閑話
適当になってますが気にしないでください。
コウが死んで七日、そろそろコウが死んで一週間が経とうとしている。
その間、俺はただ落ち込んで、考えをまとめていたわけではない。
覚悟を決めてすぐ、思い立ったが先、すぐに行動に移そうとした。だが、俺はコウがどんな生活を送ってきたのか知らない。
だから、あの二人に聞いてみることにした。
あの二人とは、ルイさんとリエレストさんの事だ。この二人は、よくコウと仲がよさそうに話していることがあった。だから何か知っているんじゃないかと聞いてみようとしたのだが、
「何も知らない、お前に教えることは何もない」
と、こんな感じで突っぱねられ、まともに取り合ってもらうことが出来なかった。
だが、何度も頼み込むうちに、諦めたのか条件付きで教えてもらえることになった。だが、その条件がまた厳しかった。
「模擬戦で俺を納得させてみろ」
そう言われたのだ。だがどう考えても俺にはあの人を納得させることが出来ない。そう考え、悩んでいる最中に、前にふざけてコウに聞いたことを思い出した。
「なあ凰、戦いで重要な事ってなんだ?」
「ん? ああ、戦いで重要なのは情報と経験だろうな」
「経験は何となく分かるが、情報はなんでだ?」
「それはな......」
こんなやり取りをしていたことを思い出した。コウ曰く、情報と経験が一番の武器になるそうだ。だが、俺が今から経験を積もうとしたところで無駄なのは分かっている。なら情報を仕入れるしかない。
と言うことで俺は図書館に籠ってしまった。この時は、
(また助けられたな。コウ)
なんて思ってたりした。恥ずかしいから正直に礼は言わない。
そんな事より、図書館で有効な手立てを探していると、魔法に気になる物があった。
それが魔法陣魔法だ。
この魔法陣魔法、本来は自身の使えない魔法属性を使用する際に用いられるらしい。だが、自身に適性のない魔法属性だと、通常の大きさの倍ほど書く必要があり、更には詠唱も必要らしい。だが俺が気になったのはここじゃない。
魔法陣魔法は自身に適性のある魔法属性だと、設置して魔力を流すだけで〝詠唱せずに″魔法を発動できるらしい。
そう、〝詠唱せずに″、だ。つまり、これを靴の裏なんかに隠しておけば魔力を流すだけで魔法が使える。
俺はその考えで奇襲を仕掛ける作戦を考え始めた。
(お前の言った通り情報は大事だな)
そんなことを頭の片隅で思いながら作戦を立てていく。そして納得がいくようになったら後は準備して挑むだけ。
そんなこんなで俺はルイさんに勝負を挑んだ。
だが結果は完敗。圧倒的だった。最後に不意打ちで魔法陣魔法を使ったがあっさり避けられてしまった。そしてそのまま負けた。
だが納得させることはできたようだ。ルイさんにもう一度コウについて聞くとしっかりと答えてくれた。
曰く、絶対的強者。
曰く、天才。
最初にこう言われた。
「そこまで、なんですか?」
つい聞いてしまった。だが仕方ないと思う。親友がここまで褒められて、興味を抱かない奴はいないんじゃないだろうか。
「気になるか?」
「はい」
「じゃあ教えてやろうか」
それからは嬉嬉としたルイさんの語りが始まった。俺も聞いていて楽しかった。それに、いくつか気になる話もあった。
「コウはな、この世界に来て三日目に死にかけたんだよ」
「...え?」
「あの時は驚いたぜ。なんたって召喚された中で一番強いコウが死にかけてたんだからよ」
「なぜですか?」
この話で驚いたのはコウが一人で騎士団で相手するような魔物を一人で倒したことだな。
「その魔物って何ですか?」
「ああ、オークナイトって言ってな、普通の奴なら五人パーティーで倒せるような魔物だ」
「そんな奴相手にコウは死にかけたんですか?」
「いや、コウが相手したのは普通の奴じゃない。レベル106の、国が動く程強力な魔物だ」
やっぱりコウはこの時から強かったんだな。俺ならすぐに殺されていたと思う。
その後も話は続き、コウと模擬戦をした時の話になった。
「コウに模擬戦を挑んだことがあったんですよね?」
「ああ、あったぞ。俺とリエレストでペアになってコウと模擬戦したんだ」
「その結果は?」
「俺とリエレストの負け。手も足も出なかった」
ルイさんはこの時の事を悔しそうに、でも嬉しそうに話していた。
そして話の最後に、
「あいつは本物の勇者だったのかもしれない」
そう言っていた。それでも聞きたいことがあった。
「俺でも、あいつの様に、コウのようになれますかね?」
「ガハハハハハ!! さあな、だが、あいつの様になりたかったら決して諦めるな」
こう言われた。
それから俺はルイさんとリエレストさんの指導の下、今までより一層剣の訓練に励んだ。コウに脳筋と馬鹿にされない様に魔法の練習もしてる。
そしてより一層厳しく訓練してるのは俺だけじゃなかった。神無月さんと阪森さんもそうだった。だから一緒に訓練するようにしている。
だが、訓練してる時に不思議なことがあった。
〝地上の者たちよ、その世界に我々神々の王が降りている。彼の方は人の姿を取っている。もし正体が分かった時、決して無礼を働くな。敬意を払え。そして彼の方に敵対するな″
この声が聞こえたのは俺だけじゃなく、皆聞こえたらしい。その時ばかりは静寂に包まれた。
だが、皆気にしないことにしたらしい。そのままいつも通りに訓練を再開した。
コウ、いつか絶対追い越してやる!
あの変な声、その時には王城の国王とかは大慌てしてました。その他にも国家として慌てた国もありますが、それは後々。




