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第三十五話 嘲笑

 ドームの中に入ると、いつものようにフィールドが展開されていく。


「今回は今までよりも広いね。」

「敵がでかいからな。」


 敵のサイズに合わせてフィールドも大きく設定されているようだ。


「来るぞ!!」


 巨大な樹の魔物は、いくつもの刃物のように鋭くとがった枝を伸ばし攻撃してくる。


「なるほど、今回の敵は移動することはできないみたいだな。」

「でも…。」


 枝は切っても切っても次から次へと生えてくる。


「あれじゃ近づけないよ。」

「まいったな…。」


 攻撃範囲も広く死角がない。今までで一番厄介なのは言うまでもない。


「とりあえず美織は後ろに下がっててくれ。その盾ならある程度の攻撃なら防げるはずだ。」

「でも私も…。」

「美織は回復のかなめになる。だから美織が無事なら俺たちは安心して戦える。」

「…わかりました。」


 美織はうなずくと後ろへと下がっていく。


「さて、まずはあの厄介な枝をどうにかしないとな。」

「なんか作戦はねーのか?」


 すると横からが早乙女が話しかけてくる。


「作戦なんていらないって!」


 そういうと早乙女は樹の魔物へと突っ込んでいく。


「全部よければそれで解決だー!」

「まて!くっ!俺たちも行くぞ!なるべく攻撃を分散させるんだ。」


「お、春人君たち突っ込むみたいだよ。どうするリーダー?」

「ふふ。いいだろう。彼らに乗ろうじゃないか。我々も行くぞ!」


 気が付けばこの場にいるほとんどが樹の魔物に向かって走っていた。


「おりゃりゃりゃー!!!」


 最初に突っ込んでいった早乙女は勢いを止めることなく走っていく。


「このままいくぞーーー!」


 うまくかわしながら接近していく。


 しかし、そううまくいくはずもなく、攻撃をよけた先にはすでに枝が伸びてきていた。


「やばっ!みえなか…。」

「はああ!!!」

「やああ!!!」


 間一髪で俺と真白は早乙女に追いつき、枝を切り裂いた。


「あっぶな。助かったよー。」

「一人で突っ込みすぎだ。敵に近づくほど次の攻撃までのスパンは短くなる。気を付けて。」

「次くるよ!」


 少し下がりつつ攻撃を回避する。


「…くそ。どうしたら…。」

「なんのためにこの人数がいると思ってんだ。」


 そう言ったのは優樹だった。


「俺たちがお前らをあいつのもとへと連れていってやる。」

「でもどうやって…。」

「俺たちが壁になる。春人君と早乙女さんの二人は攻撃に専念してくれ。もちろんすべてを防ぎきるのは無理だろうけど、単体で突っ込むよりはましだと思うよ。」

「みんなはそれでいいのか…?」


 俺は辺りに目を配る。


「私たちはそれでいいよ。」

「ああ、任せとけ。」

「俺らは…リーダーがいいというなら構わねえ。」


 全員が黒谷のほうを見る。


「…もちろんいいだろう。勝つためだ。それにここで嫌なんて言えないだろう。」

「…ありがとう。」


 俺たちは態勢を整え、再び樹の魔物のもとへと走り出す。


「オラァ!!!」

「ふんっ!!」


 次々と迫りくる枝を一本一本切っていく。


「みんなすげー…!あたしたちも頑張んないとな!」

「そうだな。みんなのためにもここで一撃くらわすぞ。」


 みんなのおかげでかなり接近することができた。


「っしゃ!これならいけるぜ!」


 樹の魔物は阻止するように、枝を伸ばしてくる。


「早乙女!今だ!」

「おーけー!」


 攻撃の的から外れた瞬間を狙って俺たちは枝へと飛び乗った。


「くらえ!!『フレイムボルト!!』」

『月光拳!!!』

 

 放たれた一撃は見事に届いた。


「決まった!!」


 確かに決まった。でもなんだこの感じ。まるで手ごたえがない。


 すると、樹の魔物はにやりと笑う。


「そんな…!効いてないのか…!?」

「ひっひっひ。」


 樹の魔物は体を揺らしはじめ、葉を落とし始めた。


「まさか…あの葉っぱもか!?」

「あんなの防ぎきれねーぞ!」


 針のようにとがった葉の雨が降り注ぐ。


「くっ。」


 フィールドいっぱいに降り注ぐ攻撃になすすべなく、体力を削られていく。


「はぁはぁ、やばいな…。」

「皆さん!こちらに!」


 そう叫んだのは美織だった。


「この中ならある程度の攻撃は防ぎきれます。」

「よし、みんな美織のところへ急げ!」


 葉の雨をかわしながら美織のもとへと急ぐ。


「これは…。」

「私のスキル『光の領域』です。これなら広範囲の攻撃にも対応できます。」

「…前から思っていたけど、美織ってすごいよね。」

「え?」


「…。」


 これ以上は無駄だと思ったのか、攻撃が止んでいく。


「止まったか。ふぅ、ありがとう美織。助かったよ。」

「いえ、攻撃に参加できない分ここで役に立たないと。」


 とはいえ状況は最悪だ。攻撃が効かない以上、接近しても意味がない。


「くっそ。どうしたらいいんだよ。こんな化け物。」

「さすがの君も困っているみたいだな。」

「…黒谷か。ああ。正直言ってもう打つ手がない。」


 そう答えた俺をみて黒谷はくすっと笑う。


「なら一つ気づいたことを教えてあげよう。」

「気づいたこと…?」

「ああ。こんなところで君に諦めてもらうわけにはいかないのでな。」

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