神と説明
眩しい光が収まり、周囲を確認すると俺と同じように辺りを見回す皆がいた。
なんとこの場所、全方位真っ白なのである。
「なあ凰、ここどこだよ」
周りを見回していた凱斗が聞いてきた。それは俺も聞きたいわ。
「知らん」
適当に返してここがどういう場所なのか考えようとしたら、一か所に光の粒子が集まり、人の形を作っていき光が無くなると、黒髪の少年のような男が立っていた。
「やあ、初めまして。僕は君たちに『神』と呼ばれる存在だよ。今から君たちがなぜここにいるのかと、これから向かう場所について説明するから静かに聞いてね」
そう神と名乗る男が言うと、途端に静かになった。なにかしたのか?
そう疑問に思っていると、神が話し始めた。
「まず、なぜ君たちがここにいるかというと、今から君たちが行く異世界『センテンス』にあるクライヒ王国というところが勇者召喚の儀を行って君たちを呼んだんだ。でも本当は召喚されずに失敗するはずだったんだけど、僕が失敗して君たちの召喚を成功させてしまったんだ。だからお詫びとして君たちをこの場に呼ばせて貰った。後、君たちは元の世界には帰れないよ」
おい、今サラッと重大な事言ったろ。元の世界に帰れないってどういうことだ?まあ、俺には関係ないことだ。大事な人とかあっちにはいなかったからな。
「それじゃ、センテンスについて説明するよ。向こうの世界は剣と魔法の世界で、魔物なんかもいるね。そしてその世界にはステータスと言って自身の力を数値化したものや、スキルもあるね。それで、君たちが呼ばれた理由だけど、昔封印された魔王が復活しそうになっていて、自分たちの世界を助けてくれ、って理由で呼ばれたんだ。もちろん君たちにはお詫びとして、基礎となるステータスを向こうの世界の平均より高くして、[鑑定]というスキルも渡すからね。そして君たちは向こうの世界に勇者として呼ばれたから周りの人よりステータスが上がりやすくなってスキルも取得しやすくなるよ」
そんな世界に行けるのか? 俺は異世界とか大好きだったから、行けるだけでありがたいぜ。
「よし、こんなものかな。それじゃ、異世界に送るよ? じゃあね~」
そんな間の抜けた声と共に周りが光に包まれて見えなくなった。というか、滅茶苦茶眩しいんだけど!? 何考えてんの!?
目が見えるようになって周りを見てみると、さっきいた場所と同じだった。唯一違う点は俺と神以外にいないことだな。
......じゃねえよ、なんでだよ!!
「さて、君を残したのはね。君に話があるからだよ。凰。」
ん? 話ってなんだ? 俺だけ別に話すんだからよっぽどの事なのか?
「話ってなんだ? 俺だけ残しての話なんだからよっぽどの事なんだろう?」
「うん。そうだよ。その前にあと一人呼んでから話をしようか」
神がそう言うと、神の隣に光の粒子が集まっていき、光が無くなるとそこには、白髪で立派な白い髭をはやした年寄りの男が立っていた。
「ホッホッホ、初めましてじゃのぅ。凰よ」
この年寄もそうだが、なぜこの二人は俺を知っているような口ぶりなんだ?
「なあ、お前らは俺を知っているのか?」
疑問に思ったことでどうしても分からなかったので聞いてみた。ら、意外な答えが返ってきた。
「うん。知ってるよ?」
「そうじゃ。儂らはお主を知っておる」
なぜ? 俺はこの二人にあったことはないぞ?
「なぜ俺の事を知っている?」
とにかく聞いてみることにした。それに、何か絶対に聞かなければいけない気がしたから。
「それはのぅ......お主が儂の孫で」
「僕の弟になるからだね」
「儂はお主の父親の親みたいなもんだからのぅ」
「僕は凰より先に息子みたいに育てられたからね」
は? どういうことだ?
この二人が俺の爺ちゃんと兄さん......だって?