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一灯を下げて暗夜を行く(18)
本当にそれが、幸せなのだろうか。
他人と同じようなレールの上を、ただただ静かに進むだけの人生。
人はそれを"普通"という。
「普通でいるのは、辛いな」
セリーヌはそう言って額に手を当てた。想像しただけで、頭がかち割れそうだった。その様子を見てアリーが笑う。
「だから、"普通"に生きるなんて、しなくていいのよ。私達みたいな"普通じゃない人"は」
にっこりと笑って、彼女はセリーヌの手をとった。
「さ。深くは考えず、ご飯でも食べて。お腹を満たして、みんなでポーカーでもやりながら。
貴女が見つけたものについて話しましょ」
「…私が見つけたもの?」
「さっきの貴女、仕事の顔をしてたわよ」
アリーが声高らかに笑いながら屋敷の方へと駆け出した。