか考えられない。


「でもあいつらがいなくなったってことは先に進んだってことだろ?」

「じゃああたしらも行くしか…って何!?」


行くかどうか悩んでいたその時、突然俺たちは謎の引力によって扉の中へと吸い込まれていく。


「くそっ!引きずりこまれる!」

「何か掴まるものは…。」


 周囲につかめそうなものはない。少し先に柵があるが、ここからでは届きそうにない。


「きゃ!」

「マイちゃん!!」


 踏ん張りきれず引き込まれそうになるマイの手を真白がつかむ。


「だめだ!このままじゃ!」

「くっ!みんな!はぐれないように手を繋げ!」


 俺たちは抵抗むなしく扉の中へと吸い込まれてしまった。


 

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