第四十四話 賭け
「思ったよりも狭いな。本当にここを通るのか?」
「切断面がきれいだから自然に出来たとは考えにくいから、この奥に何かあるのは間違いないと思う。」
先に行った大河たちが戻ってきていないのが何よりの証拠だ。
「おっけー。じゃあ行こ!」
後ろに気をつけながら進んでいく。
「うわー、広!」
「ここって…カジノ?」
「見た感じそうだな。邪悪なにおいがプンプンするぜ。」
「?そんなにおいしないよ?」
何を言っているのかわからないような顔でマイがアレンを見ている。
「悪い悪い。いやな気配がするってことだ。俺の偏見かもしれねーがこういうところは基本なんか裏があるんだ。」
「でも実際こんなところにまるで隠されているようにあるってことはそういうことなのかも。」
テレビでそんなのを見たことがあるようなないような。
「!?誰か来るよ!」
「マイちゃん!どこかに隠れて!」
この場所に小さな子供がいては怪しまれてしまう。
マイはとっさにアレンの陰に隠れる。
「お客様。どうなさいましたか?」
「えっと…先に私たちの仲間が来ているはずなんですけど。」
「…そうですか。ではご自由にどうぞ。」
そういって男は去っていく。
私はこの男の人の対応に少し違和感を覚えながらも大河さんたちと合流することにした。
「お!いたぞ。」
そこには真剣な顔でトランプを見つめる大河の姿があった。
「ん―――これでどうだ!」
ディーラーが手札を公開する。
「あああ!くっそ!またか!」
「…。」
はたから見るとただの客にしか見えない。
「あのー…大河さん?」
「うお!?来てたのか!」
「…何してるんですか?」
「いやいや、俺らもちゃんとやってるさ。少し待っててくれ。今からみんなを呼び出すから。」
そういうと大河はメッセージで一斉に送信する。
「さ、俺らもあそこに見えるバーへ向かおう。」
「バーって…あたしらお酒飲めないよ?」
「飲むふりだけでいいさ。」
ほかに集まれそうな場所もないので私たちはバーへと向かった。
「とりあえずそれぞれが得た情報について話し合おうか。」
「おいおい、大丈夫なのか?誰かに聞こえでもしたら。」
「周り結構騒がしいから大丈夫だろ。」
念のため細心の注意を払い私たちは話し合う。
「まず俺が気になった点はここの店員が時々客をジーっと見つめながらこそこそ話し合っていたことだ。何を話していたかまではわからねーが、どうも普通じゃない。」
…私たちが来た時の対応といいやはりここの店員は少し変だ。カジノに来た私たちに対して最初にどうなさいましたかなんてふつうは聞かない。
「次は俺だな。あの奥に扉が見えるだろ?あそこだけやけに監視の目が多いんだ。あの先に何かあると思わないか?」
「俺もそれが気になってたんだ。」
監視の目か…。見られたくないものでもあるのだろうか。
「そのことなんだけど、俺一人気になった女がいたんだよ。そいつ、ずっと時間を気にしてると思ったら急に店員の男の方へ向かってたんだよ。そうしたらその女ポケットから何かを取り出して店員に見せてたんだ。その後奥の方に連れていかれたからそっから先はよくわからないけど。」
何かを見せた…?このカジノの裏で何が起きているというの?
「それなら行ってみるしかねーな。扉の向こう側に。」
「そうね。どうにも何かを隠しているようにしか思えないもの。」
「問題はどうやって行くかだな…。」
監視の目が厳しいならそう簡単に通らせてはもらわないだろう。この人数になると特に難しい。
「この先のことを考えるとなるべく手荒な真似はしたくないし…。」
なかなかいい作戦が思いつかない。
「…この中に運のいい奴っているか?」
「んー、あたしいい方じゃないかな。」
「そんなこと聞いてどうすんだよ?」
「ここはカジノだ。なら勝ち続ければ勝手に注目を浴びる。そしたら監視の目も少し緩くなるんじゃないか?」
「あまり詳しくないからわからないけど、それってうまくいくの?」
カジノで勝ち続けることは簡単じゃないだろう。
「最悪いかさまだのなんだのと騒げば注目も集まるだろう。」
「えー、それってあたしのリスク高くない?」
「でもそれくらいしか方法が思いつかないんだよな。」
手荒な真似を避けるならこの作戦に乗るしかなさそうだ。
「ごめんね。頼めるかな?」
「…わかった。あたしやってみるよ。」
「もし中に入ったとしたらその後はどうするんだ?」
「中がどうなっているかわからない以上、入ってから決めるしかないね。」
うまくいくかは置いといて一応の作戦は決まった。早乙女がうまくやってくれることを祈るしかない。
早乙女さんが勝負をしている間に私たちはあまり人目に触れないように隠れるように配置につく。
(早乙女さん頑張って。今はあなただけが頼りなの。)




