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6 グラヴェの最悪な一日

 

 鍛錬場の隅で、恋敵のグラヴェについて相談するベルナールの姿があった。聞き役はもちろんジャンヌだ。


 今ではベルナールのほうがジャンヌより階級が上になってしまったが、それでも彼女は昔からの延長で、何かとベルナールの世話を焼きたがる。本人曰く、プライベートで年上の夫に甘えているので、外では無性に他人の面倒を見たくなるのだそう。なんというか、反動が来るらしい。


 ジャンヌからするとベルナールという男は、何をやらせても大抵人並み以上に上手くこなしてしまうくせに、肝心の部分が欠落しているというか、危なっかしくてどうにも気になってしまう存在なのだった。


 そんなわけで彼が持ちかけてきたこの相談にも、全力で向き合う所存であった。


「グラヴェか……あたしあいつ嫌いなんだよね。何年も昔の話を持ち出してしまって悪いけれど、あいつが飲み会の幹事をやった時に、あたし仲間外れにされたことがあったのよ」


 いきなり俗っぽい話になったなとベルナールは思った。サバサバしているジャンヌにしては珍しく目が据わっているので、怒りの深さは相当なものらしいと分かった。


「どんな飲み会だった?」


「半分オフィシャルなやつ。……いやぁ、あたしだってさ……気の合う仲間を呼ぶ飲み会だったなら、誘われなかったとしても幹事を恨んだりしないわよ? だけどあいつはね――『騎士団の懇親会』に出るメンツを選り好みしたの。あの時は第三の団長が結構な額の報奨金をもらって、『これを使って皆で飲めばいいよ、別の団のやつも呼んでやりな』って、幹事であるグラヴェにお金を渡したらしいのね。まぁ足りない分は当然割り勘になるけれど、意味合い的に幹事が仲良い人間だけ呼ぶっていうのは駄目なはずだった。それなのに、あいつはわきまえていなかったの。結果的に女性騎士も数人呼ばれたんだけれどさ……グラヴェの馬鹿は、年齢二十五歳で線引きしやがったのよ。……その時以来、ずっと機会があれば殺してやると思って、あたしは生きてきた」


 ……想定していたよりも、根が深かった。


 話を聞いていたベルナールは、別の点に引っかかりを覚えていた。


「……それは僕も呼ばれていないな」


「あなたの場合はどうせ来ないと思われたんじゃない? なんせ『氷の騎士』だし。それかグラヴェがあんたのことを大嫌いだったか」


 年齢で線引きされて弾かれたジャンヌは怒り心頭のようだが、ベルナールが省かれたことについては、どうしてかまったく違和感はないらしく、簡単に流されてしまった。


 いや別にいいんだが……と一度はなるも、でもやはりひどくないだろうか? と揺り返しがくる。


 ベルナールとて、飲み会にどうしても呼ばれたかったわけではないのだが、若干納得がいかない。誘われて行かないのと、誘われもしないのとでは大違いだからだ。


「ジャンヌの場合はすでに結婚していたから、それでグラヴェが気を遣って誘わなかったとか?」


 グラヴェのフォローをするつもりは毛頭なかったのだが、常識で考えて、女性の年齢二十五歳で線引きするとか、そんな幼稚で馬鹿げたことを大人がするとはどうしても思えなかったのだ。しかし……


「あの時はまだ結婚前だったっての。それにあたしの同期も三十独身でやっぱり呼ばれなかった」


 なるほど、これはもう黒だな。


「グラヴェはクズだ」


 ベルナールは最低男をこき下ろした。以前そんなことをしていたのなら、女性騎士に殺されたとしてもやむなしである。好みのタイプの女性騎士だけ誘うというのも考え方が気持ち悪いし、そうしたいなら全額自腹で企画すべきだった。


 『団全体の懇親会』というような、いかにも皆に権利があるような名目の集いで、誘われなかった者を嫌な気持ちにさせるべきではなかった。金を出してくれた第三の団長のメンツも潰すことになる。


 ベルナールは顔を顰め、思わず溜息を吐いていた。


「……メールソン閣下はどうしてグラヴェを買っていたのだろう」


「何それ」


 ジャンヌが眉を上げ、驚いた声を出す。


「いや――僕がアンナと結婚したいと申し出た時、閣下はグラヴェとの縁談を検討していたようなんだ。閣下は人を見る目が確かだから、僕らには分からないグラヴェの良さがあるのかなって」


 それを聞いてジャンヌは難しい顔で考え込んでしまった。


 しばらくたってから、なんともいえない表情でベルナールを流し見た。


「あのね、あたし……閣下は実際のところ、かなりの狸だと思う。良い人は良い人なんだけれど、それだけの人だったらあそこまで出世できないじゃない? ――だからそれ、あなたを煽ったんだと思うなぁ」


