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第9話〜自制という盾〜

清人は、自分の寝ているベッドに座りながら、隣のベッドに座っているヒメと話をしていた。


「そういえばなんで突然日本に来たんだ?」


そう、そこだ。なぜ急に日本に来たのかが、清人にはわからなかった。

するとヒメは清人の目を見て、半場あきれながら言う。


「なんでって、お兄ちゃんに会うために決まってるでしょ。」


「決まってるでしょって…まぁいいや、ところで、どこに住むんだ?」


(ユーマさんのことだから、すんごい豪邸を建てそうだな。あの人はヒメのことになると周りが見えなくなる人だから。)

清人はヒメが住む家がどんなふうな家なのかを予想していると、再びヒメが声をかける。


「お兄ちゃん何言ってるの、私の住むところなんてお兄ちゃんの家に決まってるよ!」


ヒメの言葉に清人は普段使わない脳を少しばかり使い考え込む。

お兄ちゃん=清人、お兄ちゃん家=清人家。変換終了


「おい待て、聞いてねぇぞ!」


俺はヒメのベッドに近づき、ヒメの前に立つ。

ヒメは悪戯な笑みを浮かべながら


「だって今言ったもん♪」


その言葉を聞き、清人は頭を抱えながら自分のいたベッドに座る。


(まさかこんなことになるとは…)


そんな清人を見てヒメは悲しそな顔をする。


「お兄ちゃん、やっぱり迷惑だった?」


そんなヒメに気づき、清人は慌てて手を前に振る。


「そんなことないって、ただ突然だったからびっくりしただけだよ」


「本当?」


「ああ」


「じゃあ一緒に住んでいいの?」


そのヒメの問いに、思わず清人は顔をしかめ、再び考えだす。


「いや、それは…」


その言葉に、ヒメの顔がくしゃっと歪み、今にも泣きそうな声を出す。


「やっぱり私なんかと暮らすなんて嫌だよね…」


「ないない、そんなことないって!、わかったよ。一緒に暮らそう…」


清人はもう無理な気がしたのであきらめた。女の涙は最強の武器、誰が言ったかは知らないがその通りだな。


「お兄ちゃん!!」


清人がそんなことを考えていると、ヒメが俺に抱きついてきた。慌てて受け止めるが、勢いでヒメが清人に覆いかぶさるようにベッドに倒れる。


「ど、どうしたんだよ。」


清人も男、たとえ兄妹とはいえこの状況ではつい意識してしまう、清人が必死に声を絞りだすと、ヒメがさらに強く抱きついてきた。まずい。


「ありがとう…」


「わわわ、わかったから」


清人はヒメの肩を掴み引き離そうとするが、ヒメは腕に力をこめてまったく離れない。


(まずい、ヒメの体が密着していて、いろいろとやばい!何年もあってないうちにこんな成長してたのか…って何考えてんだよ俺は!理性をしっかり持て!)


清人は心の中で本能と言う最強の攻撃を、自制と言う盾で防いでいた。


「お兄ちゃん、あったかい。」


ヒメはぬくもりを感じるように、抱きついてくる。


(ぎゃーー!!まずい!俺の自制という盾にヒビがー!)

