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文学ごっこ  作者: 速水願
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くろれきしにっきちょう1

第一にこれは備忘録である。多感な高校生が身の回りの出来事を書き留める。と言うと格好が良いのだが、普遍的な高校生の日常に面白かったり、ドラマチックだったりする出来事が起こるはずもない。そのため私は日常のありふれた出来事を文学的に、あるいは哲学的に振り返ることでドラマに変えてしまおうと言う試みである。

要約すると未だに厨二病の高校生二年生が調子に乗って作った黒歴史日記帳だ。


私は雨に濡れていた。制服がくっつく。最初は濡れたくない一心で雨宿りできる場所まで走っていたが、怠惰か諦めか走らなくなっていた。私の通っている高校は自宅の徒歩圏内にある。親に連絡しても歩けと言われるだけである。お迎えなどという甘い考えは捨ててある。諦めてある。そこで私はふと思った。私は多くのことを諦めていないだろうか。上記で既に二つのことを諦めている。高校生にして諦める癖をつけたくはない。私は雨に濡れる理由を諦め以外で考えることにした。そもそもとして私は雨が好きである。自分の上に雨粒が降り、ビニールで作られた傘に落ちる。音が反響し、幻想的な音を響かせる。さながら古典的なミュージックを聴いているようだ。しかしこれは雨音が好きなだけである。強いて言うなら傘に反響する雨音である。私が傘もささず歩く理由には一切ならない。そんなことを思い傘のない私の頭の上を触る。そういえば私は頭髪検査に引っかかったのであった。頭髪検査の時は先生方が禿げているため私の毛髪が多いと評したと思っていたが、こうしてみると確かにうざったい。雨に濡れた自分の髪を触り、少しだけ絞った。雨が降っているのですぐにもとどうりだ。

そんなことを考えていると家までついた。ドアを開け一言。

「ただいま。」

私は濡れた服を選択に投げ入れ、ベッドに転がった。そこからは思考が霧散した。何も考えていない。

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