表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君の夢で僕は旅をする  作者: 染樹茜
一灯を下げて暗夜を行く
126/133

一灯を下げて暗夜を行く(27)

 橙色に染まり始める木々と建物の間を早足に風が通りすぎる。その冷たさにセリーヌは思わず身震いした。まるで私を見る世界の目の温度だな、なんて柄でもないことを考えながら。


 あの日から随分と日は流れ、もうすぐ冬になる。目まぐるしく変わる季節の彩りが、彼女の心を虚しく包む。


 あれ以来、トーマスを誘うことは無くなった。恥ずかしさといたたまれなさから来る、罪悪感に似た何かは月日の流れに逆らうようにセリーヌの心の奥底へと入り込んでいく。


 昔は嫌なことなどすぐに忘れられたのに。


 どうにも歳をとるというのは性に合わないらしい。できたことができなくなるのは、辛いというより彼女に虚無感を与える。


 彼女は1軒の店の看板をじっと見つめた。かつて船を愛し、その船の名を妻と同じ名前にし、そして今はその名前を持つ店を切り盛りしている。


 そんな彼が羨ましかった。殺してしまいたい程。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