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三つ子の魂、Level 100 まで!!!  作者: 凪沙一人
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第四十四話 試練突破

「二人は宝箱を探して。回収は僕がするから。」

「あのねぇ。私はヴァンみたいに大精霊の装備がある訳じゃないから連発は出来ないのっ! 」

 マリクの言葉にシエルが反発した。

「安心しろ。シエルの分まで俺が探してやるよ。 爆焔撃っ!」

 今度の一撃でヴァンはグランドイーターの右足を破壊した。

『威力も魔力も上がってるが無限じゃないからな。無駄撃ちするなよ。』

「外さないから無駄は無ぇっ! 」

 ヴァンはフラムマに豪語した。グランドイーターの足の中から転がり出した宝箱の中は一見、からのようにも見えた。けれどもシエルが、そっと手を入れると、ゆっくりと波紋が広がった。何も無いように見える程、透明度の高い水である。その水の中からシエルは一枚のショールのような布を取り出した。それはアクアを宿したシエルにしか見えぬ程に透明な羽衣。

『これは水の刃衣ね。近くの仲間の傷を癒し、近づく敵を切り裂く水の装備。雑魚戦なら回復に魔力を割かないでも充分、間に合うわ。』

「って… 目の前に居るのは雑魚じゃないわよねぇ。」

『まぁね。でもヴァンとマリクの回復の魔力節約にはなるわよ。』

 結局のところ、攻撃はヴァンに頼るしかなかった。

「んじゃ、次は左足だな。」

「フラムマ、大丈夫なの? 」

 ヴァンに聞いても正直に答えるとは思えなかったシエルはフラムマに尋ねた。

『大丈夫だよ、あと一発くらいは。』

「何、言ってんだよ。俺はまだ行けるぜ!? 」

 思わずヴァンも反論したが、シエルの目にも、あまり大丈夫そうには見えなかった。

『魔力は問題無ぇが、こいつの体力がもちそうにねぇ。』

 なるほど、炎の剣を使っての爆焔撃は威力も桁違いだが体力消耗も大きいらしい。

「ルクス。頭と足と、どっちならイケそう? 」

『そりゃ足よね。それに、先にやっとけば少しは回復時間がとれるでしょ? 』

「まぁ、気休めくらいでしょうけどね。足は私がやるからマリク、回収お願いね。… 閃光砲撃シャイニングシェルファイアっ! 」

 この日、2発目の閃光砲撃がグランドイーターの左足に直撃するも破壊には至らない。それでも飛び出した宝箱を翼の生えた靴を飛ばして回収した。

「なんだよ、そっちの方がバテてんじゃん。」

 息を切らせているシエルにヴァンが声を掛けた。

「うるさいわね。光の装備が出れば何とかなるわよ。」

 とは言ったものの宝箱の中身は一杯に詰まった砂だった。そしてグランドイーターは左腕、右足をヴァンに破壊されたが右腕、左足は何とか動く。這いずるようにして子供達へと向きを変えると大きく息を吸い込んだ。

「ヤベェっ! 」

 何か直感的に危険を察知したのだろう。反射的に宝箱の砂の中に手を突っ込んだが掴めるのは砂ばかりだった。

「クッソ、盾なんて入って無ぇじゃねぇかっ! 」

 そう叫んでヴァンが投げつけた砂がグランドイーターの吐き出した炎を遮った。

『形ある物は、いつか壊れる。けれど形なき大地の力は千変万化にその身を護る。盾なんて名前についているけど、この装備は目に見える物じゃないのよ。手に入れし者をひたすらに護る力。それが大地の盾。』

 テラの説明を聞いても、今一つピンと来ないのかヴァンは首を捻っていた。

『こいつの頭に、んな面倒臭ぇ話しが入る訳ねぇだろ。要するに勝手に守ってやるから、おもいっきり攻めろって事だ。』

「なるほどっ! 」

 フラムマのは雑な説明だが、ヴァンには通じたらしい。ポンと手を打つとあらためてグランドイーターに対峙した。

「それじゃ、遠慮はしねぇぞっ! 」

 ヴァンが身構えるとグランドイーターも再び大きく息を吸い込んだ。しかし、ヴァンも避けるつもりも防ぐ様子もない。テラの言葉を信じ、攻撃に集中していた。そしてグランドイーターが次の攻撃の為に口を開いた瞬間。

「爆焔撃っ! 」

 放たれた一撃はグランドイーターの頭を跡形もなく吹き飛ばしていた。

「はぁはぁ。トドメは譲ってやらぁ。」

 集中した分だけ、ヴァンの疲労も激しかったようだ。放物線を描いて落ちてきた宝箱の中にシエルが手を入れた。

「まっかせなさいって。」

 箱の中に手応えは無かったが、大地の盾の時のヴァンの様子を見ている。慌てはしなかった。

「ルクス。これって… 」

『思うがままに放ちなさい。光の力は貴女の心の力。あいつの心臓ハートを射ぬいちゃいなさい。』

「なぁんか、引っ掛かるけど… ま、いいか。崇光烈矢オナードアローっ! 」

 頭を失っても動き続けるグランドイーターの心臓を目掛けて放たれた光の矢はグランドイーターの息の根を止めた。するとグランドイーターの姿は光の粒となって消え、宝箱が一つ、ポツンと残された。マリクが手を伸ばそうとすると呼び止める声がした。

「お待ち頂けますかな? 」

 現れたのはシュヴァルツとノアールだった。

「この闇の装備は一旦、お預かりいたします。ですが、御安心ください。試練の塔は無事、攻略なさいましたので、我が主テネブラエが宿られましたら、お渡しいたしますので。」

 そう言い残すと闇の装備が入った宝箱を抱えてシュヴァルツとノアールは闇の中へと消えていった。

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