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流星湯切りオンライン ~VRラーメン屋繁盛記~  作者: nullpovendman
第3部 至高のラーメンを求めて編
21/27

第16話 ラーメン屋、師匠の帰還を知る

 ジビエラーメン屋「ムカ着火ボルケーノ」店主、日隈(ひぐま)は戦闘狂である。彼の本来の職業は害獣ハンターであるが、その際に得られるジビエ肉を利用して、ジビエラーメン屋を副業として営業している。

 現在は趣味でインドに謎生物狩りに行っているため、「ムカ着火ボルケーノ」は休業中である。


 日隈の戦闘狂は業界でも有名である。

 ソイヤ岬で人を襲って人の味を覚えた、はぐれティラノと素手でやり合って勝利を収めた話を知らない者はいない。本人はインドでヨガの修行をしたおかげだと言っているが、ハンター業界の人は皆、日隈は熊か恐竜あたりの血を引いた獣人か、そうでなければ人のふりをした化け物なのだろうと思っている。

 なお、この世界に獣人はいない。タピオカのような謎生物はいるが。


 インドにて、謎生物である(いき)タピオカをしこたま狩り、その体液である濃厚なミルクティーを味わいつくした日隈は、満足したため、帰国の途についた。


****


 師匠の帰国など知らない流星は、今日も海岡屋で早番の仕事を終え、帰宅した。


 ゲーム内で毎日湯切り、盛り付けの最適動作を追求してきたおかげか、現実のアルバイト先でも、湯切りや盛り付け作業の最適化が終わりつつある。

 以前は3つまでしか同時にこなせなかった湯切りも、今では6つまで同時に湯切りを行えるようになった。また、他店からの移籍組のスタッフも目を疑うほどの盛り付けスピードを身につけていた。


 この日の夜、「海岡屋の店員が人外すぎて大草原」とタイトルを付けた、流星の調理の様子を撮影した動画がSNSに投稿されてバズったのだが、流星は知る由もなかった。



 流星は、普段通り日課をこなして、夕霧オンラインにログインした。塩270、煮干し味噌30、トッピングの海苔は50が売れて、問題なくラーメン流星の営業を終えた。

 仕入れを終えて、新作ラーメンの研究をしようと思ってシステムメニューを確認していたところ、運営からのアナウンスが届いていることに気が付いた。



------

夕霧オンライン3周年記念イベント第1弾!

個人戦、および団体戦でのPVPを開催します。

全員が同一ステータスに調整して戦う部門を3つ(ALL50、500、1000)、ステータスの制限なしで全力バトル、の合計4つの部門で開催します。


それぞれに個人戦と5人の団体戦があります。出場者は期日までに最寄りの冒険者ギルドでエントリーして下さい。


出場しない生産職の方は、出店を出すことも可能です。最寄りの冒険者ギルドで出店申請をしてください。※屋台を持っている必要があります。

------


 初心者用のALL50、中級者用のALL 500、上級者用のALL1000でのプレイヤースキルと職業の特性を生かして戦う部門と、ステータス制限なしで最前線組がガチバトルする部門の4部門が開催される。回復アイテム以外は使用可能、イベント中の使用アイテムは終了後返却とあり、アイテム系の生産職は事前準備期間で儲けられそうだ。


 料理の出店も可能だが、PVPでは料理の強化効果、弱体効果は反映されないらしいので、純粋に宣伝として普段の料理を出すだけでなく、変わった料理や毒料理などをお試しで出せる。

 デメリット満載の炎獄味噌ラーメンニンニク大盛を売ってみるのも面白そうだ。

 ついでにティラノ肉を使ったラーメンを完成させて、反応を見てみようと思う。


 出店には屋台が必要とのことなので、武器・防具の店「大腿三頭筋」に向かい、店主である生産職プレイヤー「マッチョ」に、屋台を作れるか聞いてみる。


 サイドトライセップスをしながら、マッチョは答えてくれる。

「作れるが、普通、屋台って木工とかの店に頼むものじゃないのか?」


 マッチョがサイドチェストにポーズを変更しているのを確認しつつ、スルーして流星は答える。

「武器枠か防具枠で作れるなら、冒険に出た時も出先でラーメンが作れるかと思ってさ」

「なるほどな。武器枠でいうと、チャリオットを作ったことがある。それを改良して、使いやすくて殴れる屋台を作ってやろう」


 殴れる必要はあまりないが、マッチョが作れるというなら作ってもらえるだろう。

 チャリオットって馬車だと思うのだが武器枠なのか、とか、準和風を謳うゲームなのだから、もっと和風の物を作った方が良いのではないか、とかツッコミが追い付かないが、屋台ができるなら気にしなくてもいいかと思って放置した。


