第四十三話 隠れ家
真白たちがアイスゴーレムを相手している間、大河たちは氷山にあいたわずかな隙間を通ろうとしていた。
「狭いな…。これじゃこの先に何かあればいいんだが。」
「とりあえず一人ずつ行ってみようぜ。」
「それもそうだな。みんな気を付けて行こう。」
体を横にして一人ずつ隙間の中へ入っていく。
数メートル続く隙間を抜けると、そこにはとんでもない景色が広がっていた。
「なんだよここ…!!」
「オラァ!!…やっぱ効かねえか。」
固い氷で作られた体は全然攻撃を通さない。そのうえ足場も氷なので滑って思うように動けない。
「なんかいい方法は…。」
氷といえば火が効きそうだが、今の私たちの中には火属性攻撃を使えるものがいない。
「ゴオオオ!!!」
「くっ…!」
なかなか切り込むことができないまま、なんとかかわしてる状況が続いている。
「地の利がありすぎる!」
「どうにかしてダメージを与えないと!」
一番攻撃力の高いアレンさんでもダメージが入らないとなると。まともにやっても勝てない。
「こんな時春人君なら…。」
きっと彼ならこんな状況を打破する策を思いつくんだろうな。
(…だめだめ。今は目の前の敵を倒すことだけを考えないと。まずは相手の特徴をよく見て…。そっか…!相手が氷なら一点に集中して攻撃を当て続ければ行けるかもしれない!)
「みんな!右足の付け根だけを集中して狙おう!」
「なるほど…!今は固い体も一度崩せば周りも脆くなるもんね!」
「うん!」
足の付け根さえ割ってしまえばあの巨体を支えきれずにバランスを崩す。そうなったら私たちの勝ちも同然だ。
「せいやあああーーーー!!」
「やああーーー!!」
攻撃をかわしつつ着実に攻撃を当てていく。
(全力じゃなくてもいい。今は足へのダメージを蓄積させるんだ。)
「ゴオオオァァァ!!!」
「ひびが!!いけるぞ!!」
「みんなで畳み掛けよう!!」
アイスゴーレムは何が起こったのかわからず戸惑っている。
「これで決める!!『エアリアルスラスト!!!』」
スキル攻撃が命中し、アイスゴーレムの足はパリーンと音を立てて割れる。
「ゴアアアア!!!!」
アイスゴーレムはそのままバランスを崩し膝をつく。
「よっしゃー!!やったーーー!!」
片足を失ったアイスゴーレムはもうその場を動くことができない。
「とりあえずこれで一安心だが、どうする?とどめを刺すか?それとも先を急ぐか?」
「…一応とどめを刺しておきましょう。もしかした再生するかもしれないし、ここで倒しておかないと。何が起こるかわからないのがこの世界だから…。」
「そうだな。それが一番いいかもな。」
ほんの少しの油断が命取りになる。私たちはそれを痛いほど知っている。
動けないアイスゴーレムにとどめを刺し、私たちは大河さんたちの後を追う。
「急ぎましょう。」
「うん。」
「おいおい、ここは一体何なんだ。俺は夢でも見てんのか?」
氷山の中にあったのはカジノだった。
「なんでこんなところにカジノなんてあんだよ。」
「知るか!」
少なくとも大陸が分かたれてからこの世界の住民の手によって作られたものであるのは間違いない。
「おや、お客さんかな?」
「!?」
あっけにとられていた大河たちに一人の男が話しかける。
「えっと…ここは一体…?」
「ここは見ての通りカジノですよ。魔物に支配されたこの世界で娯楽に飢えた人々の手によって作られたものです。」
「そうか…。ちょっとすいません。」
大河たちは男に聞かれないよう小さな声で話し合う。
「どう思う?ここにタケルの奴いると思うか?」
「わからないがここはどうも嫌な感じがする。」
「俺もそんな気がしてた。ここは妙な勘繰りをされないよう相手に合わせて花澤達が来るまで大人しくしてよう。」
「了解。」
「すいません。俺らもやらせてもらってもいいですか。」
「構いません。ではお好きなところへどうぞ。」
そういうと男の人は元居た場所へと戻っていった。
「ここでは魔物に襲われる心配はなさそうだな。なるべく分かれて怪しいところがないか探ろうぜ。」
「こういったものに詳しい奴っているのか?」
「…。」
「だよな…。なるべく金は温存しておきたいから、使う金はなるべく抑えよう。でも万が一疑われるようなことがあったらまずいから、そういう時は遠慮なく使おう。ここでの俺らのミッションはタケルがいるのかを確かめることだ。」
大河たちは手持ちのお金を分配する。
「じゃあやるぜ。ミッション開始だ。」




