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流星湯切りオンライン ~VRラーメン屋繁盛記~  作者: nullpovendman
第3部 至高のラーメンを求めて編
23/27

第17話 ラーメン屋、初イベントで無双する(ただし屋台)

 夕霧オンラインは3周年を迎え、記念イベント第1弾のPVPが開催される日となった。現実時間の19:30に開始され、21:30に終了する。

 特殊マップへ移動し、普段4倍の時間加速を8倍まで上げて、大人数のPVPを2時間で終えるスケジュールになっている。

 事前にPVP参加登録、または出店登録をしたプレイヤーは、現実時間の19:00になると、通常マップから特殊マップに転送される。


 流星も本日はラーメン流星を臨時休業とし、イベントに備えていた。

 

 時間になると、視界が白くなり何も見えなくなったが、ややあって、視界が戻ってくる。明らかに景色が変わっており、特殊マップへ転送されたことがわかる。

 目の前には東京ドームくらいの大きさのコロシアムがあり、大型スクリーンにトーナメント表が張り出されている。

 コロシアムの中に入って観戦することも可能であるし、コロシアムの外にいても観戦できるような工夫がされている。

 個人のメニュー画面には試合観戦機能がついており、現在行われている試合や、終了した試合を、コロシアムの中に入らなくても見ることができる。


 屋台は基本的にコロシアムの外に並んでいる。一部の運がよかった店はコロシアム内に出店を出せているらしい。コロシアム内の料理は、買って席で食べるはずなので、ラーメン屋としては外の方が都合は良い。


 流星は自分の出店の場所を確認すると屋台(戦車)を置き、準備を始める。

 右は屋台の定番、焼鳥屋であり、左はクレープ屋である。店に統一性がないので、出店の場所は本当にランダムで決めたらしい。


 メニューを空中ディスプレイに表示し、ラーメン流星ののれんを出す。営業開始である。


------

屋台(ラーメン流星)

 PVPイベント コロシアム前C5地点

 メニュー:炎獄味噌ラーメンニンニク大盛(辛さ1,300)10,000イェン

       攻撃力+7%、狂化、激辛 ※30杯限定

 メニュー:ティラノしょうゆラーメン1,300イェン 魔法攻撃力+6% ※300杯限定

------


 普段は1日300食売れる「ラーメン流星」ではあるが、実はラーメン好き以外への知名度はそれほど高くない。

 夕霧オンラインのラーメンは、麺が伸びていることが多く、長らく良い扱いを受けていなかったため、知らない人にとっては手を出しにくい料理である。


「ラーメンか……」

「夕霧オンラインのラーメンは、それほど魅力がないからな」

 大多数のプレイヤーはこのような反応で素通りしていく。


 さらに言えば、出店のメニューが、物珍しいティラノラーメンと、激辛の炎獄ラーメンの二つだけであったことも、客が寄り付かなかった原因である。


 ただ、出店の前を通るプレイヤーが増えてきたことで、徐々にそのメニューの異常さに気づいたプレイヤーが表れ始めた。


「は? 7%バフ?」

「『おにぎりや 鉄』ですら5%なのに」

「1杯10,000するし、辛さ1,300とかいう謎の表記があるけど」

「2つバッドステータスついているのウケる。ネタ料理じゃん?」

「いや待て、もう一つの方は魔法攻撃力6%アップ、デメリットなしだぞ」

「は? 神じゃん」

「食べてみようぜ」


 バフの高さに興味をひかれたプレイヤーたちが徐々に店に入り始め、ティラノしょうゆラーメンを食べていく。

やがて行列ができるようになった。


「ティラノ肉ってマンガ肉ステーキしか食べたことないけど、こんなにあっさりした味にしつつも、旨味を感じられる加工ができたんだな。クール系の彼女と遊園地に行った時に、普段見せないくらいの笑顔を見せてくれたような、意外さのある味だ」


「リア充は爆発してくれ。鶏ガラに似たあっさり系しょうゆスープだけど、深みのある味わいになっていて、スープにもティラノを使っていそうだな。まるで恐竜のテーマパークのようなラーメンだ。そもそも、麺が伸びてないラーメンを夕霧で初めて食べたぜ」


