第12話〜まひろの誕生日パーティー〜
「誕生日パーティー?」
「そう、今日うちでやるの」
今日か、急に言われてもな〜、今日は夕飯の買い物しないといけないし、悪いけどいけないな。
俺は申し訳そうな顔をしながらまひろを見る。
「悪いけど、今日は夕飯の買い物しなきゃいけないから無理だな、ごめん」
「それなら大丈夫!ウチの使用人行かせるから!」
使用人って、本当に金持ちなんだな。
俺はまひろが金持ちであることを再度確認する。
「だから来てくれない?」
不安そうに聞いてくるまひろに、俺は言った。
「まぁ、それなら別に行ってもいいけど。」
「本当!ありがとう!」
「ああ」
まひろの極上の笑みを見て思わずよろけそうになる。なんかもう太〇拳くらいまぶしいよ。
「じゃあ行こっか。」
「行く?行くってぶっ!」
どこに?と聞く前に、再び後ろから袋を被せられる。
なんなんだよ一体!と思っていると、まひろの声が聞こえた。
「もちろんパーティーよ。」
そして俺は有無も言わされずに車に入れられ、動き出す。
ああ、そういえば学食に詩織たち待たせてるんだった。でも今日は携帯は家だしな。俺は帰ったときの詩織たちを思い浮かべる。・・・やめよう
それから約40分、まひろの家に着いたらしく、俺は再び運ばれていく。
なんかもう慣れたな。しばらく運ばれ、どこかの部屋に着いたらしく袋がはずされる。
「なんだ此処?」
俺はなぜか服がたくさんある部屋に運ばれてきていた。
するとそこに、数人のメイドさんが近づいてきた。ってかマジで本物のメイドなんていたのか。
「神崎清人様ですね?」
「は、はい」
「まひろ様からこちらを着て、パーティー会場にくるようにと」
そういうとメイドさんは、俺に一着のタキシードを渡す。まぁ確かに制服でパーティーはないな。
「わかりました。」
そう言い頭をさげ、俺はやけにデカイ更衣室で着替えをちゃちゃっと済ませた、似合わなね〜と思いながら更衣室を出る。外にはメイドさんが一人待っていた。
「では行きましょう」
「はい」
俺はそのメイドさんに会場まで連れて行ってもらった。
それにしてもでかすぎだろ。部屋の数がおかしいし、かなり広い廊下には高そうな壷や石像も置いてあるし、どこに立ってるんだ?こんな城みたいな家。
会場に着き、扉を開けてもらうと、やはり予想通りの部屋だった。天井は高くシャンデリアがついていて、主役が上がる舞台などもある、こんなのドラマでしか見たことがない。広さも半端でなく、もうすでに大量の人で賑わっている。なぜか俺と同い年っぽい奴がたくさんいる。特に男子。
っていうか俺場違いだろ、あ、あの人テレビで見たことある!あの人も!、俺は最初驚いたが、おなかが減っていたので、皿を取り。すぐにバイキングを楽しむことにした。
一人バイキングに没頭していると、急に会場の電気が消え、舞台に出てきた三人だけを照らす。まひろとその両親だ。とたんに多くの拍手が響き渡る。
俺はスプーンを咥えたまま、まひろに見とれていた。まひろは薄い青のドレス、というよりウエディングドレスをきていた。その姿は、この世のものとは思えないほど美しいものだった。
「みなさん、今日は私の誕生日パーティーにお越しいただきありがとうございす。どうぞ楽しんでいってください」
まひろの挨拶が終わると、プレゼント贈ったり、ケーキを食べたりなどで、時間は過ぎていき、いつの間にか7:00になっていた。すると普段から厳しいと言われる、顔が怖いまひろのお父さんがマイクを取った。そろそろ終わりか?ってかなんで俺来たんだろ。
「では、もうそろそろ本題に入ろうと思う。」
本題?なんだそれ
俺は一人疑問に思っていると、高らかに告げる。
「これからここにいるもので、まひろの婚約者をさがす!」
それだけ言うと、まひろのお父さんは、後ろの席についた。その隣にはまひろが座っており、さらにまひろの隣には常に笑顔のまひろのお母さんが座っている。
っていうか婚約者!?しかもこの中から決めるって!?
俺が一人考えていると、俺以外の高校生(たぶん)がみんな舞台の右側の階段に並んでいる。どうやら一人ずつ舞台に上がり、三人の前で、特技を見せ、左側の階段から降りるらしい。
っていうかなぜか俺も並ばされている。俺別に特技なんてないし一般人だし、なんでここにいるんだ?しかもこの審査、特技というより魔力見てるな、まひろのお父さんの後ろで、使用人が変な機械もってなんか伝えてるし。ここにいるのはだいたいAとBだな、俺はEだけど。
そんなことを考えてるといつの間にか俺の番、なんで俺がこんなことに、そう思いながらも三人の前にでる。なんか今まひろ父の顔が険しくなったな、まぁEだしな。
「あ〜と、名前はか「そこまでで結構だよ君」」
名前を言おうとしたら次のお坊ちゃまみたいのに止められた。なんだこいつ。そいつは俺の前までくると、剣型のレイスを起動させ俺の顔に突きつけてきた。
「まったく、まひろさんの友人だからどんなものかと思ったら、ただのゴミじゃないか、しかもどこの家かもわからない一般人の分際でパーティーに参加するなんて、嘆かわしい、さっさと帰りたまえ」周りが静まりかえっている。
向こうでまひろが何か言おうとするが、両親が止めている。まぁこんなことでキレル俺じゃない、こんな奴でもどっかの金もちなんだろうからな、騒ぎおこしたら面倒だ。俺はそう思い、その場から離れようとする。
「ふん、こいつの親を見てみたいぜ。ま、こいつの親だから、同じゴミか」そういうと高らかに笑う。
頭の中で死んだ母さんと父さんの顔が浮かぶ。こいつ今なんていったんだ?
ガシッ
俺は無言で奴のレイスを素手で掴み。呟く
「なんだ、はなせ」
「−−−、−−−−−、−−−−」
「開神・・・」
その瞬間にレイスを素手で粉々に砕く。
清人が今まで見せたことない怒りを秘めた顔をしている。
「なっ!がっ!」
そいつは驚き、なにか言おうとするが、その前に首を掴み、締め上げる。
「ぐ、ぐるじい、だすげ・・」
命乞いをしてくるがシカト、ボディーガードらしきものが来ようとするが、睨みつけ動きをとめる。周りの人々は突然のことで呆然としている。
そしてさらに首を締めようと力を入れようとした瞬間。
「やめて!清人くん!」
まひろの叫び声が響く。その声に反応し、清人はそいつに言う。
「いいか、今回は見逃してやるが、次また妙なことをいったら、そのときは容赦なく潰す。」
言い終わるとボディーガードの方に投げつけ、元に戻る。まひろは心配そうな顔でこちらを見てくる。
俺は一人になりたくて、ひとり会場を後にした。