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流星湯切りオンライン ~VRラーメン屋繁盛記~  作者: nullpovendman
第3部 至高のラーメンを求めて編
18/27

第13話 ラーメン屋、とんこつに挑む

ちょっと長めです。

 海苔無料の営業日が終了した。流星は次なる目標を考える。まず思いつくのはしょうゆラーメンのベース作成、次にチャーシューの元になるオーク肉の入手、つまりオーク太郎次郎兄弟の討伐、そしてもうひとつのドロップ、とんこつの入手によるとんこつラーメンの作成である。とりあえず、オーク太郎次郎兄弟を倒してから、幅が広がった素材で今後の方針を考えることにした。


 次の目標を決めたところで、システムメッセージ欄を確認すると、フレンドからメッセージが届いていることに気が付いたので、メッセージボックスを開く。


----

ヒヤチュウ

昨日言っていたダークラーメン職人の情報を教えて欲しい。

情報ギルドとして謝礼も払う。

----


 昨日の営業日のことだった。

 海苔をトッピングしまくり、悪ふざけをする常連たちが、ダークラーメンでござる、などと言っていたので、そういえば、と流星はダークラーメン職人を取ったことをポロっとこぼしていた。


 これが情報ギルトや検証班にネタを提供することになったのだが、営業後、仕入れを終えてすぐログアウトした流星に、情報ギルド員が接触できなかったため、メッセージでの問い合わせとなっていた。

 ラーメン流星の前に来てもらい、種族:冷やし中華を選んだイロモノプレイヤー「ヒヤチュウ」から来た質問に答えた。流星としてはあっさり解放された職業だと思っていたが、ヒヤチュウは情報料として30万イェンを渡してきた。


「なるほど。伸びていないラーメンで、という条件を検証していなかったのか。検証班を名乗るのも恥ずかしいほどの初歩的な見落としだ。これは他の料理人でも要検証だな」


 見た目冷やし中華の謎生物が、ダンディな声で話す姿は何度見ても違和感がある。それを言うと、冷やし中華が毎日ラーメンを食べに来ているのも違和感があるのだが。


 他のダーク系料理人の解放条件はほぼ判明していたため、ダークラーメン職人の検証は試されている。毒入り料理作成、使用と一定額の売り上げが条件だったため、検証班も伸びたラーメンでの売り上げを検証した。しかし、解放されなかったため、放置されていたという話だ。


 情報交換を終えてヒヤチュウと別れた流星は、ボス戦に向けて準備を始めることにした。


****


 オーク太郎次郎兄弟は、名前の通り、2体セットのボスである。ともに防御力は低いが、高火力で体力もあるため、ソロで挑むには入念な準備が必要である。


 流星は、まず、第3の街「慟哭街」のプレイヤーが経営する店舗を見て回った。

 「おにぎりや 鉄」は様々な具材のおにぎりを売っている店で、非常に人気があった。流星は梅干し、おかか、辛子明太子を買って食べてみた。コンビニ売りのおにぎりのような味であり、それぞれ、技術力、瞬発力、攻撃力が5%アップの効果になっていた。


 他にも、火鍋を売っている店や、乾物屋、明太子専門店、スイーツショップなどを見て回った。


 第4の街「道楽街」へ移動、同じように店を見て回った。

 やがて考えがまとまった流星は、まずは辛子明太子を大量に買い込む。攻略wikiで植物の採取ポイントを調べてから、「道楽街」の近くの採取ポイントに行き、唐辛子、ニンニクを採取する。

 第2の街に戻り、モブ魔物であるブルースライムと麦野郎をひたすら狩り続け、かんすいと小麦といった自家製麺に必要な材料を集めておく。


 ラーメン流星に戻ると、料理強化技能、料理弱体技能をともにオンにした状態で、ラーメンを作っていく。今回は自家製麺からである。かんすいと小麦を使って麺を打ち、伸ばして切っていく。

現実のアルバイトだと麺が自家製麺の店は少なかったので新鮮な気持ちになる。


 昆布出汁を利用して味噌ラーメンを作り、メンマ、ナルト、海苔、わかめを乗せる。さらに唐辛子とにんにく、辛子明太子を大量に乗せていき、真っ赤な山ができたら、激辛味噌ラーメンの完成である。


 完成したラーメンの情報を見る。

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激辛味噌ラーメンニンニク大盛(辛さ999)攻撃力+5%、狂化

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狂化はバッドステータスで、文字通り狂乱状態となって近くの生き物に無差別に攻撃するモーションが入るため、操作が困難になる。VRゲームで思った通りに体が動かせないのは、かなり致命的である。


 狙った通りに攻撃力アップの効果があるラーメンを作成できた。バッドステータスである狂化がついているのは料理弱体技能のおかげである。

一息ついた流星は、システムメッセージが表示されていることに気が付いた。


----

システムメッセージ

以下のクエストを完了しました。

特殊クエスト:辛さ999以上のラーメンを作成しよう

特殊クエスト:麺が伸びていないラーメンで累計売り上げ30万イェンを達成しよう

特殊クエスト:頑固一徹ラーメン職人を解放しよう


条件を満たしたため、新規職業が解放されます。

三次職業:炎獄ラーメン職人

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 検証班が見つけていなかった新しい職業をまた見つけてしまった。

