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第五十四話 諸刃の剣

「かなり下まで続いてんな。」


 5メートル近く梯子を下りたところで地面に足が着く。


「なんだこれ…。地下にこんな空間が広がってんのかよ。」

「すっご…。どうなってんの。」


 話し合った結果、私たちと大河さんだけが行くことにした。万一の場合に備え、大河の仲間を地上に残してきた。


「前と違って迷路みたいになってないんだな。」


 一本の大きめの通路に何本か脇道があるくらいで、構造自体は単純な作りになっている。作った人たちが違うからなのだろうか。


「この脇道がそれぞれ地上につながっているのかな。」

「だったら逃げられないようにしないとな。」


 ここで捕まえられなければ、捕まえるのは困難になる。


「あの部屋じゃない?いかにもって感じがするけど。」


 周りにある扉と違って鉄でできており、頑丈に作られている。


 その隣にはパネルがある。これが扉を開ける鍵なのだろう。


「ここからが本番ってわけだな。」

「うん。じゃあ行くよ。」


 私は剣を取り出し構える。


「はああああ!!」


 そのまま鉄の扉へと振り下ろす。


「なっ…!なんだ!!?」


「どうやらビンゴみたいだな。」


 部屋の中には見覚えのある姿の人たちがいた。


「お、お前らは!!どうしてここが!?」

「馬鹿な…!私の計画は完璧だったはず…!」

「最初はわからなかったわ。みんなを助けるのでいっぱいいっぱいだったから。でも思い返してみるとところどころ違和感はあった。だからここまでたどり着けたの。」


 これまでにいろいろな経験をしてきたからこその結果だ。


「くそ…。こうなっては仕方がない。皆さん、あれを使いなさい。」

「で、ですが…。」

「いいからはやくしなさい!」


「何をするつもりだ…?」


 男たちは胸元にあるポケットから注射器を取り出す。注射器の中には紫色をした液体が入っている。


「まさか…!!」

「もう遅いですよ。」


 注射器を首に近づけ、針を差し込む。


「だめ!!!」


 そのまま薬を体内へと注入していく。


「そんな…。」

「あいつら自分に薬を…!!」


 男たちは皆一斉に苦しみだす。


「ははは…。いいですよ…。やってしまいなさい!!」

「ぐああああ!!!!」


「…!!みんな薬はいくつ余ってる…!?」

「あたしもう1個しか残ってないよ!」

「俺も…。」


(だめだ…!今ある薬の数では全員を元に戻すことができない…!)


「くっ…!」

「真白!!」


 早乙女が横から男を全力で殴り飛ばす。


「だめだよ真白。こいつらは敵なんだ。助けたい気持ちはわかるけど、ためらってたら自分がやられちゃうよ!」

「そうだよね…。でも…。」

「お前は優しすぎる!でもその優しさが仇になることもあるときもあるぞ!」


 わかってる。この人たちはみんなをひどい目に遭わせた。でも私はやっぱり誰かが傷つくところは見たくない。


「…わかった。こいつらの相手は俺らがする。お前は親玉をぶっ飛ばせ。」

「本当は私がぶっ飛ばしたかったけど、真白に譲るよ。」

「…ありがとう。」


 気を使ってくれているのがわかる。つらい役回りをさせてしまって申し訳ない気持ちでいっぱいだ。


「やはりそう簡単にはいかないか。」


 マスターの男も注射器を取り出す。


「な!?どうしてあなたが…!?」

「私が薬を使わないとおもったのですか?この状況で私ができることはせめてあなたたちを殺すことだけですからね。使わない理由がありませんよ。」


 そういうとマスターの男は薬を体内に注入する。


「今私が撃ち込んだのは特別製でしてね。細胞を活性化して能力を限界以上に引き出してくれるんですよ。」

「でもそんなことすればあなたは…!」

「ええ。制御できないうえに、死ぬまで暴走を続けます。まさに諸刃の剣です。」


 どうしてそこまでするの。何があなたたちを掻き立てているの。


「…うっ……初めに行っておきますが解毒薬はありません…。私を止めるには殺すしかありませんよ。」


 このまま放置していてはみんなが危ない。今ここで決めなければ。


「…わかったわ。覚悟を決める。今ここであなたを倒して止める!」






「おらあ!!」

「えい!!」


 アレンたちは次々に男たちをなぎ倒していく。しかし、立ち上がっては襲ってくる。


「真白にあんなこと言っておいて、俺たちも甘いな。」

「なあ、3人で何とかなるか?上に戻れば俺の仲間がまだ解毒薬を持っているはずだ。それを使えば足りるかもしれない。」


 今手元には4つ薬がある。もしみんなひとつづつ持っているのであれば7つになる。これをうまく分配すれば何とかなるかもしれない。


「おっけー。それでいこ。」

「じゃあ少しの間任せるぞ。」

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