第四十二話 氷の魔人
「なあ、あんたらちょっといいか?」
ゴーグルをかけた男の人が、防具屋を出た私たちに話しかける。
「お前さん誰だ?」
「俺は大河和哉っていうものなんだが。あんたら確か幹部戦に参加してたよな?」
「確かに参加してましたけど。どうしてそれを?」
「どうしてって…。やっぱ覚えてねーか。俺一応最初の幹部戦に参加してたんだけどな。」
そういえばこんな雰囲気の人がいたような気がしなくもない。でも人数が多かったのに加え、初めは不安で頭がいっぱいだったから誰が参加していたなんて覚えていない。
「まあ、無理もねーよな。2回目以降ビビっちまって参加してねーからな。」
「ごめんなさい。それで何の用ですか?」
「俺5人パーティーのリーダーをやってるんだけど、この大陸にきて一人行方不明になっちまったんだ。そいつタケルっていうだけど、俺らの中でも一番気が弱くてな。早く探してやりてーんだが、ここの魔物は強くて俺らだけだと見つける前にくたばっちまうと思って。そこであんたらに頼みたいんだけど、俺たちと一緒にそいつを探してくんねーかな?」
「そういうことだったら構わないですよ。私たちでよければ喜んで協力しますよ。」
みんなも協力することに賛成なようだった。
「ありがとう。まずは俺の仲間を紹介するからついてきてもらえるか?」
「おーけー!」
大河についていくと、ついたのはこの街にある酒場だった。
「みんな。心強い仲間を連れてきたぜ。この人たちは幹部戦でも活躍してるめっちゃ強い人たちだ。」
「おお!それは心確かに心強い!」
「そういわれると照れるなー!」
「はは!よろしく頼むよ。気軽に接してくれて構わないよ。」
仲間が行方不明と聞いて少し暗いのを予想していたけど、みんな明るそうだった。
「それで、タケルはどこでいなくなったんだ?」
「…いなくなったのは多分ここから南にしばらくいったところにある氷が広がっている場所だ。」
「多分っていうのは。」
「ああ、あの時はアイスゴーレムに襲われちまってな。気が付いたらはぐれちまってたんだ。」
「なるほど。」
アイスゴーレムがどれほどの強さかはわからないけど、相当な強敵であることはわかる。
「じゃあ早速探しに行きましょうか。ここにいても何も始まらないので。」
「助かるよ。」
こうして私たちは彼らが仲間とはぐれたという場所に向かった。
「ここでいいのね?」
「ああ。ここで俺らはアイスゴーレムに襲われたんだ。」
確かにところどころ氷が砕けていることから戦いが起きたことがわかる。
「それでそのアイスゴーレムってのはどこにいるんだ?」
「んー…。結構時間もたつからな。どっかに行ったんだろうな。」
「そっかー。」
「それなら好都合ね。早いうちに探しましょう。」
「そうだな。」
いつまたアイスゴーレムが襲ってくるかわからないので、私たちはなるべく固まって探すことにした。
「おーい!タケル!どこにいるんだー!」
「タケルさーん!どこにいるのー?」
しばらく名前を呼び続けたが、見つかる気配は一向にない。
「全然見つからないね。」
「うん。もうここら辺にはいないのかな。」
「もうちょっと奥の方探してみよ―ぜ。」
奥の方も見た感じ人がいるようにはみえなかった。
「いねーな。あいつどこに行ったんだ?」
探し始めてから結構な時間がたつ。
耐寒薬の効果が切れ始め、体が冷えていく。いくら防寒着を着ているとはいえ、冷たく吹き荒れる風を完全に防ぐことはできない。
そんな時、マイが何かを見つけた。
「ねえ、あれ何かな?」
マイの指さした方向には巨大な氷山があった。
「あれがどうかしたの?」
「あの氷山の下の方に何かない?」
「何か?」
私はじっと目を凝らして氷山の下を見つめる。
「あれは…なんかの入り口みたいに見えるね。」
あそこだけ人一人分はいれそうな隙間が空いている。もしかしたらあの中にいるのかもしれない。
「行ってみよう。」
向かおうとした次の瞬間。
「ゴオオオオ!!!」
「アイスゴーレム!!?」
行く手を阻むように私たちの前にアイスゴーレムが現れた。
「これがアイスゴーレム…!?」
「ああ!あれに俺たちは襲われたんだ!…くっそ!こんな時に…!」
「ゴオオオオオ!!!!」
アイスゴーレムが巨大な手を振りかざす。その威力で地面には大きなひびが入る。
「…ここは私たちが相手します!皆さんはあそこに向かってください!」
「…!?あんたらを置いていくなんて…!」
「大丈夫!あたしたちもこいつを片付けたらすぐ向かうから!」
「く…!!わかった。ここは頼んだ!」
「りょーかい!!」