「新しい職業だな。情報だけ見ておくか」


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三次職業:炎獄ラーメン職人

転職時炎耐性獲得。この職業で激辛ラーメンを作る際、強化技能効果+2%の補正、弱体効果「激辛」を確定で付与

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激辛は炎耐性の技能と装備で防がない場合、毒などと同じくスリップダメージ1%を受けるらしい。大量の水を摂取するか、一定時間経過後に解除される。


「炎獄ラーメン職人、激辛が確定で付与されるデメリットがあるとしても強すぎないか?」


 単純に激辛好きでなければ食べるのがつらいというデメリットもあるかもしれないが。


流星は炎獄ラーメン職人に転職して激辛ラーメンを作り直し、激辛ラーメンをさらに強化しておく。


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炎獄味噌ラーメンニンニク大盛(辛さ1,300)攻撃力+7%、狂化、激辛

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 炎獄ラーメン職人は料理の辛さに上限がないのだろうか、さきほど999でカンストかと思った辛さが4ケタになっている。何と邪悪な食べ物だろうか。


 そのまま炎獄味噌ラーメンニンニク大盛を量産し、準備は整った。さあ、チャーシュー、とんこつ入手クエストの時間だ。


****


 ボスエリアに移動した流星は、デロデロデロデロと変化するBGMを聞いて、気を引き締める。


 目の前には二体のオーク、向かって右側のやや大きい方が太郎、左の小さい方が次郎となっている。ともに流星の身長ほどの斧を持っており、臨戦態勢である。


 左に大回りしながら、流星は二体のボスに近づいていく。


 オーク次郎の斧の射程ぎりぎりまで近寄り、ラーメンをそっと差し出す。

「出前だオラァ!」


 口調は荒いが、出前は丁寧にこなす。流星はラーメンをこよなく愛しているのである。


「フゴッ?」


 オーク次郎は匂いをかぐと、それが食べ物だと認識したらしく、炎獄味噌ラーメンニンニク大盛を食べ始める。

 そのすきに、オーク太郎に近づいていき、こちらも炎獄味噌ラーメンニンニク大盛をそっと差し出す。


「ちっと辛いかもしれねぇが、最高にうまいと思うぜ! どんどん食べてくれ!」


 二匹のオークがラーメンをフゴフゴ夢中になって食べている、ボス戦とは思えないほど何ともしまらない光景がそこにはあった。


 やがて二匹はラーメンを完食。モンスターのくせにスープまできちんと飲み干し、両手を合わせてごちそうさまのポーズまでとったのは、ラーメン狂いプロデューサー千村の熱意のせいだろうか。


「フゴオオオオオオオオオオオオ!!!!」

「ブヒイイイイイイイイイイイイ!!!!」


 ラーメンによる攻撃力の増加、狂化、激辛によるスリップダメージ、これらが効いているらしく、二匹のオークは真っ赤な顔になっている。このエフェクトが切れる度にラーメンを食べさせるつもりである。


 流星は、二匹の中央、やや太郎寄りに立ち、距離が近い太郎の攻撃を見つめる。太郎が大振りで斧をふるってくる。うまくひきつけてかわしつつ、次郎との距離を測る。

この位置がベストだろう。


 大きな音を立てて地面に大穴を開けた太郎に対して、包丁でチクチクと攻め、ヘイトを稼ぐ。その間、狂化によって近くで動くものめがけて次郎が斧を振ってくる。


「ブヒイイイイイイイイイイイイ!!!!」


 横なぎで斧をフルスイングして来る次郎に対して、恐れを抱きつつ、回り込んで太郎の陰に隠れる。


 そのまま斧が太郎に命中、攻撃力が上昇していることもあり、同士討ちで5%近くダメージが通ったようだ。

 怒り狂った太郎も狂化によって見境がなくなっており、次郎に攻撃を仕掛ける。


 さながら大怪獣決戦のような様相を呈しているうちに、背後からチクチクとダメージを与えておく。

 

 ほどなく狂化および激辛効果は切れるので、攻撃範囲にぎりぎり入らない位置を見定め、炎獄ラーメンのおかわりを置いておく。


 落ち着いたオーク太郎次郎は、動いて腹が減ったのか、脇に置いてあるラーメンを食べ始める。よほどうまかったのか、1杯目よりもがっついている。


 やがて太郎次郎の顔が真っ赤になると、流星はまた同士討ちを狙って二匹の間に入っていく。



 19杯目のラーメンを食べさせ、二匹とも10%を切った頃だった。

 流星もさすがに疲れてきたのか、太郎の攻撃をかわし切れず、もろに受けてしまった。


「うおおおおおおおお!」


 流星は吹っ飛んでいく。

 インフレしたスポーツマンガで見たことがあるような、キレイな放物線を描いたホームランである。おかげで追撃はなかったが、もろに当たったため、60ダメージを受けた。残りは7、一撃で瀕死である。


