ショッピングモール
ショッピングモールにやってきた俺と楓。
ショッピングモールは六階構造だ。
一階は食事処と食品売り場。二階、三階は服や靴、身に着ける小道具などを売っている。四階はなく次は五階になっている。五階には子供用品や本屋が入っていて、六階は映画館になっている。
俺たちはまず五階にやってきた。
それぞれの欲しいものを買い物かごに入れる。俺はシャープペンの芯やルーズリーフ、ファイルなどで、楓はノートやカラーペンを買った。
エスカレータで三階に降りてきたところで楓が服を見たいと言ってきたので、その辺の店に入ることになった。
「お兄ちゃん、お兄ちゃん。どの服がお好み?」
「俺なら、動きやすい服がいいかな」
「いやいや、この中からだって」
そう言って楓は何着か選んできた服を持ち上げて見せる。
その中には清楚なお嬢様風コーデの服や露出度の高そうな服、普通な普段着、この時期のお出かけにぴったりな服などがあった。
「俺ならこれがいいと思うぞ」
俺は楓の持っている服の中からお嬢様風コーデの服を選んだ。
「へえ、お兄ちゃんはそういう服が好きなんだ。それとも、こういう人が好きなのかな」
悪戯っぽく言う楓に
「そういう楓もいいかなって思っただけだな」
と、俺も悪だくみに乗る子供みたいなノリで返してやる。そうしたら楓は顔を赤らめて俯いて小声で何やらぶつくさ言っている。
どうやら恥ずかしくさせてしまったようだ。
あまり悪ノリもよくないなと思った俺は、
「実は嘘だ」
と、安心させるために言ってやった。
「もう嘘なら言わないでよ。本当だと思っちゃったじゃない。それに本当ならよかったのに・・・・・」
「いや、実はそれも嘘だ」
「もう!」
悪ノリもほどほどにしないといけないと思った瞬間だった。楓は頬を真っ赤に膨らませながら怒ってしまった。
そういうことでというわけではないが、この時の会計は俺が出すことになった。
その後、一階に降りて、少し休憩してから夕飯の材料を買って帰ることにした俺たちは、最近できたパフェ専門店に入った。
ここは、最近できたにも関わらず、もうすでにおいしいと評判の有名店になりつつある店だ。
入るのに三十分ほどかかった。
やっとの思いで店内に入った俺たちは窓際の席に案内され、お水とメニューを渡された。
そこには、今おすすめのパフェから、定番のもの、ちょっと変わったものまでいろいろ載っていて、評判になるだけはあってどれもおいしそうだ。
「私、このおすすめがいいな」
楓は表紙に大きく載っているブドウのパフェにした。
「俺はこのチョコの奴がいいかな」
メニューから頼むパフェが決まったので呼び鈴を鳴らし、ウエイトレスさんを呼ぶ。
メイド喫茶をイメージして作っているのか、メイド服のデザインに似た衣装を身に纏ったウエイトレスさんが応対に来た。
「ご注文お伺いいたします」
「えっと、今おすすめのブドウのせのせパフェとこのチョコのパフェ一つずつで」
「かしこまりました。ブドウのせのせパフェ一つとチョコが奏でるハーモニーパフェ一つですね」
ウエイトレスさんが戻った後、俺と楓は夕飯についての会話をはじめた。
しかし、その後すぐにパフェが運ばれてきたのでこの話はいったん中止されることとなった。
楓の頼んだパフェはブドウがこれでもかと山積みにされ、その下にはブドウのアイスやゼリー、ブドウとの相性のいいヨーグルトなどが敷き詰められている。
はたまた俺のパフェはと言うと、種類の違うチョコアイス二段重ねにクッキーが立てかけられ、ミントが載せられている。その下にはバニラアイスやチョコソース、クッキーなどが敷き詰められていた。
しばらく無言で食べていた俺たちだが、ふと途中まで食べたパフェを見て楓が俺のパフェも少し食べてみたいと言い出したので一口ずつ交換することになった。
「お兄ちゃんせっかくだからあーんしてよ」
「兄思いの楓には、困ったものだが今日は特別だぞ」
と、冗談めかして言いながらチョコアイスの乗ったスプーンを楓の方に出してやる。
すると楓は嬉しそうに目を輝かせてパクリと食べた。
「このチョコ甘いのになんか苦くて超おいしい」
楓の幸せそうな顔が視れてこの店に並んでまで入った甲斐があるというものだなと思っているのをよそに、
「今度は私があーんしてあげる」
そう言って楓もブドウの乗ったスプーンを俺の方へと突き出してくる。
俺はそれを少し恥ずかしいなと思いながらも受けることにした。
楓のパフェを食べた俺のことを見た楓は頬赤らめながら、お兄ちゃんと間接キス・・・・・などと言っているので、それは俺のパフェを食べた時もそうなんじゃないかと思ったが、それは言わずというか、そこには触れないでおくことにした。
何か恐ろしい闇に触れてしまうんじゃないかと思い触れられなかったというのが正しい言い方かもしれないが・・・・・
その後、なんだかんだであーんを何度かやり、いろんな意味で楓が満足した頃にはパフェもなくなっていた。
それから食休みをした後、俺たちは店を出て、夕飯の買い物へと繰り出した。
結局、夕飯は食材を見てからということになりパフェ専門店で決まることはなかった。
まず野菜から見て行った。
良質な野菜が有ったことで今日は野菜炒めと、後一品で刺身ということになった。
その後新作のジュースを一本買い、レジで会計を済ませ、行きと同じ出入口から出て家への帰路に着いたのだった。




