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人生は一番美しい童話である(73)
「…せ、セリーヌ落ち着いて」
「ルーカスの言う通りだ、セリーヌ。気持ちは十二分にわかるが、今は押さえてやってくれ。泣きそうだよ、トット君」
「…こんなんで泣くくらいじゃ、情報収集なんて無理だな。お前は連れていかない。どこにも。
明日も私とアリーで行く。偵察ついでに殺れそうなら殺る。
異議はないだろう? なぁ、トット君?」
ギリギリと歯を食い縛るトット。彼を見下ろす様にセリーヌはあえて少し顎をあげる。そのままでも見下ろす形になると言うのに。
「…アリーはオレの家族だ。ちゃんと守れよ」
悔しそうな顔で呟いて、トットはダイニングルームを出ていった。渾身の力を込めて、扉を閉めながら。