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君の夢で僕は旅をする  作者: 染樹茜
人生は一番美しい童話である
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人生は一番美しい童話である(89)

 隣の部屋ではどたばたと激しい音がしている。


 セリーヌは自らの両手足があるのを確認して立ち上がった。体重が両足にかかり、彼女は少しよろめいて膝をつく。勢いよく膝を打ったせいで息が止まった。両手を床について冷たさを感じながら息を整える。


 よし、現実だ。


 何を根拠にそう思ったのか彼女にもわからない。しかし、これが彼女にとっての現実だった。


 痛みこそが、彼女にとっての現実だった。


「よくも…アタシの大切な人達を苦しめたね」


 アリーの震える声がする。その震えが恐怖から来るものか、怒りから来るものか。本人以外は誰も知らない。


「貴方には初めて会ったわ。それにみーんな私の殺した人は独身よ? 子どもはいるはずないし」


 そこまで言って、マーリンは顔をあげた。


 口を半開きにして、アリーを見つめる。それから嬉しそうににっこりと笑った。


「貴方、女じゃないのね!」


 よく見るとそうねと呟きつつ、アリーの周りをぐるぐる歩き回っている。


「そっか…見落としていたわ。同性の恋人なら、見つけられるはずがないわよね。

 だってそれって、少し可笑しいもの」

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