火事のとき。
寝静まった夜。とある庭付き一軒家で火事が発生した。
父、母、子ども二人が寝ていた。真っ先に二階の寝室にいた父がそのことに気が付き、すぐさま母を起こした。驚いた母は、隣の部屋で寝ている子ども二人をすぐさま起こしに行った。
起きた四人は煙が一階に続く階段から流れ来ていることを知り、二階のベランダから脱出しようと試みる。まず、父がベランダから庭に飛び降り、それに続いて母も飛び降りた。そして子ども二人も飛び降り、四人はそのままそこから逃げて行った。
台所が激しく燃え、煙が充満した一階。苦しそうに唸り声をあげるものがいた。
― ふざけんじゃねえよ! マジで! 誰か助けてくれよ! 俺が一番最初に気が付いたのに、何で誰も助けに来てくれないんだよ! くっそ、マジ熱い! 早く水、水、水!
くっそー、人間のバカヤロー! スプリンクラーぐらいケチるなよー!! ―
ウー! ウー! ウー! ウー!……
がんばれ、住宅用火災警報機。お前の悲痛な叫び声が、今日も火災から誰かを救う。
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