閑話
適当なんでおかしなところがあると思います。
俺は法幢凱斗。今はダンジョンに来ている。
そして、橋がある階層の広場で休憩している。
「やっぱりかなり疲労してますね」
「そりゃそうだろ、ここまで突っ切って来たんだから」
「普通、もっと休む」
この3人は全く疲れていないのか、呑気に立ちながら会話している。
「なあ、コウは疲れてないのか?」
団長の二人はともかくコウは疲れてないのか?
「ああ、まったくな、なめんじゃねえよ」
と、笑いながら言われた。
その後は適当な話をして休憩していたら、急にコウが顔を青くしながら橋の先を見つめていた。
「どうかしたのか? コウ。顔が青いぞ」
「何かあったら、教えて」
それを心配したのかルイさんとリエレストさんがコウに話しかける。
「ルイさん、エリスさん、皆を、逃がしてください。」
コウはリエレストさんの事をエレスって言うんだよな。羨ましい。じゃない、どうしたんだ? コウ。なんか、焦ったような、顔して。
それを見て二人もただ事じゃないと思ったのか、真剣な表情で何か聞こうとして、
「お前ら急いで逃げろ!!」
とコウが叫んだ。それと同時にコウの姿が搔き消えた。俺が驚いていると、コウは橋の向こう側から飛んできた。
「大丈夫か!! コウ!!」
「大丈夫?」
「ええ、何とかね」
ルイさんとリエレストさんが焦った様子でコウの元へ駆け寄った。
すると、コウが飛ばされてきた橋の向こうから一体の魔物が現れた。
「な!! キメラ!!」
「あいつは、危ない」
二人が危ないというほどの魔物らしい。
だが、二人は全く気付かなかったらしい。なら、どうやってコウは気付いたんだ?
「クソ!!」
俺の疑問もコウの悪態に中断させられる。
コウは何か見たのかかなり焦ったような表情をしている。若しくは絶望?
「コウ、俺たちも戦うぜ。お前を見てりゃ分かる。あいつは絶対に倒せないって。だが、俺には騎士団長としての意地がある!」
「私も、戦う」
二人がコウを信頼しているのが分かる。だが、コウが焦ってるだけでルイさんたちが勝てないのか?
そう考えていると、コウが若干嬉しそうに、そして悲しそうに、
「なら、行きましょう。皆が逃げれるまで時間稼ぎを」
といって、
「ああ、わかった!」
「了解」
二人がそう返事をした。それと同時に俺たちの目の前から3人の姿が消えた。
3人が消えた次の瞬間俺たちを守るような結界が出来た。
隣でカンナヅキさんが、「これほどの結界を誰が......」みたいなことを呟いていたが、俺にはそれどころじゃなかった。
3人は結界の外でキメラと対峙していて、ルイさんとリエレストさんが切り掛かるが、全く効いていないようで、二人は急いでキメラから離れた。それた同時にコウの姿が消え、次の瞬間にはキメラを切っていた。
二人が全く切ることができなかったのに対し、コウの剣は半分ほど切り込んでいた。そして、コウは結界の前まで飛んでくると、
「ルイさん!! エリスさん!! 離れてください!! 『属性の龍達』!!」
そう言って、聞いたこともない魔法を詠唱せずに発動した。
すると八色のドラゴンが出てきて、キメラを攻撃した。俺たちはその光景に見ほれていた。だが、コウは魔法を使えないんじゃなかったか?
その後、ルイさんとリエレストさんがキメラに吹き飛ばされてきた。
「ルイさん! リエレストさん!」
俺は二人に駆け寄った。
「大丈夫ですか?」
神無月さんと阪森さんが回復魔法を掛けながら聞いている。
「ああ、悪い、大丈夫だ」
「大丈夫、それよりも、コウ」
二人はそう言ってコウのところを見た。
「やっぱり私たちが助けに入ったほうがいいんじゃ」
阪森さんがそう言ったが、途中で遮られた。
「やめとけ、あいつは俺たちより強い。だから今のお前らが助けに入っても足手まといだ」
「そう、助けたいなら、私たちと同じくらい、強くなって」
二人して否定されて、悔しそうに顔を伏せる。
「お前ら! コウが時間を稼いでる間に上の階へ逃げろ!」
ルイさんが立ち上がってそう叫んだ。そして、皆が階段に向かったのを見て、
「コウ!! 戻ってこい!!」
と言ってコウを呼んだ。
するとコウは様々な属性の壁を発動させてからこっちに向かって走ってきた。
だが、キメラには効かなかったようで、一瞬でコウの後ろまで来ると、キメラはその爪でコウの腹を貫いた。
俺たちは一瞬何が起きたのか理解できなかった。だが、すぐに理解し、
「「「コウ!!」」」
「コウ君!!」
「コウさん!!」
と、叫んでいた。コウはそれを見ると、笑ってから、本来聞こえるはずのない声で、
「悪い、ありがとう」
と言ってきた。そう言うと同時にコウの周りから鉄の鎖が出てきてキメラをとらえた。
「コウ! ダメだ、戻ってこい!」
「コウ君!! 待って、今回復魔法掛けるから!」
ルイさんと阪森さんが言う。もう助からないことが分かっているのに。
すると、コウが何かしたのか橋が爆発しながら崩壊していく。
「だめだ、待て! コウ!」
「待って、ダメ、ダメええ!!」
「コウさん、嫌あああ!!」
俺は自然と声が出ていた。そして、コウは崩壊に巻き込まれて落ちていった。
その時、
「泣くなよ」
そう聞こえた気がした。俺だけじゃないらしく、ルイさんとリエレストさん、神無月さんに阪森さんも目を見開いて驚いていた。
俺たちは今日、親友を、大切な者を失った。




