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君の夢で僕は旅をする  作者: 染樹茜
人生は一番美しい童話である
75/133

人生は一番美しい童話である(75)

 皆におやすみを告げて、セリーヌは2階へとあがった。


 トットの部屋の前で立ち止まり、扉に手をかける。しかし思いとどまり立ち尽くした。


 今さら何を言えばいいだろう。


 先程の自分の言葉は、彼を守るためのものだった。そうに違いないのに、何かが心のなかで渦を巻いて靄を作っている。


 たった一言。たった一点でいいのだ。


「心配だった」


 そう、素直に言えたらどれだけいいだろう。


「…誰かいるの?」


 部屋の中からか細い声が聞こえた。


「…トット。少し話さないか」


「また怒りに来たの?」


「違う」


「オレだけ仲間はずれにして楽しい?」


「違うんだ」


「どうせ、オレは役に立たないんだ。いつも。大事な時に。だから父さんも」


「違うんだ! 聞いてくれ! トット」


 セリーヌは扉に両手の拳を殴り付け、その場に崩れ落ちた。


「…私は、誰も失いたくないんだ。昔のように」

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