 屋台の完成を待つ間、研究を重ね、とんこつしょうゆラーメン、および、ティラノ肉を使ったチャーシュー、しょうゆラーメンを完成させた。

 店のメニューに追加してもいいが、ティラノしょうゆラーメンはイベント屋台で、変わり種の目玉商品としてのお披露目とする。

 とんこつは次回から通常メニューに追加しよう。


****


 3日後、完成した屋台を受け取って1,500,000イェンを支払うと、さっそく使いやすさを確認する。

 屋台は3m×2.5mの大きさで、屋台で有名な九州地区某所の規定に沿ったものになっている。マッチョはわざわざ調べたのだろうか。


 前側には人力車のように屋台を引くための持ち手がついている。車輪は前に一つ、後ろに二つの三輪車である。

 左側には三人が並んで立ち食いできるスペースが設けられていて、右側が調理スペースである。


 調理スペースの中に入ってみると、外から見える以上に広い。調理スペースは快適さを考慮して、異空間になっているのだろう。

 コンロが3つ、水道もどういう原理か水が使い放題、残飯や残スープを処理・廃棄するスペースまで用意されていて、至れり尽くせりである。

 

 ラーメンの屋台と言えば木製だと思うのだが、どう見ても全体が鈍い銀色で、フル金属製であることが分かる。

 チャリオットを元にしたと言っていただけある。


 ただ、試しに引いてみたところ、金属製とは思えない軽さである。この辺りはゲーム処理のおかげだろうか。


 屋台を手に入れたので、せっかくなので街の外に出てみる。

 武器として使えると言っていたこともあり、遭遇したゴブリンに試しにぶつけると、あっさり倒すことができた。

 ヤンキーが人身事故を起こした現場にしか見えないことは、気にしてはいけない。


 ここでシステムメッセージが表示される。

----

システムメッセージ

以下のクエストを完了しました。

特殊クエスト:ティラノ肉でラーメンを作成しよう

特殊クエスト:ラーメン屋台を武器として使用しよう

特殊クエスト:頑固一徹ラーメン職人を解放しよう


条件を満たしたため、新規職業が解放されます。

三次職業:戦闘特化型ラーメン職人

----


「おお?」


 ラーメン系職業をさらに発見してしまった。

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三次職業:戦闘特化型ラーメン職人

転職時、ラーメン屋台戦車術を獲得。また、NPCショップでの屋台(戦車)の強化カスタマイズが可能となる。屋台の強化レベルに応じて戦闘に補正。

----


 とりあえず戦闘特化型ラーメン職人に職業を変更し、転職時の技能を獲得しておく。

 NPCショップに素材を渡すと屋台を強化できるらしいが、今は屋台として使えればいいので、とりあえず放置である。


 イベント用にティラノ肉とティラノ骨、辛子明太子、その他材料を仕入れておき、ラーメン流星の通常メニューにとんこつしょうゆラーメンを追加した後、夕霧オンラインをログアウトした。



 ログアウトした流星は、スマート家電からメッセージが届いていることを知らされた。

 送り主は日隈である。どうやら帰国したらしい。

 せっかくなので、近況報告がてら電話をしてやろうと思う。


 ルルルルル、ガチャ。

「もしもし、日隈さん? 俺、流星ですけど。今大丈夫ですか?」

「おう。問題ねぇ。元気にしていたか? やっぱインドはいいぜ。土産にタピオカ持ってきたから今度受け取りに来いよ」


 タピオカ狩りに行ったということだし、自前のものだろうか。

「自分で狩ったやつですか? 検疫とか大丈夫だったんですか」

「さすがに空港で売っていたやつに決まっているだろ。俺にも害獣ハンターとしての常識はあるっつうの」


 意外である。


「そうなんですね。あ、そういえば話は変わるんですけど、日隈さんのティラノ狩りの話、役に立ちましたよ」

「なんだ、はぐれティラノにでも遭遇したのか?」

「そんなわけないじゃないですか。ゲームですよゲーム」


 流星は、今は海岡屋で働いていること、夕霧オンラインでラーメン屋をやっていること、魔攻ティラノを狩ったこと、3周年記念イベントで出店をやるつもりであることなど、近況を語った。

