第二十四話 手掛かり
「ばれてないだろうな?」
「はい。それにしてもすごいですね、この認識を阻害する指輪は。」
「ああ。そいつさえあればもう何も怖いものはない。魔王様に害をなす屑どもを葬れる。」
「その日も近いですね。」
この日はそれ以降何も起きることはなく、手掛かりをつかめないままただ時間だけが流れていった。
翌日、特に行くあてもない俺たちは途方に暮れていた。
「そういえばこの大陸には地図にはない隠された場所はないのかな?」
「なんだそれ?」
「私たち一度秘境の滝っていう地図には載ってない場所にいったことがあるの。」
そういえば秘境の滝は隠された場所に存在していた。でもあれは偶然見つけた場所で、しかもそう何か所もあるとは思えない。
「地図には載っていない場所ですか。隠れるには絶好の場所ですね。」
「あるかもわからない場所を探すのは大変だぞ?」
「でも今は他にできることもなさそうだし、探す価値はあるかもな。」
こうして俺たちは再び大陸を回ることにした。
「んーー…。」
「どうしたの?」
「なぜ犯人は人通りが決して少なくない時間帯に犯行に及んだのでしょうか。」
「たしかにね。街には春人君たちのほかにも当然人はいた。そんな中であれほどまでに大胆な行動がとれるとなると、連中は何かとんでもないものを持っているのかもしれない。」
俺たちは知らない何かか。どんな効果があるにせよ人を殺すためにあるもんじゃないはずだ。
探し始めてから約5時間がたった。そろそろおなかもすいてきたので、いったん街に戻ることにした。
「いやー、想像以上に大変だぜ。これは。」
「本当にあるのかなー。」
街にある酒場へ向かっていた時、何か音がしたのと同時に突然マイが倒れた。
「痛た…。」
「どうしたの?」
「今なんかにぶつかったような…。何だろうこれ?」
マイのすぐそばには変な文字の書かれた紙切れが落ちていた。
「ちょっと見せてくれるか?」
優樹が紙切れを受け取る。
「…これは!?」
内容を確認したとたん優樹は大きな声で言った。
「春人君!俺と一緒に来てくれ!ほかのみんなはこの先で何か起きてないか確認してきてくれ!」
優樹の焦る姿を見て俺は言われるままについていった。
「あの紙にはなんて書かれてたんだ?」
「…殺害予定リストだ。」
「なっ!?」
「間違いないよ。最初にここで見つかった人にバツ印がしてあったからね。」
ということははじめの事件と同一犯が先ほどまでいたということになる。
「そのリストにはあと何人書かれていたんだ?」
「…3人だ。」
「くそ!なんとしても止めないと!」
しかし、姿が確認できなかったので俺たちはいったんみんなのもとへ戻ることにした。
「春人君。どうだった?」
俺は顔を横に振る。
「そっか…。」
「そっちはどうだったんだ?」
「うん…。またやられてた…。幸運にも命は助かったみたい。でも意識が戻らなくて危険な状態。今は宿屋で寝かせてる。」
命があるだけよかった。
でもこの世界に医者がいない以上ポージョンで回復できないのなら手の打ちようがない。
「意識が戻らないってことは話も聞けないってことか…。」
だったら今は先に伝えておくべきことがある。
「みんなに聞いてほしいことがある。」
あまり街に人を不安にさせるわけには行けないので、俺たちも一度宿へ戻ることにした。
「どうやら少なくとも3人は殺されるみたいなんだ。」
「え!?」
優樹が紙を差し出す。
「これ、マイちゃんが拾ったやつ…。」
「どうやらこれが殺害予定者のリストのようなんだ。」
この紙には4人の名前が書かれている。
「1人にしかバツ印がないってことは…。」
「考えたくはないが複数人が同じようにどこかで人を殺すつもりだろうな。」
何人で行われているのかはわからないけど、大量に人が殺されたら街中大パニックになってしまう。
「それにおかしいことがもう一つ。」
「マイが何かにぶつかったってことか。」
あの時確かに人の姿はなかった。けれど音がしたのと同時にマイが倒れたのははっきりと覚えている。
「姿を消すアイテム、あるいはスキルが存在するのかもしれない。」
「そんなものあったらどうしようもねーじゃねーか!」
本当に姿が消せるのであれば探しても見つけることはできない。
「まいったね…。」
「でも、ここでまた殺人が行われるかもしれない状況で、姿が見えないってわかっていればそれなりに対策はできる。幸い犯人は姿が見えない状態でマイにぶつかるほどドジみたいだしな。」
もう目の前で誰かが殺されるのは見たくない。今度こそは絶対に止めてみせる。
そして必ず正体を暴いてやる。