「だけど……僕がアンナに対する気持ちを語ったのは、あの時が初めてだった。僕が閣下に告げる前から、彼は家にグラヴェを呼んでいたし」


「だけどあなたは数年前、アンナさんの警護について口を出しているわよね?」


 ああ、確かに……ベルナールは考え込んでしまう。


 個人的な感情はあの時何も語らなかったが、ベルナールの立場でアンナの警護を心配したのは明らかに不自然であったろうし、それにより閣下が何か引っかかりを覚えた可能性はある。


「あなたは与えられた仕事は完璧にこなすし、合理的でないと思えばはっきり進言もする。だけど出しゃばりではない。あの時あなたの立ち位置でアンナさんの警護に口出しすることは、越権(えっけん)行為に近かったわ。だから常ならぬあなたの態度を見て、閣下は何かを汲み取ったんじゃないかしら。その頃、閣下からアンナさんに関することで、何か言われたりしなかった?」


「そういえば家に食事に来るよう誘われたな。あの時はまだ出世していなかったから、彼女に相応しくないと思って丁重に断ったんだが……」


「それよ」ジャンヌは得たりとばかりに頷いてみせる。


「いつまでも呑気に指を咥えて見ていると、横からかっさらわれちゃうよ、ってことかもね。まぁ閣下も鬼じゃないから、グラヴェを完全に当て馬扱いしたわけでもないんでしょうね。アンナさん自身が彼を選んだなら、それはそれでいいと思ったのかもしれない」


「……結局、彼女次第だ」


 現状一歩リードしているように見えるベルナールだって、アンナに欲してもらえなければ、なんの権利も有しはしない。


 ずっとアンナの心が欲しいと望んで来たベルナールにとって、グラヴェは恋敵以外の何者でもなかった。


 先日グラヴェに絡まれた時、やつはアンナと両想いなのだと主張していた。グラヴェの言い分を丸々信じたわけではない。というのもデートした時のアンナの様子は、他に想い人がいるようには見えなかったからだ。


 けれど……アンナがほんの少しでも、やつのことを憎からず思っているのなら……被虐趣味はないのに、そんなことを考えて落ち込んでしまう。


 いつも自信に溢れて我が道を行くベルナールが思い悩んでいるのを眺め、ジャンヌは物思うような顔付きになった。


 ……こういうことは悩んでいても仕方がないのよね……。


 なるようになるのだから、ベルナールには元気を出して欲しかった。上司でありながら友人のようでもある彼を勇気付けるため、ジャンヌは親しみを込めて口を開いた。


「あたしはあなたとアンナさんは合っていると思うわ」


「そうかな」


「アンナさんは()()閣下を見て育ったのよ? 並みの男が相手ではもの足りなく感じてしまうはず」


「……そう言ってもらえて光栄だな。とにかく頑張ってみるよ」


「あたしはあなたを応援するわ。アンナさんのことはずっと隠れて護衛してきたから、勝手に妹みたいに思っていてね……あの子をグラヴェにくれてやるには惜しいもの。だけどそうね――あたしに良い作戦がある」


「ふぅん、どんな?」


 興味を引かれて尋ねるも、


「あなたは聞かないほうがいい」


 きっぱりと断られてしまった。


 しかしそのあとに小声で、


「……記憶の飛ぶ薬が必要ね」


 とかなんとかぶつぶつ呟いているのが聞こえてきたので、若干遠い目になるベルナールであった。


 ……それ合法だろうな? と心配に思わなくもないが、やはり詳細は聞かないことにした。


 そして思ったとおり、ジャンヌの計画は非常に手際が良かった。


 数日後、三十歳前後と思しき超肉食系の女が騎士団の施設内を歩いていた。ベルナールが建物の角を曲がった時にその女性にぶつかりそうになったので、彼女の肩を支えてやると、


「あら……いい男」


 しなを作って上目遣いで見つめられた。奥目がちな小さな瞳に、顔の下半分がかっちりした、癖のある顔立ち。


 なんというか薄目で見ると派手なメイクのおかげでそこそこの美女という評価をもらえそうだが、よくよく見るとそうでもないという女性であった。おそらく薄暗い酒場では、露出の多さも手伝って人気のタイプだろう。男なら誰にでもついて行きそうな感じがするから、余計にだ。


 本来部外者はここには入れないはずだが……と考えていると、少し離れた物陰からジャンヌが出て来て「早く、こっちよ」と手招くジェスチャーをして女を呼び寄せた。


「じゃあまた」


 女は再びしなを作ってベルナールに挨拶し、腰を振りながらジャンヌのほうに駆け寄って行った。


 その女はジャンヌと喋りながら、小袋に入った『何か』を受け取っていた。長い指でその袋を摘まんで左右に振ったりしているのが見えたが、あの中身は何かの粉末――薬だろうか。


