第1話〜朝の一騒ぎ〜
(……なぜこんなことに……)
とある街の一角にある家の二階の部屋にて、この家の主である、俺、普通にだめだめな高校生、神崎 清人は朝っぱらから正座している。理由は簡単
「目ぇ覚めた?清くん。」
と、とても黒いオーラを撒き散らしながら微笑みかけてくる美少女
俺の中学からの幼馴染、中川 詩織だ。
容姿は文句のつけようのない美少女で、髪は黒く長いストレート、体は細く身長も168とバランスがいい、そこらへんの芸能人も霞むほどの美少女だ、その上性格も良く、料理、スポーツ、学問、魔法、なにをとっても完璧!しかもそれを他者に自慢したりなどしない、とてもできた幼馴染だ。
「はい……」
そのとてもできた幼馴染は、現在進行形で黒いオーラ、というか魔力を撒き散らしながら微笑みかけてきている。
というかなにかものすごいお怒りになっているようだが、俺何かしたか?
少し回想してみよう。
ーーー朝ーーー
ジリリリリリッ!
「……んっ……?」
朝…?
ジリリリリッ!!
いつまでたっても体を起きようとしない俺を起こすため、目覚まし時計が唸りをあげている。
ねみぃ…
その轟音から逃れるため、俺は体にかかっていた掛け布団を両手で引っ張り上げ、頭を完全に覆い尽くした。
しかし、そんなこと関係なく、目覚ましの音はますます威力を増していく。
……ウルサイ
ジリリリリリリッ!!!
「うるせえ!!」
朝くらいゆっくり寝かせろ!
声とともに思いっきり目覚まし時計のスイッチを叩き、時計が止まったのを確認し、再び布団へ。
「…二度寝……ZZZ」
5分後~~
……ドガンッ!!!!
「!?っ!!?¥@?」
?
凄まじい音と共に寝ていたベッドの上の屋根が爆発?し、衝撃で床に落ち、座るような形で着地した。
??
あまりに突然のことに頭がうまく回らず、俺は眠い目を細めながら、壊れた天井を見あげた。
「……? うちの天井ってこんな愉快なシステムついてたっけ?」
いや、そんなはずあるわけないか…
そこで目の前に誰かがいる気配を感じた。
「ああ、詩織? なにやっ……」
出かけた言葉を途中で飲み込んでしまった……
いや、なんていうか…確かに詩織なんだけど…なんだこの圧力は…
目の前に立っていた幼馴染の体から出ているオーラに、俺の眠気は完全に消し飛ばされてしまった。
回想終了~~
ーーー今ーーー
あれ?……俺何もしてない?
今朝のことをおもい返してみたが、どうやらおこらせるようなことはしていない。
じゃあなんで詩織が怒っているんだ?
相変わらずこちらを睨んだまま見下ろしている詩織を見ながら考えてみたけど、結局わからないから、直接聞くことにしよう。
「あの、何を怒ってらっしゃるんですか?」
おそるおそる聞いてみる、すると静寂した部屋の中で、詩織の声が響いた。
「清くん…?」
「はい!」
反射的に背筋がピンっと立つ。
「リコって…だれ?」
…リコ、おそらく人の名前だろうけど俺の友達にそんな奴は……いない
「うん、知らない”バチンッ”…」
返答した瞬間、俺の横に転がっていた目覚まし時計が細かい部品に変わっていました。
っておい! 俺の手を消すつもりかこいつ!?
