家族とお願い
かなり短いです。切りがいいところで終わらせるとこうなった。
「いやかのぅ?」
「僕の弟ってことはいやなの?」
この言葉を聞いて俺の脳は再び思考し始めた。
俺には家族どころか親戚すらいない。父さんに関しては俺が生まれる前に死んでるし、母さんも俺が小5の時に死んでそれからは一人だった。別に寂しいとも思わなかった。
......けど、せっかく家族が出来るなら、それが嫌なわけないじゃないか。
だから俺は、笑顔で返事をする。今までの偽の笑顔じゃなくて、心の底からの笑顔で。
「全然、嫌じゃないさ。これからよろしく! 爺ちゃん! 兄さん!」
そう言う。すると、二人の不安そうな顔が喜びになって、歓喜になって、笑ってくれた。
そして、何か引っかかりが無くなったような気がした。俺の新しい家族が出来た。
「さて、ここからは大事な話じゃ」
「というか、メインの話ってこれだよね?」
喜びに浸っているとそう声が掛けられた。
つーか、俺からするとこの話だけで十分なんだけど。悪い話とか聞きたくなかったな。
ま、愚痴っててもしょうがないので気を引き締める。
「今から話すことは凰に対するお願いになるかのぅ?」
「そうだね。それじゃ、凰にして欲しいことはあの世界に封印されてる邪神を倒すことだよ」
ん? 邪神を倒す? そんなことが俺にできるのか?
「ああ、大丈夫、凰は邪神が復活するまで力をつけて欲しいんだ。凰の『本当の力』が解放されたら邪神を倒すことが出来るからね」
俺の本当の力? なんだそれ。それに解放されるってどうしたらいいんだ?
「ああ、今は深く考える必要はないよ。それに、僕たちだって力を与えるしね」
「そうじゃ、それに、儂らからのお願いなのに力を貸さんのはおかしな話だしのぅ」
へ~、力くれるんだ。っていうか、そこまでしないと倒せないのか? 邪神って。
「っと、そういえばそろそろ限界だね」
「限界って何がだ?」
なんかよく分からないこと言ったぞ? なんだよ限界って。
「それはこの場所にいることの出来る時間じゃ」
「そう。だからそろそろ凰を送らなきゃいけないんだよね」
そうなのか、また会えるかな?
「大丈夫、また会えるよ」
「そうじゃ、意外とすぐに会えるかもしれんしのぅ?」
ん? どういうことだ? すぐに会えるって。
「あ、あと言い忘れてたけど、あっちの世界に行ったら年齢が15歳になるよ」
「その年が一番成長しやすいからのぅ」
お? なんか俺の周りに光の粒子が集まってきた。
「そろそろ送るよ。ちょっとの間お別れだね」
「そうじゃのぅ。また会おうのぅ」
「ああ、また会おうぜ。爺ちゃん、兄さん」
それだけ言うと俺の体は光に包まれて、意識が途絶えた。
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凰が行った後の二人は、
「さて、凰も行ったし、後処理をして準備しよう?」
「うむ、そうじゃな。しっかり準備しないといけないからのぅ」
それだけ言うとその場から消えた。
あたかも最初からいなかったかのように。