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一灯を下げて暗夜を行く(33)
「何をふざけたことを」
アルバートがそう言って彼の前へと歩みを進めた。
「整形外科医? 笑わせてくれる。お前は唯の犯罪者だろうに」
「…その言い方は納得がいかないなぁ。僕が何をしたって言うんだい」
「お前は少なくとも、その顔になってから2回は犯罪を犯している。
違うか?」
「なんのことだか」
「それじゃあ、君が犯罪者だと言う仮定で、話を聞いてくれたまえ」
いつの間にか手にしていた店のメニュー板の文字を拳で消し、新しく何かを書き始める。
『ハミル・フランクリー』
『セオノア・シャルドニーニ』
2つの文字がはっきりと、そこには刻まれていた。
「まずはどちらから聞きたい?」