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君の夢で僕は旅をする  作者: 染樹茜
人生は一番美しい童話である
98/133

人生は一番美しい童話である(98)

 誰かはそっと近づき、セリーヌをじっと見下ろした。涙で霞んだ目と逆行のせいで顔が見えない。そこでまた気づく。計画されていたことなのだと。


 とんだ誕生日になってしまった。


 セリーヌは泣き笑いを浮かべ、首を横に振ろうとして、痺れ薬のことを思い出した。


「こんにちわ、セリーヌ」


 声の調子からするに機嫌は悪くないらしい。


「…こちらが挨拶しているのに、何も言わないとは悪い子だね」


 そう言って()は彼女の横っ腹を思いきり蹴った。声にならない悲鳴が彼女の体を貫く。挨拶したくても声が発っせないのだ。なのに理不尽にも、彼の蹴りは止まらない。


「悪い子だね、悪い子だ。そういう子にはお仕置きをしなくちゃいけない」


 彼は蹴るのを止め、しゃがみこむ。そしてセリーヌの身体をゆっくりと撫でた。ひんやりと冷たい指先が、身体の上を走る。鳥肌が走る。恐怖が頭をよぎる。


「大丈夫、安心して。怖いことなんて何もないから。最後に待ってるのは快楽だけだよ」


 優しくそう言って、彼は彼女の身体に覆い被さった。

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