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じゅくはキライ!その2

習い事。活躍した時もそうでない時も、小さい頃はおかあさんに見てほしいもの。

周りの子が見てもらってるなら、なおさら。

「おかあさん、サッカーいってきまーす!」

「しゅう、いってらっしゃい、気をつけてね」


サッカーのグラウンドは、

家からちょっとはなれたとこにあって、

一人でバスに乗っていく。


サッカーは1年生の夏休みから始めたから、

もう行き慣れてる。


2年生になって、

オレももうオトナだから、

一人で行って一人で帰ってくるのだ。


リュックにつけてるプーマのスイカ入れを、

「ぴっ」とかざして、

いつものバスに乗る。


スイカ入れは手をはなすと、

くるくるがビヨーンと伸びて面白い。


オレはいつも座ってる、

一番後ろの道路側の席に、

サッカーのリュックを抱えて座る。


リュックは、ひざに乗っけてると滑り落ちてくるから、

リュックの紐は肩にかけてる。



何駅かすると、友達のりょうが乗ってきた。

おかあさんといっしょだ。


「しゅうちゃん!こんちは!」

「りょうちゃん!こんちは!」


「しゅうちゃん、こんにちは!いつも一人でえらいわねぇ」


りょうのおかあさんは、

いつもグラウンドまでついてきて、

グラウンドの近くで買い物して、

帰りに迎えに来る。


おかあさんに送り迎えしてもらうなんて、

りょうはまだまだ子供だ。


「しゅうちゃんは、こんどの遠足なにもってく?」

「チョコボールはほしいかな~」

「おかあさんの時代は、300円までって決まりだったんだけど、

さいきんは、食べられる量までなんだね~。

おやつだとたくさん食べちゃいそうよね~」

「うちは、チョコボールと、もう一コまでっておかあさん言ってたから、

なんにしよう?りょうちゃん何がいいと思う?」

「おかあさん、なにがいいかな?」

「そうねぇ、チョコボールが甘いから、しょっぱいものかな?」

「そしたら、ベビースターラーメンだね!」


そんな会話をしているうちに、

グラウンドのバス停につく。


ボタンをおすのは、近くに座ってるオレの役目だ。

ピンポンってなって光るのがいつもおもしろい。


「はい、じゃあ、みんな体操しまーす!」

「「はーい」」


2年生になったら、リフティングをするようになった。

きょうはワンバンで、一番長くできた。

そろそろ、オレもノーバンでいけるかもな。


ドリブル、パス、シュートの練習をして、

ミニゲーム、がいつもの流れだ。


ミニゲームがやっぱ一番楽しい。


今日のオレはフォワード。

とはいっても、フォワードもディフェンスも、

最初しか関係ないけど。


オレもりょうちゃんも1点ずつ決めて、

なかなかいい試合だった。


「はい、じゃおわりの体操しまーす。

みんな、だいぶうまくなってきましたね~

つぎは、パスの練習をたくさんして、

パスからシュートにつなげられるようにしましょう!

それでは、ありがとうございました!」

「「ありがとうございました!」」


「はい、おつかれさま」

「今日はどうだった?」

「あんた、リフティングはできるようになってきたじゃない!」


まだまだみんな子供だから、

オレ以外はお迎えが来てる。


来るときは一人のヤツでも、

帰りはお迎えに来るのだ。


オレはオトナだから、

ワンバンのリフティングをおかあさんに見せている

りょうを横目に見ながら、

さっさとグラウンドを後にする。


ここで声をかけると、

一緒にやるハメになる。


「あいつはうまいから、

いいけど、

オレはダメだからな。」


帰り道、いつも、なんか悔しい気持ちで

バスにのる。

帰りはちょっと混んでるから、

立って帰る。


「はやくうちにつかないかな。疲れたんだけどな。席あかないかな」

ちょっとイライラして、

つかまってる柱をちょこちょこキックしながら、

スイカをビヨーンとしながら、

バスが着くのを待つ。


「なんで、オレのおかあさんは、見に来ないんだよ。

オレがダメだからかよ。

そうだよ、オレがクズでバカでアホなんだよ」


なんだか、もやもやが止まらない。

帰り道はいつもこうだ。

サッカーは楽しいけど、帰り道は楽しくない。


このまま、バスに載ってるとどこまでいけるんだろう・・・?

オレはダメだから、おかあさんも心配なんてしないだろうな・・・


うちの駅の名前が聞こえた。

ボタンをおす。

なんとなく、ゆううつな気持ちで、家に帰るのだ。

いつもこうだ。

子供は、親をなかなか責めない。

親を責めるための言葉と言うのは、なかなか難しい。

自分を責める言葉は簡単。

だから、責めようとすると自分になる。


楽しさというのは、溜め込んでいると、悲しさに変わるものかもしれない。

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