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第四十五話 操り人形①

「えーっと…これでどーかな?」

「な!?」

「まじかよ!あの子スゲーぞ!」


 周りがざわつき始めている。


「いやー、これほどまでとは…。すごいなあの子。」

「でもこれでいけるんじゃねーか?」

「ううん、まだ。客の目を引くだけじゃ意味ないもの。」


 店員が注目しなければ意味がない。今はまだ潜むしかない。


「あ、なんかこれいい感じ!」

「ウソだろ!ロイヤルストレートフラッシュだと!?」


 次第に注目が集まってきている。店員も少し気になってきている様子だった。


「よし!その調子だ!あと少し…!」


 ことは順調に運び、その後も早乙女は勝ちを重ねる。


 さすがに店員も動揺の色が出始め、全員の視線が早乙女のほうに向かっている。

 

「今だ!行くぞ!」


 ばれないよう静かに且つスムーズに扉へと向かう。


「このまま入るぞ。」


 鍵はどうやらないようで、時間を取られることもなく私たちは侵入に成功した。


 扉の向こうは各扉に続く廊下があり、今入ってきた場所のほかに2つほど扉がある。1つは先ほどの話にも出てきたように店員が使う用の扉だろう。


「あの向こうに見える扉の先に何かあるのかな。」

「翼ちゃんが時間を稼いでいるうちに早く行こう。私たちがいないとばれるのも時間の問題だから。」

「そうだな。こっから先は何が広がっているかわからない。慎重にいかねーとな。」


 ゆっくりと扉を開き、中の様子を確認する。


「うおおおおお!!!やれ―――!!!!」

「…何!?」


 中からはいろんな人の叫ぶ声が聞こえてくる。


 恐る恐る中に入ると、中心のステージを囲むように客席が広がっている。


「これは一体…?」

「行けーー32番!!ぶっ飛ばしちまえ!!」

「負けるな18番!!いくら賭けたと思ってんだ!!」


 中心に見えるステージでは4人の人たちが殴り合っている。


「どうやらあの4人の誰が勝つかを賭けてるみたいだな。隠していた理由はこれか。」

「なんかあの人たち様子が変じゃない?何というか全員我を失っているみたいな。」


 ステージ上で戦っている人たちは皆、まるで痛みなど感じないかのように殴られては殴り返し、倒されては立ち上がりを繰り返している。


「気味が悪ぃーな。」

「…大河さん。あなたたちは客席にタケルさんがいないかを探して。」

「あんたらはどうするんだ?」

「私たちはあそこに見えるステージの裏側の部屋を目指すわ。どうも気になるの。」

「分かった。じゃあまた別行動ってわけだな。」


 私たちは再び二手に分かれてタケルさんの捜索に移る。



「ねえ、気になるって言っていたけど何が気になるの?」


 ステージの裏側へと向かって走っている途中、マイが言った。


「この世界は私たちの知らないような力が蔓延っているでしょ。もしかしたらあのステージで戦っている人たちも、戦っているのではなく戦わされているのかなって思ったの。」

「じゃあそれを確かめるためにあの場所に向かってるの?」

「うん。もし本当に戦わされているのなら止めないと。」


 観客の声が大きいため、多少派手に動いてもばれることなく、ステージ裏の部屋につながると思われる扉の前まで来ることができた。


「さすがにここには鍵がかかっているね。」

「どうする?ここ以外だともう直接ステージから行くしかないけど。」

「そっちの方がリスクが高いだろ。壊すしかないんじゃねーか?」


 どちらをとっても危険にかわりはない。鍵を壊してしまえば侵入したことがばれてしまう。


「んー、どうしよう…。早く決めないといけないのに…。」

「なら…。」


 アレンがカギを壊す。


「迷ってる暇ねーんだろ?だったら行くしかねー。」

「…そうね。行こう!」


 目的の部屋は今いる場所から下に降りたところにある。


 扉の奥はかなり複雑な構造をしており、一度階段で上に上がった後はしごで降りる仕組みになっていた。


「やっと着いた…。」

「やけに暗いな。それに寒い。」


 氷山の中は暖かかったが、ここは外と変わらないくらい寒い。


「なんなんだろう。ここは。」


 周りには変な機械がいくつも転がっている。


 部屋の奥に進むと先ほどの機械と同じもので起動しているものがあった。


「なんだよこれ!?中で人が眠ってるぞ!」


 機械にはそれぞれチューブがつながれており、その先には機械を操作するための装置があった。


「これで一体何をしているというの…?」


 装置にはいろいろな言葉が書かれているが、どれも聞きなじみのない言葉だった。


「この機械を止めるにはどのスイッチを押せば…!」


 そんな時、左手の機械が震えだした。


「これは…電話。大河さんからだ。」


 私は電話に出る。


「まずいことになった。早くその場から離れた方がいい。」

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