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第四十六話 操り人形②

 私たちが扉を抜けて数分が経った頃。


(うっ…やばい!さすがにこれは負けたかも…。)


 早乙女はあれからも運の強さだけで持ち堪えていたが、限界を迎えていた。


「では引かさせていただきます。」


 出たカードはハートのAだった。


「やっと負けたぜあの子。」

「一人で何連勝したんだよ。」

「俺も勝ちてーなー。」


 早乙女が負けたことによってこれまでずっと注目していた店員の注目が逸れ始めていく。


「…あの子確か連れの方と来ましたよね。」

「え、確かそうだったと思いますが。」

「一体どこへ行ったのでしょう。姿が見当たりませんね。」


 真白たちがいないことに気がついたのは、ここに来た時に出迎えた男の人だった。


「念のためあちらの方を探してきてください。もし例のことに気がついているようだったら始末して構いません。」

「了解しました。」


(まずい…!真白たちがいないのがばれた…!このままだとあたしも危ないかも。どうにかして身を隠さないと!)


 咄嗟の判断で早乙女はいち早く身を潜める。


「私は彼女に問い詰めてみます。」


(あっぶなー…。やっぱ隠れてよかった!でもここからどうしよー…。とりあえずみんなに連絡したほうがいいかな。)


「…見当たりませんね。でもあの状況で逃げたとは考えにくい。ならまだこの場にいるはず。」


(くそー!あいつから目を離したら見つかるかもしれない。やばいな…。)






「タケルの奴やっぱ見当たんねーな。ここにはいねーのかな。」

「んー、でもここにいないとなるとまた一から探し直しか…。」


 大河たちは一通り客席を見て回ったものの、タケルを見つけることはできなかった。


 もう一度最初から見て回ろうと扉の方へ向かっているその時、扉が開き、店員が複数人入ってきた。



「ここに彼女の仲間たちがいるかもしれない。隈なく探すんだ。」


「…!?バレてんじゃねーか!」

「いや、かなり時間は稼げた方だろ。とりあえず奴らが動き始めていることを花澤さんたちに伝えよう。」


 大河は真白に電話をかけようとする。


「どうして探す必要があるんですか?」

「秘密がばれているかもしれない。そうマスターは考えていた。」

「まさか…!?」

「…もしそうだったら始末いて構わないとのことだ。」


 耳に入ってきたのは衝撃的な内容だった。


「始末って要するに俺たちを…。」

「どうやらとんでもないことを隠してるみたいだな。早く伝えなければ!」






「やばいことになった。今からそこから離れた方がいい。」


 突然の電話だったが、彼がどうしてそんなことを言っているのか大体の予想はつく。


「あいつら俺らを殺すつもりだぜ。」

「…そう。なら早く解決しないと。」

「解決?どういうことだ?」

「ここは人に何かを流し込むことで強制的に戦わせているの。私たちは今その装置を見つけたの。」

「なんだと!?タケルは?無事なのか?」

「わからない…。でも私はこの人たちを助けたい。」


 私たちを探しに動き始めているということは、あの人たちがここに来るまで時間はほとんどない。


「無理を承知でお願いしたいのだけど…。大河さんたちもこっちにきてくれないかな。証拠がある以上多少手荒でも構わないから。」

「…わかった。強運娘もつれてそっちに向かう!」

「ありがとう。」


 そういって私は電話を切る。


「私たちはこの装置を何とかしないとね。」

「ああ。それにしてもひどい真似しやがる。」

「そうね。しかもお金をかけているから余計たちが悪いわ。」


 このことを観客はきっと知らない。戦いは始まる前から勝敗が決められている。一番弱そうな人に勝たせることで儲けているのだろう。


「絶対に許せない。誰かを利用するだけ利用して自分は安全なところから見ているだけなんて…!」

「マイちゃん…。」


 マイも今までつらい思いをしてきた。だから余計にこの状況が許せないのだろう。


 怒りは募っていく一方、装置をどういじればいいのかわからず、時間だけが過ぎていく。


(一か八かにかけるしか…。いや、それで失敗して取り返しのつかないことになったら…。状況が悪化するようなことは避けないと…。)


「いたぞ!!例の仲間たちだ!!」


 梯子の上から声が聞こえてくる。


「!?もう見つかっちまったのかよ!」


(予想以上に早かった…!このままじゃ…。)


「ここにいるということはマスターが言っていた通りってことか。お前たちには悪いがここで死んでもらうぞ!」


 男の手にはリモコンのようなものが握られており、男がボタンを押すと先ほどの人が入っていた機械が開き始めた。


「お前らの相手はこいつらだ。こいつらは死ぬまでターゲットを狙っていく。せいぜいあがくんだな。」


 そういって男はかけてあった梯子を倒し、ステージにつながる道に遠隔操作でシャッターを閉める。


「まずい…!逃げ場が完全に封じられた!」

「戦うしかねーってことかよ。」


 機械から出てきた人たちは皆操り人形のように私たちをめがけて突進してくる。


「…今は大河さんたちがくるまで持ちこたえるしかないようね。」

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