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君の夢で僕は旅をする  作者: 染樹茜
人生は一番美しい童話である
78/133

人生は一番美しい童話である(78)

「まあ、見える未来は不完全と言うことだ。視た瞬間から少しずつ変わってくる。それは1秒より短い単位での変化だが」


「なんとなく…なんとなくわかる気がするよ」


 トットが扉の向こうで呟いた。自信がないのか、とても小さい声だったが。


「…実際、今日あった女性からは何も得られなかった。本当に、何も、だ。

 こんなことは能力を得てから恥じめてだ。だから私にも理解できていない。

 だから。もし。明日、彼女に会うことができたら。私はアリーを逃がして、挑戦する」


「…え」


「未知との遭遇だ。悪くはないだろう?」


 だから。


 そう呟いてセリーヌは立ち上がった。


「もしも、アリーがお前のところに戻って、暫くしても私が戻らなかったら」


 カチャリと扉が開く。トットが顔を半分出した。その目は腫れていて。まるで殴られたあとみたいだな、とセリーヌは思った。


「トットの脚を頼りにしているから」


 じゃあ、おやすみ。


 そう言ってセリーヌはトットへと背を向け、自分の部屋へと向かう。


「セリーヌ!」


 トットが叫んだ。


「オレ、みんなを守るから! 守れるくらい、強くなるから!」


「その為にはまず、牛乳飲めよ」


 文句を言うトットを背に、セリーヌは笑いながら自分の部屋の扉を閉めた。

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