 バフ効果にひかれて試しに食べてみた客も、ティラノしょうゆラーメンのうまさに思わず食レポをしてしまう。

 ティラノしょうゆラーメンは「ムカ着火ボルケーノ」で出していた味をほぼ再現している。その味にひかれてアルバイトをしていた流星も鼻が高い。


 炎獄ラーメンは、高いからか、もしくは激辛だからか、ほとんど売れることはなかった。

 ただ、罰ゲームの対象としては都合が良かったようで、PVP個人戦の勝敗で賭けをしていたグループが、負けたプレイヤーに食べさせる、という流れで売れることはあった。


「大穴にかけた甲斐があるぜ。ほら、賭けに負けたんだから、ちゃんとスープまで食えよ」

「わかってるよ。くそ、なんで一反木綿が瞬殺されるんだよ。炎獄味噌ラーメンニンニク大盛を4つくれ!」

「2つで十分ですよ。いや、そもそもお前の罰ゲームなんだから注文は1つだけだぞ」

 往年の名作映画であれば、2つで十分は流星が言うべきセリフであったが、グループの一人が突っ込んでくれたので、黙って1杯作って提供する。


 賭けに負けたらしい軽鎧を着た戦士風のプレイヤーが炎獄ラーメンをすすっていく。

「辛い! 辛すぎる! 水! 水を! くれ!」

 グループのメンバーである大道芸人風の男が、水をコップについでは渡し、ついでは渡し、を繰り返している。


「せっかくだから、一口もらうな。かっら! 辛すぎてカラータイマーになったわ」

 大道芸人風の男が一口味見をしたが、辛いのはそれなりに平気なようだ。


 大弓を持った妖狐の男と、エルフっぽい優男風の男が意外そうな反応をしている。

「そんなつまらないことが言えるとは、お前は平気そうだな」

「まあ本来は、スリップダメージ受けるっぽいし、カラータイマーよろしく制限時間付きだな」


 たまに、激辛好きなのか、炎獄ラーメンを黙々と食べ、うまかった、ごちそうさま、だがもっと辛くていい、と言って去っていく硬派な客もいた。


 時々、コロシアムの方から歓声が聞こえてくる。

並んだ客の注文をさばいて、ひたすらラーメンを作り続けているため、番狂わせがあったのか、人気プレイヤーの出番だったのかはわからない。


 想定していたティラノラーメンは想定以上に大人気となり、用意していた300杯を4時間ちょっとで売ってしまった。屋台の3席では全然客をさばききれなかったので、席につけない客には、店の裏で立ち食いをしてもらっていた。


 店の表は常に列が形成されており、しかも他の出店よりも明らかに列が長かった。出店の人気投票があれば、上位入賞も狙えただろう。

 両隣の焼鳥屋もクレープ屋も、人気店といってもいい長さの行列はできていたが。


 ティラノラーメン完売後は、客足も減り、まったりと炎獄ラーメンを売っていた。

 現在、イベント開始からゲーム内6時間が経過、残りは炎獄ラーメン5杯である。


 イベントは前半が終了、個人戦の結果が発表された。

 流星も、コロシアム前のスクリーンを見上げ、結果を確認する。


------

 個人戦ALL50部門

1位 熊野郎 性別 男 種族 人間   職業 ラーメン職人

2位 モンペ 性別 男 種族 一反木綿 職業 手妻師

3位 モンピ 性別 男 種族 一反木綿 職業 弓使い

4位 リーラ 性別 女 種族 ゴリラ  職業 武闘家


~~


 個人戦制限なし部門

1位 ゆうた  性別 男   種族 人間   職業 英雄

2位 亀    性別 非公開 種族 ゴリラ  職業 ダークパティシエ

3位 ああああ 性別 男   種族 一反木綿 職業 非公開

4位 ミゴンド 性別 男   種族 人間   職業 野球選手

------


 結果を見たプレイヤーの会話が聞こえてくる。


「前回1位の英雄ミゴンド、4位じゃん」

「野球選手って職業何? 初出じゃね?」


「ミゴンド、最後8球全部外してKOされたのは痛かったな」

「掲示板見ろよ。ミゴンドwwwwwwwwばっかりだぜ」

「やきう選手なら仕方ない」

「みんなミゴンド好きすぎだろ。1位の英雄さんにも触れてやれよ」


 流星は、どちらかというと個人戦ALL50部門1位のラーメン職人、熊野郎に若干の既視感を覚えていた。

ちょうど、観客として見ていたらしいプレイヤーの会話が聞こえてくる。


「個人戦ALL50部門はやばかったな。ラーメン職人なのに包丁すら持たずに、素手で異常な戦闘能力だし、一反木綿を湯切りであっさり倒せるとか何だったんだ」

「あの巨体であの殺気だからな。あれが同じ階級に出てたら多分棄権したわ」


 やはり、熊野郎というプレイヤーは「ムカ着火ボルケーノ」店主、日隈(ひぐま)喜朗(よしろう)ではなかろうか。

 流星は、後で運営が公開している映像を見てみようと思った。

 すぐにその必要はなくなるのだったが。


 やがて、異常な殺気をまとった巨体のプレイヤーが屋台に近づいてくる。

「ラーメン流星ってこたぁ、お前が流星か」

 周りのプレイヤーがビビって逃げていくのを見ながら、流星は答える。


「そうです。熊野郎さんですか? その殺気、間違いなく日隈さんですよね」

「おう、わかるとは、ちったぁ強くなったじゃねぇか。俺が熊野郎で日隈だぜ。ラーメン残ってるか? 食わせろよ」


 あいにく、ティラノラーメンは売り切れており、炎獄ラーメンしかない。

「ネタで出している激辛のものしかないですが、いいですか?」

「おう、問題ねぇ」


 熊野郎こと日隈は何食わぬ顔で炎獄ラーメンを食べていき、スープまで完飲した。

「うまかったぜ。電脳世界で、わけのわからねぇ飛行生物と戦うってものなかなかいい経験だった。ただ、次はもっとでけぇ奴と()りあいてぇ気分だ。流星、今度リアルで、はぐれティラノ狩りに一緒に行こうぜ」