 その後勤務を終えたベルナールが正門付近に辿り着いた時に、グラヴェと先ほどの女がはしゃいだ様子で話しているのを見て、これからあの男女で飲みに行くらしいと察した。


「……見なかったことにしよう」


 ベルナールは視線を逸らし、帰路を急いだ。


 それからそう日を置かずして、グラヴェが婚約したという噂を聞いた。案の定、相手はあの時の女だった。


 グラヴェは女から一人暮らしだと聞かされ、家に上がり込んだ。そして二人仲良く裸でベッドに入っていたところに、彼女の父親が訪ねて来て、現場を押さえられたのだとか。それで急遽婚約がまとまったらしい。女の実家は中々の資産家で、若い頃――というかつい先日まで、彼女はずいぶんな放蕩暮らしを送っていたようである。


 そんな彼女も三十を前にそろそろ身を固めたいと思っていたところで……そこそこハンサムで年下の素敵な騎士を引っかけることができたという顛末らしかった。


 後日ジャンヌに女のことを尋ねてみた。


「悪い人間じゃないのよ? ちょっと肉食なだけで……欲望に忠実なのよね」


「友達なの?」


 どうやらグラヴェみたいな尻に敷きやすいタイプが彼女の好みだったらしいので、理想の相手を斡旋してやるだなんて、随分親切だなと思ったのだが……。


「いいえ? まさか! ――あの女には以前、男を盗られた過去があるってだけの関係」


 ジャンヌは口をへの字にして、ちょっとした因縁をぶちまけてきた。


 なんだ、単に嫌いな女と嫌いな男をくっつけただけなのか。


 これが不幸な出会いなら、当事者には「ご愁傷様」としか言いようがない。


 しかし結果的に結婚まで話が進んだのだ。経緯がどうであれ二人が幸せになるなら、ジャンヌのした行為は嫌がらせにもなっていないような気がする。ただの縁結びだ。


 そして本人もそのことには気付いているのだろう……。その苦虫を噛み潰したような、それでいてどこかユーモラスな表情を眺め、ベルナールは笑いを噛み殺していた。



 ***



 閣下のオフィスに呼び出された時、彼の顔色を見て、どうやらあまり良い話ではないらしいと察した。


「グラヴェを()めたな? 今日ではなく、先日の件だ。――彼が婚約をする羽目に陥った一連の出来事について話している。私はああいうやり方は好かない。娘の結婚相手に求めるものは誠実さだ」


 いつもどこか気が抜けたような態度でものを言う彼からは、想像もできないような硬い口調だった。ベルナールは身が引き締まるような心地になった。


 これについては返す言葉もない。ジャンヌがやったこととはいえ、自分もおおまかな計画は察していたのだし……むしろ助かるとすら思っていたのだから。


「……君は娘の心を手に入れる自信がないのか?」


 難しい顔で尋ねてくる閣下の瞳を見返し、ベルナールは短く答える。


「いいえ」


 変な話だが言葉にしてみてやっと気付いた。


 そう――自信がないというのとも違う。彼女と一緒にいると、特別な繋がりのようなものを感じる。ベルナールが彼女を求めるように、彼女もまた彼を求めてくれていると思う。


 ――では何が不安なのだろう? 


 今感じている焦燥感は、恋のさや当てが原因ではない気がする。グラヴェの存在に焦りを覚えたのは、自身の根本にあったもっと大きな別の不安が揺さぶられた結果だったのではないか。


 ベルナールは自らを省みながら言葉を続けた。


「……僕はアンナさんを失うのが怖い。世の中のものは全てが移ろいやすく、手のひらから砂粒が零れ落ちていくかのようにとめどない。傲慢に聞こえるかもしれませんが――どんな状況であっても、自分が全てを取り仕切ってさえいれば、なんとか切り抜けることができると思ってしまうのです。僕は状況を全てコントロールしたいのかもしれないし、それができなくなるのを何より恐れているのかも」


 彼女の安全を守る――それは聞こえのよい言葉だが、彼女の生活全てに干渉したくなるのだとしたら、それは異常なことだろう。


 これは果たして愛なのか?


 それとも支配欲?


 執着?