 狂化のおかげで同士討ちを始めた太郎次郎を横目に、体力薬(HPポーション)を使って回復しておく。


 全快した流星は再び近づいていき、最後となるだろう20杯目のラーメンを設置した。

寸胴鍋を構え、最後の乱入特攻を図る。


 太郎の攻撃を鍋で受け止めて、押し込まれるのを耐えつつ、次郎が振りかぶってくるタイミングを待つ。


 次郎が斧を構え、往年の名選手のごとき一本足打法に構えた。次郎の決死の一撃だろう。


「ここだ!」


 流星は鍋にかけていた力を抜き、太郎の攻撃が当たることもいとわず、そのまま立ち尽くす。ぎりぎりで半歩ずれ、太郎の攻撃がかすりつつも地面にぶつかるのを確認、大きく横に跳躍する。



 太郎は再度斧を振り上げ、大きく振り下ろす。流星がいた場所のすぐ前に、次郎がいる。

次郎の一本足打法も最高のタイミングで太郎に向かっていく。


「ジロオオオオオオオオオオ!!!!」

「タロオオオオオオオオオオ!!!!」


太郎、次郎はそれぞれの最大攻撃を受けて相打ちとなり、ともにポリゴンとなり消滅していく。

彼らがいた場所にはとんこつとオーク肉1セットずつ残されていた。


「お前ら、しゃべれたのかよ……」


 ラーメンに対して、ごちそうさまのポーズをとるだけあって、実は知性があったらしい。


 ともあれ、無事とんこつを入手した流星は、今回の戦闘に関して支出した、合計354,000イェンに頭を悩ませながら歩き始める。突発的な戦闘に備えて、念のため体力回復薬を飲みつつ次の街、教育街に移動する。

 検証のための食べ歩きも含んではいるが、やはり原価800イェンの辛子明太子を10個使ったラーメンを40杯作っただけあり、支出が半端ではない。


 世の中、金こそパワーである。

 

****


 ラーメン流星に戻り、本日の営業を開始する。

 激辛味噌ラーメンは常連の意見を聞いてから販売しようと思っているので、今日はメニューに追加していない。


 本日の売り上げは、煮干し味噌ラーメン150杯、塩ラーメン150杯、トッピングの海苔は130個である。


 流星は、現実のアルバイトもそろそろ始まるな、と思いながら、本日の補充を終えてログアウトした。

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人物名 流星 性別 男 種族 人間

職業

料理人 Lv. 20 / 20

ラーメン職人 Lv. 20 / 20

頑固一徹ラーメン職人 Lv. 20 / 20

ダークラーメン職人 Lv. 2 / 20 ←Up!

炎獄ラーメン職人 Lv. 1 / 20


体力 68/68

魔力 68/68


攻撃力 69(+21)

防御力 68(+35)

瞬発力 69

魔法攻撃力 9

魔法防御力 9

技術力 127


装備

頭:ねじりはちまき(防御力+5)

武器:タングステン包丁(攻撃力+20)

盾:じょうぶな寸胴鍋(防御力+10)

胴:ふりふりのエプロン(防御力+10)

手:なし

足:じょうぶな長靴(防御力+10)

装身具:ラーメンてぼ(攻撃力+1、アクティブ使用時に湯切り効果(麺系モンスター特攻))


技能

包丁格闘術Lv. 8

寸胴防御術Lv. 4

ラーメン作成術 Lv. 8

毒耐性 Lv. 1

炎耐性 Lv. 1

戦闘用湯切りLv. 2

料理強化術 Lv. MAX ※オン

料理弱体術 Lv. MAX ※オフ


所持金

503,800イェン


店舗

「楼閣街」Z9地点(名称:ラーメン流星)

 メニュー:味噌ラーメン800イェン 技術力+2%

 メニュー:塩ラーメン900イェン 瞬発力+3%

 メニュー:煮干し味噌ラーメン1000イェン 技術力+3%

 メニュー:海苔(トッピング)50イェン

 ※流星が店を開けている時間のみ販売される


所持品

味噌×500、しょうゆ×179、ナルト×300、メンマ×300、酢×15、みりん×15、酒×3、ラーメン×500、煮干し×200、わかめ×79,932、昆布×80,035、海苔×74,934、鳥ガラ×19、とんこつ×20、オーク肉×20

体力薬(HPポーション)×40

初心者限定ブースト薬(1時間体力魔力が減少しない)×95(※第30の街に着くと消滅する)


移動可能な拠点

楼閣街、暗黒街、慟哭街、道楽街、教育街


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― 新着の感想 ―
[良い点] ラーメンが食いたくなる斬新なおもしろさ。 [一言] ウチの近所にラーメン屋は無い(´;ω;`)
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