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第十六話 血の跡

「おい、どこ行った。逃げても無駄だぞ!」

「まだ近くにいるはずだ。探せ。」


 一人の女性が大勢の男たちから必死に森の中を逃げる。


「はぁはぁ、どうしてみんな私を追ってくるんですか。もう勘弁してくださいよ。」

「いたぞ!」

「!?」







 なぜ楽しい時間はあっという間に過ぎてしまうのだろう。昨日はというと、ケーキを食べ終わると結局1時間くらい騒いだ後すぐに寝てしまったのだ。


 今日からはまた次の幹部戦に向けてレベルを上げていかなければならない。


「そろそろ武器のほうも新しくしないとな。」


 武器は素材がいいものであればあるほど強いものができる。


「そうだな。よし、今日は次の大陸で素材でも集めるか。」


 宿を後にして俺たちは街を出る。


「ちょっといいかな?」


 ちょうど昨日幹部と戦った洞窟についたところで誰かが話しかけてきた。


「一昨日ぶりだね。」

「君は…情報屋か。」


 俺たちに話しかけてきたのは情報屋だった。


「こいつがお前の言ってた情報屋ってやつか。」

「おっと、すいません。お三方とは初めましてだったね。」僕は情報屋をやってるものだよ。

「お、おう。俺は…」

「アレンさんに真白さんにマイさんだよね。」


 まさかとは思ったがやはりみんなの名前は把握済みか。


「で、何の用なんだ。」

「皆さんにお願いしたいことがあって。実はこの女性と接触してほしいんだ。」


 情報屋はその女性の写真を見せる。


「…でどうしてこの人に会う必要があるんだ?」

「この人は特殊な力を持っていてね。どうやら他人の能力を一時的に上昇させるスキルを持っているらしいんだ。」


 そんなスキルがあるのか。初めて聞いたな。


「でもどうして私たちに?」

「当然こんな貴重なスキル誰もが欲しがるに決まっている。当然悪い人たちにも狙われてしまうんだ。だからその前に仲間思いのあなたたちに接触してほしいんだ。」


 それもそうだ。そんなスキルが本当にあるのであれば、戦いを有利に進めることができるからな。


「…わかった。それで、この女性はどこにいるんだ?」

「それがはっきりとはわからないんだ。人目につかないところにいるとは思うんだけど。」

「情報屋でもわかんねーのかよ。」

「僕だって知らないことはあるさ。」


 情報屋でもわからないということはかなり見つけるのは難しそうだ。


「とりあえず俺たちはその女性を探してみるよ。」

「ありがとう。」


 そういうと俺たちは洞窟を抜け、次の大陸へと向かった。






「うわぁ、きれい!」


 洞窟を抜けるとそこにはきれいな大自然が広がっていた。


「見て!きれいなお花!」

「ほんとだね。かわいい。」


 ここが異世界だと忘れるかのようなその景色は、本当に魔物などいるのかわからないくらいきれいだった。


「この大陸はどうやら自然が広がっているみたいだね。」

「さて、まずどこへ向かえばいいのやら。」

「とりあえずあっちの森のある方向に行くか。」


 ここから北西の位置に森が広がっているのが見える。


「よし、そうするか。」


 目的地も決まり、俺たちは再び進み始める。


「あんまり魔物いないね。」

「ここら辺においがすごいから。」

「におい?」

「うん。マナの木に似たにおいがする。」


 人間の俺たちにはわからないが、どうやらマイにはその匂いが感じ取れるらしい。


「じゃあ、ここら辺比較的安全っていうことか。」






 特に魔物に出会うこともなく俺たちは森へとたどり着いた。


「…なんか前に言った森とはだいぶ雰囲気が違うね。」


 ここは魔物の気配はあまりしないが、なぜか不気味な雰囲気で少し気持ち悪い。


「ん?ここだけへんな跡があるな。まるで誰かに荒らされたみたいな…。」

「…確かに。」


 魔物の気配がないということはこれは人間が荒らした跡だろう。


「跡を追ってみよう。」


 それからしばらく森の中を探索していると、真白が何かを発見した。


「これって…血の跡?いったいどうして…。」

「ここで誰かが何者かに襲われたってことか…。」


 血の跡を追って進んでいくと、草の茂みの中に一人の女性が傷だらけで倒れていた。


「この人って、あの写真の…。」

「とりあえず傷の手当をしないと。」


 俺は急いでポーションを取り出し、飲ませる。


「……ここは…?」

「よかった。目が覚めたみたいだね。」

「あなたたちは…?」

「俺たちはたまたま傷ついた君を発見したんだ。怪しいものじゃないよ。それよりもここで一体何があったの?」


 女性は頭を抱え込んでしばらく黙り込む。


「…取り合えず近くの村まで移動しませんか?私そこに宿を借りていて…。」

「わかりました。」


 俺はそっと手を取る。


「…ありがとうございます。」

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