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君の夢で僕は旅をする  作者: 染樹茜
一灯を下げて暗夜を行く
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一灯を下げて暗夜を行く(8)

 "ルシーダ・シレバノ"と刻まれた看板の前でトーマスは立ち止まった。ぐっと左手に力がこもる。セリーヌは彼を見上げ声をかけた。


「どうした」


 その言葉に手の力を緩め、トーマスが笑顔でセリーヌを見つめる。


「いや。たいしたことじゃないんだ。今まで3人で行動してきただろ。だけど今、自分は好きな人と2人きりだ。相手からの返答はまだないけど、僕の気持ちはいつも伝えてる。だから」


 顔をしかめつつ照れ笑いをして、トーマスはセリーヌから顔を隠した。


「だから、僕は少し今。緊張してしまっているんだ」


 その言葉に彼女はじっと彼の顔を見つめた。顔は背けられている為よく見えない。ほんのりと赤く染まった耳だけが髪の隙間から顔を覗かせている。無性に3つ並んだ黒子を触りたくなり、セリーヌは手にぐっと力を入れた。


「…君も緊張する?」


 トーマスが笑って、そんなことないかなと言った。


「私は」


 少し考えてからセリーヌが笑った。


「ほんの少しだけ楽しみなだけだ」


 その言葉にトーマスが安心したように頷いた。

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