清人の自制が今にも砕けそうになる。


清人はヒメになんとかどいてもらおうと思い、声をかけようとした瞬間


「チッ」


とヒメが舌打ちをし、清人からジャンプして離れる。そしてヒメがたった今いたところに、ゴウッ、と鋭い蹴りが通過する。

清人は突然のことで声が出ない。ヒメはもといたベッドにうまく着地し、悔しそうな声を出す。


「あとちょっとだったのに、なにするのよ!?」


清人はヒメが声を向けている方を見る。


そこには森羅学園生徒会長のまひろが、髪を片手で押さえながらヒメを睨んでいた。


「あなたこそ!ひとけのない保健室で清人くんを襲うなんて!なんてうらやま、いかがわしいことを!」


なんか言い直したような気がしたが、清人はとりあえず助かったことに安堵していた。


「お兄ちゃん!」


「清人くん!」


しかし二人が同時にお互いを指でさしながら清人の方を向いてさけぶ。


「「この人は誰なの!?」」


助かってなかった。


そのあと、清人は二人をなんとか落ち着かせ、自己紹介をさせるのに30分くらいかかっていた。


「そういえば、まひろ、なにかようがあるのか?」


自己紹介が終えると、清人はなぜまひろが来たのかを問う。

するとまひろは思い出したように手を叩く。


「そうだった。実は清人くんにさっきの魔法戦のことで話を聞きたくて、一緒に会長室まで来てくれる?」


清人はさっきの魔法戦で力を使ったことを思いだし、なんでまひろがここに来たのか納得がした。


「わかった。というわけだからヒメ、先帰っててくれ」


清人はそういうと、まひろと顔を合わせ、出て行こうとするが。


「私も行く!」


とヒメが言い出したので、結局連れて行くことになった。


そして保健室から出ると、いつも仲の良い三人が、扉の前に立っていた。


「会長、僕らも一緒にいっていいですか?」


健司が会長に問う。


会長は清人をちらっと見た。清人が頷くと、会長も頷き、視線を健司達に戻す。


「いいわ、ついてきなさい」


一言いい、再び歩き出す。その後は空気が重くなり、誰も言葉を口にするものはいなかった。みんな黙って会長について行く。


そして会長室についた。保健室は校舎の1つ1つにあり、清人とヒメは特別校舎の保健室にいたため、会長室は近かい。

会長が扉を開け、みんなソファーに腰かける。そして清人は一人向かいのソファーに座る。

重い空気が漂うなか、真剣な表情で会長が口を開いた。


「じゃあ話してもらえる?今日のこと」


「わかった。」


そのあと清人は、自分のことについて全てを語った。昔なにがあったか、自分が神の生まれ変わりであることも全て。だが世界神は伏せておく。


「と、これで全部だ。」


話を終えると、ヒメ以外のみんなが驚いた表情をしている。当然だ、今までなかの良かった友達が神の生まれ変わりだったなんて、普通は驚くことだ。


「信じられねぇ、清人が神の生まれ変わり・・・」


「で、でも、清くんは清くんなんだよね?」


詩織が不安そうな表情で聞いてくる。他の全員も同じことが聞きたいのか、清人の返答を待つ


「…ああ、俺は俺だ。神じゃない、俺は今、神崎清人と言う一人の人間だ。だからこれからもみんな、普通に接してほしい」


少し間を空けて清人はハッキリといった。過去は過去だ、今は今、それが清人の考えだ。

するとみんなの表情がいつも通りにもどり、重かった空気が一気に軽くなった。


「そうね、清人くんは清人くんだわ」


「ああ、そうだな、いつものバカの清人だよな!」


「お前が言うなよ隆起。」


「そうだよ。」


そのあとも、ヒメの紹介など、いろいろ話をしていた。すると隆起が突然ヒメに質問をした。


「はいはい!ヒメちゃんに質問なんだけど、今どこに住んでるの?」


「隆起、そいつはタブーだ…」


「は?」


清人の言葉に隆起は疑問を抱くが、ヒメの笑顔の返答で疑問はすぐに解消される。


「お兄ちゃん家♪」


ヒメのその一言で和んでいた空気が一瞬で殺気に変わった。なんでこう空気って変わりやすいんだろう


「清くん!どういうこと」


「そうよ!一緒に暮らすなんて!」


まひろと詩織が清人に食って掛かる。


「いや、だって家族みたいなもんだし、ヒメのおやじさんには色々世話してもらってるしな。」


「うっ、で、でも」


清人の正当な一言に、二人が唸り声を上げヒメを睨み、逆にヒメは勝ち誇った顔をしている。隆起はなぜか泣いていて、よしよしと健司が慰めている。


「でもでも、二人きりなんてだめだよ!」


「そうよ!清人くん危ないわ!」


二人があきらめずに食って掛かる。


「ああ、大丈夫だよ」


「「何が!?」」


と二人して声を荒げる。


「昨日からうちに一人女の子住んでるから」


そこでピキッ、と空間にヒビが入るような音がした、いや確実に入った。

いつの間にか、女性3人は清人の前に立ちレイスを起動させ構え、男子達は隅でおびえていた。


「清くんひどいよ!私とのことは遊びだったの!?」


「いやいや別に詩織とはなにもないだろ。」


「清人くん、その子とどこまでしたの?!A?B?まさかC?!」


「まひろは何を言ってるんだ?少し落ち着…」


「お兄ちゃんひどい!私以外の人とXXXXとかXXXするなんて!」


「ヒメ、お前は俺んちよりも病院に住め。」


その時健司が清人を助けるため、一歩前にでた。


「3人とも落ちつい『うるさい!』・・はい」


言い切る前に撃沈、ありがとう健司、お前はやはり親友だよ。隆起はまだ泣いてぶつぶつなんか言ってる。


そしてそのあと色々聞かれたので、みんなに凛のことを説明した。すると3人ともさすがに納得したのか、レイスを戻した。


「お兄ちゃん、そろそろ7時だよ。帰ろ。」


たしかにもうそろそろ帰らないとな、凛も待ってるし。


「そうだな、じゃあ俺達はもうそろそろ帰るな。」


「わかった。じゃあ先生達には私から言っておくわ。」


「ああ、ありがとな、まひろ」


「いいのよ、気にしないで。」


そして俺は隆起と健司と共に先に部屋から出る。


清人たちが出て行くと、女3人は顔を見合わせ。不穏な空気が漂う。


「私、負けません。」


「それは私の台詞よ。」


「お兄ちゃんは渡さないよ。」


3人がそれぞれに宣戦布告をする。そして微笑みながら3人手を重ね。声を合わせ言う。


『今日からライバル』














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