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三つ子の魂、Level 100 まで!!!  作者: 凪沙一人
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第三十三話 炎の大精霊・フラムマ

「レケンス様、なんか直ぐに会えましたね♪ 」

 シエルは嬉しそうにレケンスの顔を見上げた。

「ちょっと事情が変わっちゃったからね。」

 せっかくシエルが再会を喜んでいるところにヴァンが割って入ってきた。

「あっ、俺にも何か格好いい武器くれよぉ。」

 シエルにスリングショット、マリクにリストボウを渡したのに自分だけ何もないのが不満らしい。

「ヴァンはウルツァイトのフル装備を手に入れたばかりだろ? 」

「そうだけど、俺も飛び道具あった方が便利そうじゃん。」

 レケンスの言葉にヴァンは納得していない様子だった。

「ヴァン。剣と盾を持ったら両手が塞がって飛び道具なんて使いようがないぞ? 」

「うっ、そうか。俺、両手に物持つんだった。」

 ヴァンもヴォルティスに言われて、戦闘中、両手が塞がってしまう事に気づいたようだ。

「そうガッカリするな。フラムマを宿せば剣から炎を飛ばせるようになるぞ。立派な飛び道具だ。」

「うぉおっ。本当か、おっさん。それじゃフラムマんとこ、急ごうぜ。」

 はしゃぐヴァンの姿を見てブルハ、レケンス、そしてヴォルティスは顔を見合わせて頷いた。

「そうね。そろそろフラムマの試練を受けてもいいかな。」

「本当か、オバ…痛ぇっ。」

 ヴァンが皆まで言う前にブルハの拳が振り下ろされた。

「お姉さんだってのっ! 」

「だって母さんと同じくらいなんだろ? 」

 ヴァンにとっては親と同世代はオジサン、オバサンの認識だった。生まれ育った村では、それで何も問題は無かった。

「まったく。勇者もマリアも言葉遣いは丁寧だったんだけどなぁ。」

「親は親、俺は俺。同じ人間じゃないんだから比べてんじゃねぇよ。」

 それは幼い頃から勇者の子、聖女の子と言われ続けたヴァンなりの抵抗なのかもしれない。そう思うとブルハも、それ以上は言わなかった。

「着いたわ。ここでいいのよね? 」

『えぇ。確かにフラムマの気配がします。』

 それは炎の大精霊らしく山道が火口へと繋がっていた。

「なんか、随分と高い山だな。」

 だいぶ慣れてはきていたが、子供が鎧を纏っているのは大変だった。

「あんた、鎧なんか着てて、よく暑くないわね? 」

 シエルは呆れたように言うが、実際それほど暑さは感じていなかった。とその時、地面が揺れた。

『フラムマが誰かと戦っているようね。このままだと、この山、噴火するわ。』

 テラの冷静な声がした。だが、状況としては、そう冷静にしている場合でもなかった。

「大精霊に喧嘩吹っ掛けるなんて八套ぐれぇなもんだよな? 」

「あら、ヴォルティス。私と見解が一致するなんて珍しいじゃない。となれば、急ぐわよっ! 」

 ブルハの言葉にレケンスも同じ意見だと思った。魔王軍の狙いは明確だった。テネブラエがブルハを借宿にした事で六大精霊のうち残るフラムマを手に入れられると厄介だと踏んだのだ。勝利したとはいえ、勇者に魔王の間まで侵入を許し、軍としての被害は活動を抑制するほどだった。六大精霊は完全消滅させる事は出来ないが復活まで数百年は掛かると言われていた。ここでフラムマを倒されては魔王を倒す機会が限りなく遠のく。その間に魔王軍が世界を征服するつもりなのだろう。6人が火口に辿り着くと二つの影が陽炎の中でぶつかり合っていた。

「なんだ、もう着いたのか。やっぱ、足止め役を置いてくるべきだったかな。」

 この火口の中でも八套は黒マントを外さない。おかけでフラムマとの区別はすぐについた。

『ヴォルティス、いい所に来た。また体を貸せ。』

「ちょっと待ったぁっ! 」

 フラムマがヴォルティスに声を掛けるとヴァンが割って入った。

『どけ小僧。』

「今度のお前の宿主は俺だっ! 」

 するとフラムマは一瞬、沈黙した後に呆れた。

『何の冗談だ? そういえば、テネブラエ以外は何故、ガキ共の中に居る? ちゃんと試練はやったのか? 』

『もちろん、やりましたよ。そして、この勇者の子供たちは、試練を乗り越えて此処に来たの。』

 テラの言葉にもフラムマは納得していない様子だった。

『勇者の子供たちってだけで納得出来るか? 俺は俺の試練を乗り越えた者しか認めねぇ。』

「お取り込み中、悪いが戦闘中に男同士の三角関係見せられてもなぁ。早いとこ、やられて貰えるか? 」

 八套も不思議とヴァンたちの話しを待っていた。

「ずいぶんと、余裕なのね? 」

「いや、あいつは不意討ちとかが嫌いなのさ。そうだったよな、アグニスっ! 」

 ブルハの問い掛けに答えたのはヴォルティスだった。

「脳筋だと思ったけど、ちゃんと覚えてたか。お前は駆け引きなしに正面から力で立ち向かって来たからな。確かに戦っていて楽しかったぜ。フラムマ始末したら次に相手してやるから待ってな。」

『言わせておけば… ヴォルティスっ! 』

「だから、宿主は俺だってぇのっ! 」

 ヴァンも食い下がった。それを見てヴォルティスも大きく頷いた。

『まったく、どいつもこいつも。小僧、貴様の身体からだが耐えきれなくても知らねぇぞっ! 』

「耐えてみせるさ。それと俺は小僧じゃねぇ。ヴァンだっ! 」

 フラムマはヴァンの中へと消えていったけど

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