 流星は、いやいやリアルだとさすがに死ぬだろ、と思ったが、押しの強い日隈に負けて、来週末のシフトが休みの日に、はぐれティラノ狩りに行くことになってしまった。


 熊野郎が去って、PVP後半に開催されている団体戦も佳境に入り始めたようだ。

団体戦で敗退したチームなのか、店の前でじゃんけんをして負けたプレイヤーが炎獄ラーメンを食べるのを4回見た後、予定数を売り切った流星は屋台を閉店する。

 閉店後、ティラノラーメンを食べたプレイヤーなどから、ラーメン流星は普段どこで営業しているのかを聞かれることが多数あり、出店した甲斐があったな、と思う流星であった。


 なお、現状で最強の強化率を誇る料理として、夕霧オンライン各所で話題になり始めているのだが、流星は気づいてない。


 イベントが終わりラーメン流星に戻って来たところで、疲れたため仕入れは次回に回して、そのまま夕霧オンラインをログアウトした。


料理の人気投票があれば、主人公の無双回でした。

一応、PVPでも、ラーメン屋が無双しましたが。(主人公と言っていない)



------

人物名 流星 性別 男 種族 人間


職業

料理人 Lv. 20 / 20

ラーメン職人 Lv. 20 / 20

頑固一徹ラーメン職人 Lv. 20 / 20

ダークラーメン職人 Lv. 2 / 20

炎獄ラーメン職人 Lv. 2 / 20

戦闘特化型ラーメン職人 Lv. 1 / 20



体力 69/69

魔力 69/69


攻撃力 70(+21)

防御力 69(+35)

瞬発力 70

魔法攻撃力 9

魔法防御力 9(+5)

技術力 129


装備

頭:ねじりはちまき(防御力+5)

武器:ラーメン屋台型戦車(攻撃力+20)

盾:じょうぶな寸胴鍋(防御力+10)

胴:ふりふりのエプロン(防御力+10)

手:真っ赤な魔法のゴム手袋(魔法防御力+5、炎耐性)

足:じょうぶな長靴(防御力+10)

装身具:ラーメンてぼ(攻撃力+1、アクティブ使用時に湯切り効果(麺系モンスター特攻))


技能

包丁格闘術Lv. 8

寸胴防御術Lv. 5

ラーメン作成術 Lv. 8

毒耐性 Lv. 1

炎耐性 Lv. 5(MAX)

戦闘用湯切りLv. 2

ラーメン屋台戦車術Lv. 1

料理強化術 Lv. MAX ※オン

料理弱体術 Lv. MAX ※オフ


所持金

1,979,100イェン


店舗

「楼閣街」Z9地点(名称:ラーメン流星)

 メニュー:味噌ラーメン800イェン 技術力+2%

 メニュー:塩ラーメン900イェン 瞬発力+3%

 メニュー:煮干し味噌ラーメン1,000イェン 技術力+3%

 メニュー:とんこつしょうゆラーメン1,100イェン 攻撃力+4%

 メニュー:ティラノしょうゆラーメン1,300イェン 魔法攻撃力+6%

 メニュー:炎獄味噌ラーメンニンニク大盛10,000イェン 攻撃力+6%、激辛

 メニュー:海苔(トッピング)50イェン

 メニュー:チャーシュー(トッピング)200イェン

 メニュー:ティラノ肉チャーシュー(トッピング)200イェン

※流星が店を開けている時間のみ販売される


屋台

 PVPイベント時に出店

 メニュー:炎獄味噌ラーメンニンニク大盛(辛さ1,300)10,000イェン

攻撃力+7%、狂化、激辛 ※30杯限定

 メニュー:ティラノしょうゆラーメン1,300イェン 魔法攻撃力+6% ※300杯限定


所持品

味噌×470、しょうゆ×0、ナルト×0、メンマ×0、酢×15、みりん×15、酒×3、ラーメン×170、煮干し×200、わかめ×76,572、昆布×78,841、海苔×70,916、鳥ガラ×19、とんこつ×20、オーク肉×600、ティラノ肉×0、ティラノ骨×0、唐辛子×0、にんにく×0、辛子明太子×0

体力薬(HPポーション)×38

初心者限定ブースト薬(1時間体力魔力が減少しない)×55(※第30の街に着くと消滅する)


移動可能な拠点

楼閣街、暗黒街、慟哭街、道楽街、教育街、我我我街

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