第五十話 救出作戦
「あった!!これじゃないか!?」
「ほんと!?」
大河が何かを見つけた。
「えっと、『マニプロイド。脳が外部から受け取る情報を遮り、特定の情報を伝えることができる。』らしいぜ。」
「それだ!」
この2つがあれば人を操ることができるかもしれない。
「この薬品を打ち消すためには…。『カルビアの草を混ぜることで効能は中和される。』だってよ。」
「カルビアの草…。それと…。」
私はゼノキッドαについて書かれているページに一通り目を通す。
「ゼノキッドαにはオラーナの種がよく効くって。」
「おっしゃ!ならその二つを探しに行こう!」
「よいしょっと!」
地面に生えていたカルビアの草を引っこ抜く。
「これでどちらの素材も集まったね。」
カルビアの草もオラーナの種も見つけるのにさほど苦労しないで手に入れることができた。
「あとはすりつぶして…混ぜ合わせて…できた!」
特製の打ち消し薬の完成だ。
「おお!これの二つさえあれば…!」
「うん。彼らを助けられる!」
「…あとは敵がどう動いてくるかだな。」
あの規模の施設ならば動かすことはできないはずだ。つまりあの氷山内にわなを仕掛けている可能性が高い。
「また寒さで動けなくなったら困るから耐寒薬をたくさん買っておきましょう。あとは注意して進む以外にはないと思う。」
「…そうだな。覚悟を決めねーと。」
一度私たちは街へと戻り、耐寒薬とその他使えそうなアイテムを購入し準備を整え、氷山へと向かう。
「みんな、準備はいい?」
「もちろん。今度こそ救ってやろーな!」
「うん!」
気合を入れ私たちは再び氷山の中へと入っていく。
「…どういうことだ。誰もいねーじゃねーか。」
カジノはもぬけの殻で、明りの一つついていない。
ライトであたりを照らしてみるが、人が出入りした形跡はない。
「完全に俺らを誘ってやがるな。」
ご丁寧に闘技場へ続く扉は開かれている。
「操られている人達を助けたければ扉の奥まで来いってことか。」
「上等じゃねーか。どんな罠があってもぶっ壊してやるぜ。」
「そうだね。誘いに乗りましょう。どちらにしたって私たちには進む以外の選択肢はないんだから。」
私は剣を取り出し、ぎゅっと握りしめる。
十分に警戒しながらもう一つの扉まで歩いていく。
「よし、開けるぞ…。」
「オーケー…。」
大河はゆっくりと扉を開ける。
「……なんも起こらねーな。」
「でも油断はしないで。入ってからが本番だから。」
「分かってるさ。」
その後最後の一人が扉を通る。
すると、ここから正面にある大きなモニターが映し出される。
「待っていましたよ。」
モニターには見覚えのある男の姿が映し出されている。
「お前…!」
「おっと、無駄ですよ。私はそこにはいませんから。」
「いないって…どういうことだ!」
「あなたたちの相手は私たちではないということですよ。」
「…!!」
マスターの男がそういうと明りが一気に点いていく。
「ドドドドドッ!!!」
「何!?」
氷がせりあがってきて私たちが通ってきた道を完全にふさぐ。
「今回は前回のように壊して逃げようとしても無駄ですよ。破壊されないように強化しておきましたから。」
「くっ…!!」
「おい!ステージのほうを見てみろ!!」
ステージのほうを見ると30人近い人数がこちらを見ている。
「あれ全部操られてんのか!?」
「ご名答。彼らがあなたたちの相手です。」
「…ふざけんな!どこまでクズなんだてめーら!!」
「なんとでもおっしゃってください。これから死ぬ人達に何を言われようが気にしませんので。」
男はさらに追い打ちをかけるように冷却装置を起動させる。
「相当な準備をしてきたようですが無駄だったみたいですね。仮に彼らを助けられても待っているのは死のみですから。」
「…絶対思い通りにはさせない。命をもてあそぶような奴に負けるわけにはいかない!!」
「見てやがれ!俺らは全員助けてここから脱出する!!」
「んでもってあんたをぶっ飛ばしに行く!!!」
タイムリミットはこの場所の気温が耐寒薬で耐えられる限度を超えるまでの数十分。それまでにこの薬を全員に飲ませてここから脱出しないといけない。
「時間は限られてる。みんな行こう!!」
私たちは薬をもって一斉にステージのほうへと走っていく。
「…せいぜい頑張ってくださいね。寒さに凍えて死ぬのが先か彼らに殺されるのが先か。私を楽しませてください。はっはっは!」




