街中散策
俺が一階に下りてきてギルドを出ようとすると下心丸だしな奴が絡んできた。
「おいガキ、お前さっき大量の金貰ってただろ。そいつを全部俺によこしやがれ」
テンプレだった。まじか、めんどくせえ。しかも周りには結構な実力者もいた様で、俺の実力に気付いた奴が「あいつ馬鹿だろ」とか「相手の実力も見極められないのか」とか言ってるが、こいつには聞こえていないらしい。
「邪魔、どいて」
この喋り方挑発とかに便利だな。相手は顔真っ赤にして怒って背中に背負っていた大剣を抜き、
「このガキ! 嘗めんじゃねえぞ!」
とか言いながら剣を真上から降り下ろしてきたが、
「遅い」
俺はそう言って、体の向きを右に向け、剣の腹と相手の左腕に手を置いて仰向けにひっくり返した。倒れたやつや周りの弱い奴は何が起こったか分かってなかったが、実力のあるやつは目を見開いて驚いていた。
俺はそのままギルドから出て、商店街の方に向かっていった。
商店街にきて一番欲しかったのは肉料理、と言うか串焼きが欲しかったのだ。この街にいるとうまそうな肉のにおいが漂ってくるから。
俺は肉料理が好きだからな。自分でも作ろうと思えば作れるけど今までそんな必要性を感じなかったから。それに匂いを嗅ぐまで食べたいとかも思わなかったし。
ってなわけで気配を薄くして、と言っても装備の性能を思いっきり使ってるだけだけど、そうすれば近づけば気付かれる程度に気配が薄くなるから、そうやって串焼きを売ってる屋台まで来た。
「おう、お前さん、俺の作った串焼き買ってくか?」
「二本頂戴」
「あいよ、大銅貨30枚だ」
俺は銀貨を1枚出しておつりとして大銅貨70枚と串焼きを貰った。あ、装備のおかげか知らないけど、俺の事を直視しても固まらないようになった。やったね! これであの鬱陶しい視線が無くなるよ。
ってなわけで俺は串焼きを持って[死神]を発動させて気配を完全に消す。そしてそこら辺にある建物の屋根に上って串焼きを堪能。
美味い!! 滅茶苦茶美味い! これならいくら食べても飽きないや。
おかげで気分がよくなった俺は装備を少し変えることにする。と言っても[変質]を使って見た目を変えるだけだけどね。
早速〈終焉の外套〉と〈終焉の軽革鎧〉を脱いで[変質]を発動させる。
すると光に包まれて、それぞれの形が変わって、なんか変なコートと上着が一体化した奴と黒いボトムが出てきた。
それぞれ〈終焉の覇衣〉と〈終焉のボトム〉と言う名前になっていた。まあ、効果は変わってないので気にせずに着用する。刀を差す部分もあったので大丈夫だな。さっきまでなかったポケットとかもあるし、俺的にはこっちの方が良いな。
そんなこんなで機嫌のいい俺は屋根から降りると[死神]を解除してから街中散策を再開した。
と言っても俺は別に宿に泊まるわけじゃないし、面白いものがないか見て回ってるだけなので、特に何か探してるわけでもない。だからいろいろな場所を適当に散策しているのだ。
まあ、うまそうなものは片っ端から買って食べてるけど。[不欲不労]のおかげでいくらでも食べられるんだよ。もしかしたら種族特性かもしれないけど。
そんなこんなでいろいろと食べつつ街をフラフラしていると、剣道場を見つけた。俺はこの世界の剣術の流派は全く分からないから、結構面白そうなんだよな。
俺がそんなことを考えながら建物を眺めていると、門下生と思われる袴を着た人が話しかけてきた。
「どうかしましたか? この道場の門下生になりに来たんですか?」
そんなことを聞いてきたが、違うので首を振って答える。
「違うのですか? なら、見学だけでもしていきますか?」
お、やったね。ちょうど見てみたいと思っていたからな。俺は頷いて答える。
「そうですか。なら案内しますのでついて来て下さい」
この人、年の頃は17歳程だが、不用心すぎないか? 俺は刀を持ってるんだぞ? もしかして気付いてないのか?
まあ、取り敢えず案内してくれるようだしついて行くか。
だんだん適当になってる気がする。気を付けなくては。




