一灯を下げて暗夜を行く(21)
セリーヌがじっと写真に見いっている間、ルーカスは紅茶とお茶菓子を持ってきていた。今日のお茶菓子はバームクーヘンである。まわりに砂糖がついたもので、アルバートの大好物だ。
早速、彼はそれに手を伸ばし2口ほど口に投げ入れてから、セリーヌの肩を叩いた。そのせいで砂糖の塊が肩に白い跡を残したが、誰も言わない。
「…ところで…ぐっ…こいつは、どんなことを…んんっ…んん…していたんだい?」
途中バームクーヘンを喉につまらせつつも、皆が抱いていた疑問をセリーヌに投げ掛ける。その様子は紳士とはほど遠い。
「…ようじょかんきん、だ」
「うわぁ。やりそう」
アリーがぽつりと言って、慌てて口を塞いだ。申し訳なさげな視線を皆に投げ掛けてから、いや、同じこと思ったわよねとでも言いたげな目で再度視線を投げ掛ける。
その視線をかわしながら、セリーヌは続けた。
「普通の幼女監禁じゃない。監禁してから換金してるんだ。…まて、決して駄洒落じゃない。笑うな、ルーカス!
…とにもかくにも、奴は幼女を監禁したのち、人身売買をしている。それも、恐らく、彼は誘拐はしていないんだ」
「…どういうこと?」
「買ってるんだよ、売春宿から」
その言葉に皆が震えた。