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第5話 ラーメン屋、店名を決める

 味噌ラーメンをゲーム内で作成するために必要な材料が集まった。

 とりあえずの目標を達成したと言えるだろう。あとは作ってみて、味を改良したり、具材を増やしたりといった部分を楽しめば良い。

 ちなみにスープの材料を集めていないが、これはゲーム内の調理を簡単にするため、自動で生成されるからである。自前でスープを作りたければ、街を進んで煮干しやとんこつ、鳥ガラ、野菜などを得る必要がある。

 いずれ流星もスープに手を付けるが、今はとにかく早くラーメンを作ってみたい。冒険(素材集め)で一から材料を手に入れただけあり、味はともかく、感動はひとしおだろう。


 生麺のことは忘れて、お楽しみ(ラーメンづくり)に取り掛かる流星。

 まずは空の寸胴鍋を火にかける。ラーメンを作るという意識を持っていれば、寸胴鍋にスープが自動作成されるゲーム処理のため、空焚きにはならない。何も考えていない場合と目にハイライトのない美少女キャラの場合は空鍋のままになることもあるそうだが、流星はラーメン狂いのヤンキーである。抜かりはない。


 お湯を入れた寸胴鍋をもう一つ用意して、加熱する。

 温まったお湯を丼に入れ、少し待ってからお湯を捨てる。

 ゲーム処理があるから、特にやらなくても良いのだが、丼を温めておくことは習慣になっている。


 お湯が温まるのを見て、麺をゆでるのにちょうどいい温度になるのを待ちながら、ラーメン丼に味噌を投入しておく。

 自動生成のスープを丼に入れ、味噌をかき混ぜたら、いい感じの温度になったお湯でラーメンをゆで始める。

 リアルの場合、ゆでている間に味噌とスープを混ぜることもあるが、夕霧オンラインの麺のゆで時間は非常に短いので、先に味噌スープを作っておく必要がある。

 流星はバリカタが好きなので麺を3秒ゆでる。ストップウォッチなどなくてもコンマ1秒までぴったり時間管理ができる流星は、システムの補助なしで完璧なタイミングで麺を引き上げた。そして、湯切りである。

 そう、流星湯切り(メテオドライブ)である。

 ゲーム内アルバイトを経てさらに磨きがかかった湯切りを終え、麺を丼に投入する。

 序盤で手に入る、ナルト、メンマを投入し、箸を置いたら、完成である。

 なお、ゲーム内処理により、丼の横に自動で胡椒が現れるので、好きに使ってよい。


 序盤の材料ではチャーシューが入っていないし、野菜も入っていないが、ひとまずは完成である。攻略wikiを見た限りでは、これが一番シンプルなラーメンのレシピであった。

 ゲーム内アルバイト先の「リーマン麺」でも、チャーシューはなかったが、謎のブロック肉やネギやホウレン草、コーンなどの具材はあったので、攻略を進めると具材の増えたレシピで作れるようになるだろう。


 苦労して手に入れた酒を準備し、箸に手を伸ばす流星。


「よし! いただきます!」

 流星はずるずると麺をすする。薄い黄色の自動生成スープと味噌の茶色が混じりあって、これぞ味噌ラーメンといった色になったスープがからまり、程よい味になっている。

 バリカタでゆでた麺はコシがあり、序盤のドロップにしては良い風味である。

 あっさり系のスープに浸したナルトやメンマは、薄味であり、あっさり系のラーメンだと思えばありなのだが、まだまだ工夫ができるように感じる。

 チャーシューも欲しい。謎のブロック肉でもいいが。いやなんか負けた気になるから、チャーシューが欲しいな、と思いつつも、材料から集めたラーメンになんだかんだ満足した流星だった。


