『オスカー=ワイルド』
「少し将来の話をしてみよう。
君達の殆どは、そう遠くないうちに仕事に就くでしょう。
そして、恐らくは思い悩む時が来るでしょう。
給料の安さは別として、職場の人間関係に、仕事の責任の重さに、失敗が積み重なる不甲斐なさに、やり甲斐の無さに、積み重なる仕事の量に。
うつ病にも似た状態に陥るかもしれません。
しかし、似たような状況に置かれたとしても、皆がそうなるわけではありません。
アイルランド出身の詩人オスカー=ワイルドはこう言っています。
『楽観主義者はドーナツを見、
悲観主義者はドーナツの穴を見る』
楽観主義者は物事を良い風に捉えて将来を想像します。一方、悲観主義者は物事を悪い風に捉えて将来を想像します。
実態としては同じものであっても、考え方一つで大きく変わるものです。困難を自分を成長させるための糧と取るのかどうかですね。
もっとも、悲観主義者が全くダメだと言っているわけではありません。
楽観主義も度を過ぎれば、いい加減な仕事をするようになりますので、何事もバランスが大事でしょうね。
第三者を自分の立場に置き換えてみた時に、大したことがない状況だと思えるのなら、何も悩むことはありません。逆に大したことがある状況だと思えるなら、仕事を辞めるなり、そこから抜け出すための対策を取る必要があります。
生きるために仕事をしているのに、十分に生きることが出来ないなら、仕事に縋り付く意味もないですからね。
仕事の一つや二つ、辞めたところで何とでもなるものです」
「先生はずっと楽観主義に見えますね」
女学生三輪来栖が言った。
「ええ。結婚してからは、仕事の悩みは全て吹き飛びました」
「涙が出そうです」




