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オイチョカブの役の別名を頭に置いて読んで欲しいような欲しくないような。
九十九組は暴力団業界でもかなり有名であった。
だが、その理由は勢力の大きさからくるものではない。舎弟の内に、元力士で身長200cm、体重200kgを誇る霊峰という男がいるからである。
霊峰、通称・ブタは風呂嫌いであり、年に一度しか風呂に入らない。そのおかげか、彼の周囲半径20mまでは劣悪な体臭に晒されている。そのせいか九十九組とは別系列の組だけではなく、九十九組やその傘下人間すべてに嫌われているといっても過言ではない。
ただし彼の兄貴分である仁蔵と三太、そして九十九組組長だけは重度の鼻炎に悩まされているせいで彼の悪臭の被害を免れているのであり、また彼の組長のボディ・ガードとしての働きの大きさにより、ほかの組員の苦情にも関わらず破門にならずにすんでいる。