そんなのでは・・・
浩は、次の日も会社に行き、御得意様を回っていた。
そして、気になる、あの人がいる会社に着いた。
(昨日の件は、いたずらか、なんかだ・・それか、俺の幻覚だ・・!)
今日は、あの人が見れるだろうか・・そう思い、浩が会社に入っていくと、そのヒトは、いた。
(ラッキー!!今日も見れた!!)
そう思い、仕事を済ませると浩は、その会社を出ていこうとした。
ふいに、笑い声が聞こえた。あのヒトが、事務の同僚と談笑していた。
その笑顔を見た、浩は、たまらなく嬉しくなった。その気持ちのまま、自分の営業車に戻る。
(彼女が死ぬはずがない・・もし、昨日の、あの男が言っていったことが本当なら、俺が代わるさ・・・!)
浩は、車のエンジンをかけて、道に出ようとした。
その時だ。
猛スピードで、やってきたトラックと、浩の車が、衝突した。
浩の営業車が、宙を舞う。
浩が、今さっき、訪問した会社から幾人かの人が出てきた。
誰かが救急車を呼んで、大破した営業者から浩が、運ばれて行った。
会社の者が言っている。
「悲惨よね。今、きた営業の人よ・・」
「そうなの!?助かってくれたらいいんだけど」
あのヒトが、恐々した顔で囁いている。
救急車で、搬送されている浩。致命傷で、意識は、朦朧としていた。
ふと、救急隊員の後ろに、黒い陰を見た。
浩にだけ、見えているようだ。
「あなたが、望むようにしましたよ・・」
そう浩には、聞こえた。
(昨日のことは、本当だったんだな・・これでいい、これでいいよ・・)
朦朧とした意識の中で、浩は、思った。
死神は、言った。
(ほう・・私との契約に何の後悔もないんですね・・面白くないな!!そんな、あなたの魂は、いらないですよ・・・!!)
数ヵ月後ー。
「こんにちは、いつも、お世話になってます!」
顔の頬に、傷のある営業マンが、会社の受付に、やってきた。
会社の皆が、出払い、事務の女性が出てきた。
「只今、みんな出ておりまして・・・もしかして、先だって、酷い事故にあった方ですか・!?」
その営業マンは、笑った。
頬の傷跡を、補う以上の、有り余る笑顔で、そのヒトに微笑みかけていた。
(おわり)