 日隈の方は、日本に戻ってきてからは、害獣ハンターの仕事に専念するつもりで、「ムカ着火ボルケーノ」はまだしばらく休業すると語った。


 久しぶりに師弟の会話を楽しんだ流星は、翌日の早番に備えて就寝した。


 電話を終えた日隈はポツリと呟く。

「PVPイベントか。たまには電脳世界での戦闘ってのも、悪くねぇかもな」


 この日、夕霧オンラインに、最強最悪の初心者アカウント、「熊野郎」が誕生した。


日隈参戦!!

次は掲示板回を挟んで、ラーメン屋無双のPVPイベント回です。(出場するとは言っていない)


------

人物名 流星 性別 男 種族 人間


職業

料理人 Lv. 20 / 20

ラーメン職人 Lv. 20 / 20

頑固一徹ラーメン職人 Lv. 20 / 20

ダークラーメン職人 Lv. 2 / 20

炎獄ラーメン職人 Lv. 2 / 20

戦闘特化型ラーメン職人 Lv. 1 / 20



体力 69/69

魔力 69/69


攻撃力 70(+21)

防御力 69(+35)

瞬発力 70

魔法攻撃力 9

魔法防御力 9(+5)

技術力 129


装備

頭:ねじりはちまき(防御力+5)

武器:ラーメン屋台型戦車(攻撃力+20)

盾:じょうぶな寸胴鍋(防御力+10)

胴:ふりふりのエプロン(防御力+10)

手:真っ赤な魔法のゴム手袋(魔法防御力+5、炎耐性)

足:じょうぶな長靴(防御力+10)

装身具:ラーメンてぼ(攻撃力+1、アクティブ使用時に湯切り効果(麺系モンスター特攻))


技能

包丁格闘術Lv. 8

寸胴防御術Lv. 5

ラーメン作成術 Lv. 8

毒耐性 Lv. 1

炎耐性 Lv. 5(MAX)

戦闘用湯切りLv. 2

ラーメン屋台戦車術Lv. 1

料理強化術 Lv. MAX ※オン

料理弱体術 Lv. MAX ※オフ


所持金

1,289,100イェン


店舗

「楼閣街」Z9地点(名称:ラーメン流星)

 メニュー:味噌ラーメン800イェン 技術力+2%

 メニュー:塩ラーメン900イェン 瞬発力+3%

 メニュー:煮干し味噌ラーメン1000イェン 技術力+3%

 メニュー:とんこつしょうゆラーメン1100イェン 攻撃力+4%

 メニュー:海苔(トッピング)50イェン

※流星が店を開けている時間のみ販売される


屋台

 PVPイベント時に出店

 メニュー:炎獄味噌ラーメンニンニク大盛(辛さ1300)10,000イェン

      攻撃力+7%、狂化、激辛 ※30杯限定

 メニュー:ティラノしょうゆラーメン1,300イェン 魔法攻撃力+6% ※300杯限定


所持品

味噌×500、しょうゆ×300、ナルト×330、メンマ×330、酢×15、みりん×15、酒×3、ラーメン×500、煮干し×200、わかめ×76,572、昆布×78,841、海苔×70,916、鳥ガラ×19、とんこつ×20、オーク肉×600、ティラノ肉×300、ティラノ骨×20、唐辛子×30、にんにく×30、辛子明太子×300

体力薬(HPポーション)×38

初心者限定ブースト薬(1時間体力魔力が減少しない)×55(※第30の街に着くと消滅する)


移動可能な拠点

楼閣街、暗黒街、慟哭街、道楽街、教育街、我我我街

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― 新着の感想 ―
[一言] ゲームよりもファンタジーな世界観。新しい。
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