 ベルナール自身、答えが知りたかった。


 閣下は深く溜息を吐き、この事態を持て余すというように額を押さえた。


「君には何かが足りていない。それはたぶん……先日私が君に伝えた内容とも関連しているのだろうが、結局は……君自身が答えを見つけ出さなければならないのだろう。とにかくだ。グラヴェに対するたくらみは表沙汰にはならないことだが、知ってしまった以上このままにはできない。だから一定期間、君を私の護衛から完全に外す」


 これまで閣下はベルナールを信用し、警護が難しい公式行事や、人の多い場所に出る際は、必ず彼を伴った。普段つきっきりになれなくとも、要点を押さえていることで、ベルナールは安心できていた。特に今は敵をおびき出すために警護を手薄にすると言っていたから、少数精鋭で当たるのならば尚更、危険な場所に赴く際には連れて行ってもらわねばならない。


「承諾しかねます、閣下。今が一番危険な時です。お叱りはあとで受けます、ですからどうか」


「口答えは許していないよ、ベルナール。しばらく君には内勤を命ずる」


 メールソン閣下は人の上に立つ人独特の空気を纏わせながら、ベルナールにそう命じた。ベルナールは焦りを覚えながらも、なんとか妥協点を探ろうとした。


「演習前には戻していただけますか」


 演説会前日――現地で大規模な騎士団の演習が行われる。翌日の本番を見越したものであるから、そこにはどうしても参加しておきたい。


「いいや、駄目だ」


「危険です」


「演習時に安全上の問題はない。狙うとしたら翌日の演説会本番のほうさ。一般市民の前で派手に私を殺ったほうが、よほど効果的だからね。だから演説会本番ではお前の手を借りることにする。これはけじめだから従うように」


「前日の演習時から関わっておかなければ、ベストな結果は残せません」


「では――妥協案として演習『後』に合流とする。そこで参加した騎士に話を聞いて、現地確認をすること。これは決定事項だ」


 なんとも嫌な雲行きになっているとベルナールは感じた。


 閣下の通達が終わり、彼のオフィスを出たベルナールはジャンヌに内勤に回されたことを報告した。


「あたし閣下と話してくる。グラヴェの件は、あなたには関係ないもの」


「待ってくれ。僕はジャンヌがするであろうことを知っていたし、その上で抵抗は感じていなかった。だから閣下が僕を外すと判断したなら、今できることをしようと思う」


 演説会に関して、そろそろ詳細な警備計画書ができあがってくる頃合いだろう。それを確認する前に外されてしまったので、ジャンヌに警備計画書を手に入れてもらった。


 ――内容を仔細確認していく。


「ここが弱点だな」


 自分ならここを突くという箇所を見つけて、ジャンヌに伝える。


「なるほど」ジャンヌは計画書を眺めながら顎に手を当て、幾つか質問を繰り返して詳細を詰めた。「今聞いた内容は、閣下に進言しておく」


「僕は外されているから、君からの意見として欲しい」


 閣下は『本番前日』の『演習時』は、危険性はないと言い切っていたのだが、それはどうなのだろう……?


 知略に長けた彼が見込み違いをするというのは、まずありえないと分かっているのだが、それでも何かが引っかかる……ベルナールは正体のよく分からない違和感に囚われ、考え込んでしまった。



 ***



 善と悪の境界線ほど曖昧なものはない。時勢がひっくり返れば、これまで『悪』とされていたものが、『善』に変わることもある。


 この組織を統括するカザレスは、かつては国の中枢で暗部を担っていた人間だった。高度な訓練を受けた下地があり、やるとなったらとことんやり通す鋼の精神を持ち合わせている。そんな彼は今や国の脅威となりつつあった。


「先にベルナールを片付けておきたい。――なんとしても」


 彼は窓辺に腰掛けながら、天気の話でもするかのように部下に告げる。砕けた態度であったが、視線は鋭い。日に焼けた鋭角な顔立ち。酷薄そうな薄い唇。


「メールソンよりも将来的に脅威になりうる可能性がある。あの若造には仲間もことごとくやられているし、これ以上メールソンの側をうろつかれると目障りだ」


 これに参謀役の部下が答えた。


「騎士団内に潜り込ませたスパイによる情報ですが、ベルナールは内勤を命じられたそうです」


「馬鹿な。なぜだ? あの男をここで外す意味が分からない」


「ベルナールの様子から見るに、どうやらメールソンの不興を買ったようですが詳細は不明。出る杭は打たれる、といったところでしょうか」


 有能な若者を重用していたら、思った以上に勢いがあって、目障りになったか? 部下をどう扱うかで本人の器が分かるというが、偉大なメールソン閣下とやらも案外大したことはなかったようである。


「しかしベルナールに中に引っ込まれると、消すのが厄介だな」


 カザレスは眉を上げ面倒そうに呟いた。これまでのように派手に動いてくれたほうが、大分やりやすかったのだが……。


「では、女を使いますか? やつはメールソンの娘と結婚間近だとか」


「政略結婚か。しかし肝心の上司と仲違いしたのでは、その縁談も壊れるだろう?」


「どうでしょうか」


 参謀役は何か掴んでいるのか、含みのある言い方をする。


「はっきりしたことは不明ですが、ベルナールのほうがぞっこんだという噂もありますよ」


「ふぅん……そんなに良い女なら、私もぜひ一度お相手願いたいものだな」


 カザレスは鼻で笑い、窓の外へと視線をさまよわせた。




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