第三十二話 自慢の武器
早乙女が仲間になってから1週間がたった。
あの日以来特に大きな事件はなく、俺たちは平和に過ごしており、今はちょうど昼食をとっている。
「やっぱりこういう時間を過ごすのはいいものだな。」
今思えばこの短期間に信じられないような体験をしてきた。元の世界のいたら絶対に経験できないようなものばかりだ。
「でもこの生活にちょっと慣れてきている自分が怖い気もするんだよね。」
平和といっても当然レベル上げのために魔物とは毎日戦っている。そのことを当たり前のように思えている時点ですでにこの世界に飛ばされたばかりのあの頃の自分とは違うのだと実感させられる。
「私はまだちょっと怖いです…。」
「俺もだぜ。さっさとこんな危険な世界からおさらばして―ぜ。」
「そう?あたしはこの世界嫌いじゃないけどなー。もちろん死ぬのは怖いけど、みんなにも会えたし嫌なことばかりじゃないもん。」
考え方、感じ方は人ぞれぞれだ。慣れた人もいれば、当然慣れない人もいる。
「でも、結局は魔王を倒すまではこの生活はかわらないですもんね。」
「ああ。戦いからは逃げられない。」
本当に平和な日常はこの世界を救うまでは手に入らない。
「そろそろ行くか。」
そういうと、俺は最後の一口をほおばる。
「そういえば、新しい武器ができたぜ。」
そういうと、アレンはメニュー画面から全員分の武器を取り出す。
「まずはお前のだな。」
アレンは俺に剣を手渡す。
「うわ、すごいな。」
「だろ。攻撃力がかなり上がっているはずだぜ。」
それは今使っているものよりも全体的に一回り大きく、格段に重かった。
「んで、これが真白。」
「ありがとうございます!」
真白のは俺のと違って、少し細くなっている。
「耐久性は上がっているから安心して振ってくれて構わね―ぜ。」
それを聞いて真白はほっとしている。真白はああ見えて無茶な攻撃をするからな。
「これがマイのだ。持ちやすくしてあるからかなり扱いやすくなってると思うぜ。」
「ありがとう!」
マイは耳をパタパタさせている。早く使ってみたいという感じがすごく伝わってくる。
「これが美織のなんだが…。ちょっと重くなっちまって。大丈夫か?」
アレンが美織に盾を渡すと、その重さで少しよろける。
「わ!本当に重いですね。でも何とかなりそうです。私の分までありがとうございます。」
「どうってことよ。んで、これが早乙女のだな。」
「え、あたしにも?まじー!?ありがとー!」
グローブには攻撃力を高めるためのとげがついている。
「すっご!ぴったりだ!天才だな!」
「当ったり前だろ。」
「あの二人相性いいよね。」
真白が俺に話しかける。
「そうだな。ちょっと似たところはあるかもな。」
「それで、あんたのはどんななんだ?」
そういえばまだアレンのを見ていなかった。
「よくぞ聞いてくれた。俺のは…。」
そういって取り出したのは、赤と黒の配色に炎の派手な装飾のついたいかにも小学生が好みそうなものだった。
「…。」
自慢気に見せてくるアレンだったが、俺たちはなんて反応していいかわからず、何も話すことができなかった。
「うおー!かっこいいー!」
しかし、早乙女にはビビッときたようで、興奮気味な様子である。
「…やっぱり相性いいな。」
「…でしょ。」
「さて、武器もそろったことだし行きますか。」
「今日はどこに行くの?」
マイが尋ねる。
「んー。行ってないところってまだあったっけ。」
「森の西側はまだ行ったないんじゃないかな。」
「それじゃあ、そっちの方へ行ってみるか。」
「でも、魔物はいるのでしょうか?」
あっちの方はマナの木の影響を受けて魔物がほとんどいない。
「とりあえず行ってみようよ!そこに幹部もいるかもしれないし!」
「そっか、まだ幹部見つかってないんだよね。」
特にボスが見つかった情報は入っていない。情報屋から連絡も来てないので捜索も難航しているのだろう。
「もしかしたら見つけられるかもしれないし、行ってみるか。」
幹部戦はフィールドに入らなければ始まらない。だからいきなり戦闘になることはない。
こうして俺たちは森の西へと向うことにした。




