第四十七話 助けるために
「くっ…!数が多い上に倒してもすぐに立ち上がってくる…!」
「でも全力で攻撃するわけにはいかなねーぞ…。」
「それに…なんか寒くなってきてない?」
どんどんと気温が下がってきており、体温が奪われていく。
手足はかじかみ、体が次第に思うように動かなくなってきた。
(このままだと本当にまずい…!やられる前に凍え死ぬ!)
「聞こえるか?幸運娘!今からあんたらの仲間のところにみんなで向かうぞ!」
「そうしたいところなんだけど…。今あたし見つからないようにするので精一杯なんだよね…。」
「それなら心配すんな!もうこのカジノの闇を暴いたらしい。多少暴れてもどうにかなる。」
「いたぞ!!奴の仲間だ!!」
客席の陰に隠れて電話をしていたが、見つかってしまった。
「やっべ!とにかく扉の向こうで待ってるぞ!」
店員の数は4人。普通ならどうにでもなる数だが、客も多く目立ってしまう。
「…ここはなるべく戦闘は避けて幸運娘を待つぞ!」
「了解!」
大河たちはこの広い空間を利用して巧みに店員の目をかわしていく。
「くそっ!!ちょこまかと逃げ足の速い奴らめ!逃げられると思うなよ!」
大河たちも幹部戦には参加していないものの、ここまで進んできただけあって普通の人に追い付くことは難しいだろう。
「多少暴れてもどうにかなる…か。それならあたしの得意分野だな!よーし!」
早乙女は思い切り飛び出し、扉まで一直線に走り出す。
「な!?そこにいたのですか!?」
「悪いねおじさん!もうかくれんぼに付き合ってる必要がなくなったから!」
「待ちなさい!」
待てと言われて待つわけもなく早乙女は全速力で駆け抜けていく。
「くっ…!!でもまあいいです。最悪の場合あれを使いましょう。」
「…追ってこない。まあいいや。そんなことよりも早く合流しないと。」
早乙女は二つ目の扉を開ける。
「えっと…みんなはどこにいるんだろう。」
あたりを見渡すと、遠くの方で走り回る人たちが見える。
「…あれかな?」
大河達らしき人を見つけたので向かおうとしたところでメッセージが届いた。
『助けて。』
真白からのメッセージだった。
「これは…!?急がないと!」
(もうほとんど体が思うように動かない…。)
「マイちゃん…大丈夫…?」
「…うん。なんとか。」
「無理しなくても…大丈夫だよ。私たちで…何とかするから。」
体に何かを流し込まれた人たちは、寒さに凍えることなくこちらへ向かい続けてくる。
「本当勘弁してくれよ…。」
「うりゃあああああああ!!!!」
意識が朦朧とし始めてきた時、何かが壊れるような大きな音が聞こえてきた。
「みんな!大丈夫!?」
音がした方から早乙女たちが走ってくる。大きな音はシャッターを壊した音のようだ。
「さっむ!こんなところにずっといたの!?」
「うん…。来てくれてありがとね。」
「でもよかったー。間に合って。」
「なるほどな。ステージを突っ切ってでも早く花澤さんたちのところに行きたかった理由はこういうことだったか。」
一瞬の隙を狙って送った私のメッセージを見て1秒でも早くとみんな駆けつけてくれたようだ。
「とりあえず今はここを出るぞ!」
「でも…あの人たちが…。」
「今はあんたらが優先だ。一度体勢を整えよう。それにあんたらでもこんなんになるくらいなら俺らじゃどうにもならねえ。」
実際状況は良くない。操られた彼らを元に戻す具体的な方法がわからない今、ここにいてもできることはない。
「やばい!早くしないと俺らまで危ない!」
「あたしが道を切り開くからみんなをお願い!」
「わかった。頼んだぜ!」
大河さんたちは私たちを背負って脱出を試みる。
しかし、ステージの方から来たということは当然周りの注目を集めてしまったということだ。
「おい!なんだよてめーら!邪魔してんじゃねーぞ!」
「クソヤローが!」
そこら中から罵声が飛び交う。
「やっちまえー!!」
狙いは一気にこちらへと向く。
「まずいな…。」
「まるで俺らが悪者みたいだな。」
何も知らない観客たちの目からは当然場を荒らしたこちら側が悪者に見えるだろう。
「ははは。バカどもめ!もうお前らは逃げられない!」
「いーや、あたしたちは逃げるんじゃない。あんたらみたいなゴミ野郎をぶっ倒すために準備しに戻るだけだ!」
そう言い放つと早乙女は地面を思い切り殴る。
騒がしかった会場が一気に静かになる。
「覚えておけ!あたしたちは必ずここに戻ってくる!その時はいくらでも相手をしてやる!それでもって全員ぶっ倒す!」
「…お、お前らなにをやっている!早くあいつらを捕らえるぞ!」
「りょ、了解です!」
「今のうちに早く行こう!」
「お、おう!」
「ははは!あんたやっぱすげーな!」




