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第二十六話 潜入

「…なんかいかにもって感じの扉だな。」


 特殊な素材で作られているようで、どこか禍々しい雰囲気が漂っている。


「勢いでここまで来ちまったけど、これからどうずんだ?」

「敵のアジトにこの人数で乗り込むのは厳しいかもな。ここは一度リーダーたちに連絡して、来てもらうのを待つのも手だな。」

「でもそんな時間はないかもしれない。」


 もし、アジトの入り口がここだけではないとしたら、ほかの大陸の人が危ない。


「その前にこの扉どうやって開けるのかな?」


 スキルを使ってもおそらくは破壊できないだろう。


「どこかに仕掛けがあるのかも。」


 こういう時は大体壁に隠しスイッチがあるものだ。


「…ちょっと待って。」


 皆壁に手をあて探っていた時、マイが言った。


「足音がする。」


 俺たちも耳を澄ませる。


 すると、コツン、コツン、と足音が聞こえてくる。


「まずい!どこかに隠れろ!」


 あわてて岩壁の隙間に身を隠す。


「聞いたか?今日の夜には計画を実行するらしいぜ。」

「おい、あまり大きな声で話すなよ。」

「大丈夫だって。誰も聞いたりなんかしてねーよ。」

「それもそうだな。それにしてもやっとか。」

「ああ。今でも信じらんねーよ。魔王様に歯向かう奴を皆殺しにできるなんて。」


 男たちはそういいながら壁に隠れていたスイッチを押すと扉が開き、そのまま入っていった。


 扉が完全に締まるのを確認してから、俺たちは隙間から出た。


「まじかよ…。皆殺しって正気なのか。」

「悠長に待っている暇はなさそうだな。」


 午後となると、もう時間はほとんど残されていない。


「どんな方法で実行するかはわからないけど、何としても計画を止めないと。」

「…行くしかないですね。」

「ああ。みんなこの扉を通ったらもう後戻りはできない。覚悟はいいか?」


 みんな力強くうなずく。


「よし。」


 俺は壁のスイッチを押す。扉は大きな音を立てながら開いていく。


 俺たちが必ずお前たちを止めてやる。






 扉の先へ進むと、先ほどの岩壁に囲まれた景色とは異なり、整備された一つの建物の中のようだった。


「地下迷宮みたいだな。」


 道がいくつにも分かれており、油断すると迷子になるかもしれない。


「時間がない以上、なるべく戦闘は避けながら敵の親玉をつぶしたいな。」

「そうだな。最低限隠密で進むしかないな。」

「そうなると、マップのデータが欲しいわね。」


 道がわからないと目的地ががわからない。


「まずは擬態だな。」


 俺たちはばれないように敵の背後へと回り込み、気絶させる。


「これで6人分揃ったな。」


 アジトの人間が来ていたマントをはぎ取り、それをかぶる。


「マイちゃんにはちょっと大きかったかな。」

「私に任せてください。」


 美織ははさみを取り出し、マイのサイズに合うように器用に切り取っていく。


「わー、ぴったり!」

「私こういうの得意なんです。」

「あとはマップのデータだけど…。」


 そんな時だった。


「ねえ。そこに人達。」


 背後から声がした。


(まずい。気づかれた…!!)


 とっさに剣を取り出す。


「おっと。そんなに警戒いなくても大丈夫だよ。」


 そういうと男はかぶっていたフードをとる。


「君は!?」


 見覚えのある顔が姿を現す。


「どうも。情報屋です。」

「どうして君がここに!?」

「僕はブラッディファナティックスの一員としてここに潜入していたんですよ。もちろん偽のですけど。」


 いつの間にそんなことを。ここ最近姿が見えなかったのはそのためだったのか。


「それにしてもグッドタイミングで来てくれたね。情報をつかんだのはいいけど、正直僕だけじゃどうにもできなかったから。もうわかっているんだよね?」

「ああ、今日の夜にはみんなが…。」

「そうだね。なのでこれから僕がボスのところまで案内するよ。」

「本当か!?」


 ボスのところまで行けるなら願ったりかなったりだ。


「言っておくけど、頭をとるのは簡単じゃないよ。」

「わかってる。でもやるしかないだろ。」


 ここまで来て怖気づいてなんていられない。たとえどんなに困難な道でも進むしかない。


「じゃあ行くよ。」


 さすが潜入していただけあって、あまり人に出会うことなく進んでいく。


 道が複雑で、情報屋がいなければどうなってたことか。


「この先だよ。」


 着いたところは、何やら儀式をするための場所なようで、かなりの人が集まっていた。


 この部屋の構造は他と異なっていて、階段を下りた先が儀式を行うためのスペースで、俺たちはちょうど上から眺められる場所にいる。


「奴ら、一体何をするつもりだ。」

「とんでもないことをしようとしてるのは確かだな。」

「あいつらは魔王。いや、魔王に限りなく近い存在を作り出そうとしているんだよ。」


 血で魔法陣が描かれており、その中心に大きな像がある。その周りを人が取り囲んでいる。


「そんなことが可能なの!?」

「わからないけど、もし可能なら今の僕たちでは太刀打ちできないだろうね。」


 確かに今のレベルでは勝つのは難しいだろう。


「…何とかしてその前に止めないと。」

「なら…。」


 優樹は飛び出していく。


「今ここで戦うしかないだろ!」

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