四話 「鍛冶師の買い物」
4話目です
俺がこの町『アーデレール』に住み着いて約1年と半年。だけどこの町全部を
知ってる訳じゃ無い。出不精な俺が町を散策しないだけだ。
この町は『ソウナン男爵』様の領地で彼の本拠地だ。だから、小さい割には
一通りのモノは揃ってるって事だ。で、俺がモグリで居続けられる理由の
一つにその領主様へ時々、献上品を贈ってるって訳さ。鍛冶師で
錬金術師の上に魔術師と来れば、騎士の一個師団でも俺には勝てないんだが、
俺も態々敵を作る理由が無い。そこで、形式的に俺から歩み寄ったって訳だ。
まぁ~長い物に巻かれる的な発想だね。
ここは日本と比べても住み易い町だ。大きな湖とソコから流れる川が綺麗だし
ちょっと離れた所に火山があって、この町の一部にまでその熱が伝わっている
生活においては、俺自身は何の不自由も無い。魔法が在るからな。
トイレは一部水洗後はまとめて乾燥して庭の花々に肥料として使ってる。
灯りは魔法のランプがある。キッチンも同じ。掃除も風魔法でチョチョイって
吹けば、アっと言う間に終わってしまう。遮断魔法で防音効果もあるから
室内でどんなに女性の嬌声が大きくても、外に漏れ聞こえする事は無い。
金は使い切れないほど溜まったし、女もたま~に身体で払う客が来る。
つまり俺は此処に来て、目茶苦茶優遇された環境で暮らしてるって事だ。
って事で、町の皆に俺の悠々自適な生活の御裾分けをしている。
孤児院への寄付。…まぁ~子供は国の宝だしね。
教会への寄付。この世界では医者は居無い。怪我も病気も全部
回復医術って魔法だ。で、ソレを扱えるのが教会関係者とチートの俺なんだけど
住民はお布施を渡して治療を受ける。これがこの世界のルールなんだが、
お布施がバカ高い。神父やシスターって夜中に教会でパーティーでもしてんの?
って位に高額請求するんだよ。なんで、住民は簡単な怪我病気なら我慢。
ちょっと酷いと思えば、薬草。どうしてもとか緊急って時に教会を使うんだが
考えれば、利用者が少ないから高額?あれ?高額だから利用者少ねぇ??
って事で俺が寄付して運営の大半を賄わせてお布施の代金を下げさせている。
この間シスターが利用者が増えて信仰も広まりつつ在るって言って感謝してたな
感謝する位なら一回デートしろよって思うね。
そんな事が噂で広まり移住者が増えて来てるらしい。男爵も領民が増えれば
税金収入もUPするから、機嫌が良いって話し出し。人が増えれば買い物も
増えるってんで、商業ギルドが潤う。序に冒険者ギルドも仕事が増える
風が吹けば桶屋が儲かるって訳じゃ無いが。市民も暮らし易い町を求めてるって
事だね。
俺は最近、長距離歩きすぎて痛い目に逢った。なもんで自転車を作ったのさ
そしたら鍛冶師GMのトムじいさんが、目敏くそれに気付きやがった。
仕方なく利便性と汎用性を教えてやって製法も序に指導してやったから、
暫くしたら町に自転車が溢れ出すだろう。
街中の馬車の事故や馬糞問題も解決するかもしんね~な。おっと、ついでに
荷台付きと乗り合い自転車も教えておいてやるか。
まったく久し振りに街中散歩するだけで、仕事を押し付けられるってどうよ!?
俺は静かにボ~ッて歩きたかったのにって愚痴を零しながら町を眺める
「あ~確かに…知らねぇ~顔が増えたな。序に奴隷も増えてねぇ?」
「ええ。増えたわよ。それも若い女の子がね!エイちゃんも買えば?」
と突然背中から声を掛ける者が居たもんだから俺は驚いてしまう。
話し掛けて来たのは、温泉宿屋『砂宿』の女将『ライラさん』だ。
「女将さん勘弁してよ~俺の心臓が蚤ほど小さいって知ってるでしょ
驚かさないで下さいよ~」
「あら、ごめんなさいね。悪気は無いのよ!ウフフッ。
…で、どうなの?」
「どうなのって?あぁ~奴隷ですか…」
女将の問いに俺は少し考えてみるが、答えは決まっていた。
特に俺には必要の無い人材だからだ。掃除洗濯は魔法でするし、料理は趣味だ
って、なると特に要る必要が無い。やっぱり俺には要らないよ。と言い掛けると
「最近は~ね、綺麗な娘も増えたって話よ。エイちゃんは、家事を何でも
自分でするから、要らないって思うかもしれないけど、夜専門ってのも
最近流行なんですって」
女将はそんな素敵な棄て台詞を残して俺の前から消えてった。
「…夜専門ねぇ~…」
いつの間にか、俺の脚は奴隷商の館に向って歩いている
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「コレ等如何ですか?西方産の娘で御座います。自慢は肌の白さときめ細かい
所で御座います。観て良し、啼いてよし、抱いて良しの品ですよ」
確かに紹介された奴隷の娘は綺麗だと思う。この国の娘と違って小柄な所が
良い。ただ…頭の羽が俺には邪魔で仕方が無い。因みに飾りかと聞けば
地毛らしく、これが体調のパラメーターになるらしい。艶がよくピンと立つ程
健康体って事だ。切ったらダメ?と聞いたら切ったら死ぬと言われたのだ却下だ
二人目はデカイのでパス。
3人目は逆に小さすぎる。俺は犯罪者扱いされるのはゴメンだ。なのでパス
そして四人目が褐色肌で俺よりチョイ低め5.5フィート約165センチの
娘だ。胸はD~Eサイズ腰は引き締まってるがお尻は大きいが垂れては無い
つまり。ボン・キュー・ボンな体形って事だ。少し幼さが残る面影は、
何処となく日系人っぽい。瞳は茶系で髪は黒髪で腰の位置までと長かった。
問題は、この国の言葉を話せないって事だ。
価格は4万5千£日本円で約810万円。
気が付きゃ~いつの間にか、即金で買ってるじゃん俺!
家にお持ち帰りすると奴隷の印の首輪をデザイン変更作り変え、ついでに魔法の
ブローチ付けて会話もOK。彼女にレナと名付けた。
小麦色の肌が、AVに出てきそうなエセGALっぽいトコがお気に入りだぜ。
意外と育ちは良かったらしく、頭も良い。気づけば品も在る。
磨けば、凄んゲェ~宝石の原石だった。
えっ!今何してるかって?そりゃ~コスプレ衣装着させて
受付業務から、お散歩のお供まで幅広くご利用してますよ。
お蔭で俺の町での評判が上がったってモンだ。
他には?って、そりゃ~コスプレして見てるだけならカメコと一緒じゃん。
毎晩美味しく食べさせて頂いていますよ。
最近『砂宿』の女将が聞きつけて、3人で遊ぼうって五月蝿いんだ。
当面はじっくり仕込んで一人で楽しむ事に専念しようかと思ってる。
四話 「鍛冶師の買い物 完
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