「なんで嘘つくの!?やっぱりそのリコっていう子のことが好きなの!?」
「ええ!? なんのことだよ!!」
もうわけがわからん・・・
「だって……だって今朝!」
ーーーー再び朝ーーー
ガチャッ
いつも通りの時間に清人を起こしにいくため、詩織は朝早くから家を出た。
「いってきま〜す」
家の奥から両親の「いってらっしゃい」を聞きながら外に出る。そして雲ひとつない空に片手を上げ、空を見上げながら口を開いた。
「はあ〜今日もいい天気だな〜、今日は清くん起きてるかな〜」
そんなことを言いながら詩織は隣で一人暮らしをしている清人をいつものように起こしに行く。清人は昔から一人暮らしをしているが、なぜか二度寝しようとする癖が治らないでいた、なので詩織が毎朝起こしに行ってあげているわけだ。
しかしそれはただの口実、実際は清人に恋心を抱いている詩織がただ起こしに行きたいだけである。
隣の清人の家の門を開け、チャイムを鳴らす。
ピンポーン
少し大きな声で呼びかける。
「清くん起きてる〜?」
…返事がないということはまだ寝てるのだろう。詩織は「しょうがないな〜」とうれしそうに言いつつ、鞄から預かっている鍵を取り出し、鍵を開ける。
今日はどんな寝顔がみれるかな~。そんなことどうでもいいことを思いながら扉をあける。
詩織は毎日起こしにいくといって家を早く出ているが、実際は清人の寝顔を遅刻ギリギリまで眺めているので、いつも遅刻しそうになってしまうのだ。というか異常である。
ガチャッ
「お邪魔しま〜す」
扉を開け。玄関のすぐ左にある階段を駆け上がって行く。そしてすぐ手前にある清人の部屋につき、起こさないように静かに扉を開ける。
カチャッ……
「清くん起きてる?」
「…ZZZ」
起きていないことを確認すると、清人の横に鞄を置き、顔をのぞきこむ。
じ〜〜~
20分経過
普段はかっこいいけど寝てる時は意外にかわいい顔してるな〜
……って!今日始業式だっけ!? 時間は…やばい、もう起こさないと
若干名残惜しいが、さすがに始業式に遅刻するのはまずいので、詩織は清人の体を揺さぶりにかかる。
「清くん始業式なのに遅刻しちゃうよ。早く起きて〜!」
しばらく体を揺さぶっていると、清人が小さく、とても小さく寝言を呟いた。
「…ん、リコ……ZZZ」
ピキッ!
…リコ? ……だれ?
ーーー今ーーー
だいぶ落ち着いた詩織が声をかけてきた。
「で、リコってだれ?」
と言われても、俺は正直そんな奴知らなあ~
そこであることを思い出し、手を叩く。
「なぁ詩織」
「ナニ?」
「言葉がカタカナになってるぞ。あとリコって、向いの家で飼ってる犬の名前だと思うんだけど…?」
すると詩織は、ほへっと、一瞬間抜け面になりながらも少し考え込む。
「……」
「……」
詩織は突然立ちがると、自分の鞄を持って扉に手をかけた。
「なにやってるの?早く行かないと遅刻しちゃうよ?」
うおい!!
「遅刻しちゃうよ?じゃねぇ!ただの勘違いかよ!しかもいつの間にか屋根直ってる!?」
さっきまでとは明らかに違う態度に驚いていると、いつの間にか天井が元に戻っていた。おそらく基礎魔法を使ったのだろうが、早すぎてなきづかんかった。
というか普通にすげぇ!
しかしここまでされてスルーするはずはない。しかたない…あの禁忌を実行するか。
「おい詩織」
詩織は眩しいほどの笑顔を作りながらこちらを振り返る。
「なに清くん?」
すると俺は逆に真っ黒な笑顔で告げた。
きもいとか言うなよ。
「お前は今日から中川さんだ。」
「……え?」
詩織は俺の言葉を聞き、言葉の意味を理解した途端、石化魔法でも食らったかのように動かなくなった。
相変わらず他人のような扱いすると、効果あるな~なんでかわかんないけど。
とりあえず固まった詩織をスルーしながら着替えを済ませる。準備完了
「よし、じゃあ先にいってるから」
それだけいいのこして俺は部屋を出た。
「ちょ!まってよ!清くん!!」
階段を降りたところで詩織の声が聞こえたが、遅刻しそうなのは事実なのでスルー。
そして俺は玄関を飛び出した。
読んでいただきありがとうございます。今回がはじめての作品なので、まだまだ未熟ではありますが、末永くよろしくお願いします。感想を書いていただければその分早く書くつもりなのでよろしくお願いします