人生は一番美しい童話である(58)
今回から小説の書き方(空白をいれたり等)大幅に変えております。
今までつらつらとただひたすらに書いていた私の文章の方法とは若干の違いがありますが、進化したと思っていただけるとありがたいです。
また、過去の文章も少しずつ直しております。
(いかんせん1話が短いので直す量が半端ないのです)
読みにくさがあるかと思いますが、リフォーム中の我が家だと思って暖かい目で見ていただければと思います。
長くなりました。
セリーヌは押し黙ったまま紙切れを見つめる。
「やだ。これでも彼女、プロなのよ? こんな場所でいきなり描けなんて」
「…描けないのかい?」
トーマスがゆっくり笑いながら、セリーヌに問いかけた。彼女はその言葉に鼻で笑って返し、ペンをとる。暫くの間、紙とトーマスとの間を視線が行き来した。何を描いているのかとアリーは覗き込むが"画家の意地"というものがあるらしい。描きあがるまでは見せたくないらしかった。
しかし、ここで長い時間かけるのも阿呆らしいとセリーヌも気づいたのだろう。いきなりペンを置き、トーマスへと突きつけた。
「お前、随分と面白いところに黒子があるんだな」
ペンで耳元を指しながら彼女は彼に笑いかける。
「…恐れ入ったよ、確かに僕だ」
そう言ってトーマスは笑いながらセリーヌの"落書き"を眺めた。それにしても、よく描けているな、などと笑いながら。
「これで私が画家なのは信じたかな」
「これは信じるしかないよ。むしろ、即席でここまで写実的な絵が描けるなら、なぜ有名にならないのかわからないよ。是非、1作品買い取りたいものだ」
茶目っ気たっぷりに笑いながら彼は呟いた。
「…さて、私たちは自分達の事を話した。君はどうなんだい? トーマス君」
アリーが笑いながらペンと紙を彼の方へと差し出す。
「これじゃまるで、面接だね」
そう言いつつ、彼はペンを取り自分の事を書き連ね始めた。