 酒を飲みながらラーメンを食べ、きちんとスープまで飲み干す。


 食べ終わって丼をカウンターの上部に乗せると、ゲーム内処理で丼が消え、キレイになった状態で棚に戻る。自動生成された胡椒は消滅する。


 流星が満足してぼけっとしていると、システムウィンドウが表示された。


----

 システムメッセージ

 以下の連続クエストを完了しました。

 特殊クエスト:料理系の職業でラーメンの具材を調達しよう

 特殊クエスト:自分で調達した具材でラーメンを作成しよう

 特殊クエスト:自分で調達した具材を使ったラーメンを試食しよう


 条件を満たしたため、新規職業が解放されます。

 二次職業:ラーメン職人

----


「おお、料理人の次の職業はこれで決まりだな! レベルが上がったら忘れずに転職しないとな!」


 以前説明した通り、夕霧オンラインでは最初の職業がレベル20になると転職が可能になる。2つ目の職業からは途中で変更も可能であるが、レベル20になったらマスターボーナスがあるので、なるべく上げきった方が良い。

 ただ、二次職業「ラーメン職人」およびその先にあるとされるラーメン系職業は、ラーメンの人気がないおかげで不人気職であり、好んで使っているプレイヤーは少ない。初期にラーメン職人となったプレイヤーも、他の職業レベルを上げて他の料理系職業に乗り換えたため、あまり検証はされていない。


 例えば、二次職業「パティシエ」であれば、条件を満たせば三次職業「エリートパティシエ」「ホーリーパティシエ」「ダークパティシエ」などが解放されるのだが、ラーメン系の三次職業は攻略wikiにも「頑固一徹ラーメン職人」が書かれているのみである。

 よほど条件が厳しいのか、夕霧オンラインのラーメンに魅力がないのか、夕霧オンラインの検証班には、もっと頑張ってほしかった流星だった。


「ホーリーラーメン職人はなさそうだが、ダークラーメン職人とかならありそうだけどな。イカスミラーメンとか得意そう」

 とりあえず、材料を確保して自分の店をオープン、ある程度金がたまったら、装備を整えて先に進み、新しい材料の確保が当面の目標だろう。チャーシュー欲しいし。

 職業レベルを上がったら転職、ゆくゆくはまだ見ぬラーメン職業も解放してみたい。


 ゲーム内はリアルの4倍で時間が流れているので、ゲーム開始からゲーム内3週間経った現在、リアルだと6日目である。残り1週間ちょっとで、海岡屋のアルバイトも始まるが、楽しくなってきた流星は、リアルのアルバイトが始まっても夕霧オンラインを続けて行こうと思った。


「そういえば、店の名前を決めていなかったな。まあ、ゲームでもリアルでも、店を持つとしたらこれってのは、最初から決めてあるんだけど」


 ステータス画面を開き、店名、そして営業時間の設定を行う流星。

 ゲーム処理により、看板と入口の掲示が自動設定される。

 「ラーメン流星」と書かれた看板が作成され、入口には営業時間18:00~19:30(現実時間)と書かれた張り紙が生成された。


「もう少し材料を集めて、ゲーム内3日後から、まずは味噌ラーメンの店として頑張っていこうかな」


 ラーメン流星、その伝説の第一歩を踏み出すまで、あとわずかである。


次は掲示板回です。

第1部終了時ステータス(ラーメン屋の素材集め後)

------

人物名 流星 性別 男 種族 人間

職業 料理人 Lv. 19 / 20


体力 28/28

魔力 28/28


攻撃力 29(+1)

防御力 27(+2)

瞬発力 29

魔法攻撃力 9

魔法防御力 9

技術力 47


装備

頭:なし

武器:包丁(攻撃力+1)

盾:寸胴鍋(防御力+1)

胴:エプロン(防御力+1)

手:なし

足:なし

装身具:なし


技能

包丁格闘術Lv. 7

寸胴鍋防御術Lv. 4

ラーメン作成術 Lv. 4


所持金

0イェン


店舗

「楼閣街」Z9地点(名称:ラーメン流星)


所持品

味噌×300、しょうゆ×279、ナルト×500、メンマ×500、酢×15、みりん×15、酒×3、ラーメン×800、うどん×900


移動可能な拠点

楼閣街、暗黒街


特殊所持品(運営のお知らせ欄から受け取る必要があり、流星は気づいていない)

初心者限定ブースト薬(1時間体力魔力が減少しない)×100(※第30の街に着くと消滅する)

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