人生は一番美しい童話である(45)
「それから私たちと組んでもお金は稼げない。生活費やなんやらは心配しなくても良いが、欲しいものができたときには自分で稼いで欲しい。ただ、犯罪だけは犯さないでいてくれ」
「オレは彼女が欲しい」
「…犯罪だけは犯さないでくれ、トット」
「そうよ。幼女は駄目だからね、お似合いだけど」
「2人共、僕に殺されたいの?」
「…さて。それでだな」
「おい!」
「煩いわよ、トット」
黙りなさい、と言いながらアリーがトットを抱え込む。豊満な胸が顔に当たって満更でもない顔をセリーヌに向けるトット。元々男なんだぞ、と言いたいところだか口をつぐむ。十中八九あの胸は偽者だと確信しているが、それをトットには言えない。可哀想な奴だと憐れみの目を向ける。しかしどう勘違いしたのか、セリーヌが羨んでると思ったらしい。これ見よがしに彼はアリーの胸へと手を伸ばすが、彼女に叩かれ諦めた。
「本題に戻るが、私たちの仕事は知っての通り悪人の排除だ。
もっと詳しく言えば只の悪人じゃない。数々の犯罪を犯し世界から必要とされていない人間だ」
ついこないだ殺されたJ.J.の様に、と彼女は言おうとして口をつぐんだ。彼のことは悪人と一括りにしたくなかった。 勿論、端から見たら彼は悪だが本心を見てしまった彼女にはなにも言えなかった。
「でも、悪人を見つけたところで彼らの潜伏地まではわからないでしょ? どうしてるの?」
アリーがトットの首を締め上げながらセリーヌに聞く。どうやらトットは自らの目的を果たしたらしい。それで死ねるなら本望だろう。
「…ここからが本題中の本題だ」
ふう、と一息ついて彼女はアリーとトットの方へと向き直る。そして一瞬間をおいて口を開いた。
「知っての通り、私には異能力がある」




